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ガンダムシリーズの登場兵器 ウィキペディアから
ガンダム[ケストレル] (GUNDAM KESTREL) は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器「モビルスーツ」 (MS)の一つ。初出は、2010年から『電撃ホビーマガジン』で連載されていた発表された小説・フォトストーリー『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』。
オークランド研究所が開発した試作機で、本来の名は「ガンダム[グリンブルスティ]」。人為的な肉体強化を施された「強化人間」用に開発された機体で、地球連邦軍特殊部隊「ティターンズ」に配備される予定だった。作中で反地球連邦組織「エゥーゴ」によって鹵獲された後、改修と現在の名称への変更を経て、その所属機として運用される。作品後半のストーリーである「宇宙編」より、主人公ヴァン・アシリアイノの搭乗機として登場する。型式番号はMSW-004。
本項では本機の装備バリエーションのほか、改修前のガンダム[グリンブルスティ]についても記載する。
メカニックデザインは間垣リョウタが担当し、幕張メッセで開催されたキャラクター・ホビーイベント「キャラホビ2011 C3×HOBBY」にてデザイン画が初公開された[1]。作中のMSの多くが『機動戦士Ζガンダム』などに登場するMSをベースとしたバリエーション機であるなかで、ベースデザインを持たない初のオリジナル機体である。
ティターンズ所属の女性強化兵士ロスヴァイセの専用機として、オークランド研究所が設計・開発した機体(この時の開発コードは「グリンブルスティ」)。しかし、宇宙での機動試験中に輸送船ごとエゥーゴに鹵獲(実態はオークランド研内の親エゥーゴ派による譲渡であり、それに伴って機体の開発データや計画そのものは研究所のデータベースから削除されている)され[2]、アナハイム・エレクトロニクス管理のラビアンローズ級自走ドック艦「ロサ・ギガンティア」にて稼動試験が行なわれた。
本機は3基のジェネレーターとそれに直結した高出力の推進器を搭載した高機動型だが、本来は強化人間用であるため、その苛烈な機動Gは一般パイロットの耐G能力を軽く超えていた[注 1]。試験では、鹵獲前も含めて3人のテストパイロットが交代で搭乗したが、エゥーゴ側のテストパイロットは誰一人としてこの機体を乗りこなせず、「欠陥機」「自殺装置」などと低評価を下される。その後、4人目のパイロットで先天的に高い耐G能力を持つヴァン・アシリアイノの操縦によって、本来の性能を発揮できるようになったため、実戦配備された。なお、2人目のパイロットであるエーヴィ・アルヴァの起こした事故によって頭部や肩・膝などが損傷したため、これらの部分は機体の出自を隠す目的も兼ねてワグテイルの外装を参考に鹵獲時と形状の異なる新規部品で修理され[3]、姿勢制御系もワグテイルのデータを元にアップデートが行われている。
機体色も同様にティターンズカラーからワグテイルを参考に白と青を基調としたものに塗り替えられた(これはカラバからエゥーゴに転向したロープスのリクエストでもある)。また、改修後暫くはペットネームも決まっていなかったが、実戦配備後にソウイチ・オビノの考案により、「ケストレル」の名称が与えられた[4]。
GUNDAM [KESTREL] MANEUVER EXTERIOR (型式番号:MSW-004 / MSW-004ME[17])
ラクシャサとの戦闘でレーザーロケットユニットが損傷したため、落ちた機動性を補う目的として、肩部にレーザー発振機とビーム砲兼ビーム・ブレイドを備えたブレイク・バインダーを4基を装着させることにより、損傷前の機動性を維持させた状態。また、バックパックには通常の熱核ロケットエンジンを装備しているが、これはマニューバー・エクステリアに必須の装備というわけではない。ブレイク・バインダーを装備したことで機体の機動力は保たれ、バインダーのAMBAC効果によって運動性も向上しているが、末端重量が増したため、戦闘機動時の安定性は低下してしまっている[18]。
また、ブレイク・バインダーは本来ジオングのような有線式サイコミュ兵装として開発されているが、パイロットがサイコミュを扱えないため、後に有線ミサイルのようにバインダーを射出・誘導できるよう改造された。バインダーの誘導操作はコクピットに後付けされたトラックボールを使用するが、その性質上複数のバインダーを操ることはできず、右腕の操作系と切り替える必要がある。また、ワイヤーが切断された際は回収のために僚機の手を煩わせるなど、運用面で使い勝手が悪く、隠し武器としての域を出ない[19]。
GUNDAM [KESTREL] ARMOR EXTERIOR (型式番号:MSW-004 / MSW-004AE[17])
ケストレルがロサ・ギガンティアでテストされていたのと同時期にグリンブルスティ2号機の試験データを元にグラナダで開発された増加装甲及び追加武装。追加武装としてバックパックにリニアガン、右腕に二連ビーム・ライフルを装備。バックパックや脚部、左腕部などにミサイルランチャーが増設されている。
アーマー・エクステリアは機動力が高すぎて扱えないのであれば、装備を重くして扱い易くすれば良いという発想の下に開発された装備である。装備することで機動力が低下する(それでも一般的なMSのそれと比べれば十分高い機動力を発揮する)反面、操作性が向上する。ケストレル本来の設計思想とは異なる発想の装備であるため、ドクター・アルヴィースの反対はあったものの、ヴァンが搭乗する以前はアーマー・エクステリアを装備しての実戦配備も検討されていた[20]。 増加装甲部分には耐ビームコーティング[注 5]が施されている他、冷却装置やプロペラントタンクも増設されており、機体の防御力の向上に加え、行動半径および稼働時間の延長にも貢献している。
アーマー・エクステリアは装備されてすぐにフルアーマー[ケストレル]に装備変更されたため、実戦では使用されていない。
FULL ARMOR KESTREL (型式番号:MSW-004ME+AE[21])
アーマー・エクステリアとマニューバー・エクステリアの両方を装備した最終決戦仕様。グリプスII攻防戦後、ティターンズ・テルアビブ分艦隊による地球主要都市への核攻撃を阻止するべく、戦力不足を補うために投入された。
アーマー・エクステリアを装備したことで低下した機動力を補うべく、ブレイク・バインダーがそのまま装備されているが、それでも推進力が足りないと判断されたため、バックパックは熱核ロケットエンジンからレーザーロケットユニットへ戻されている。
アーマー・エクステリアの武装からの変更点として右腕にメガ・ビーム・ランチャーを装備し、左腕のミサイルランチャーも連装ビーム・サーベルに変更されている。
ガンダム[ケストレル]の前身となるオークランド研究所製の強化人間用MS。 ロスヴァイセ専用に開発が進められていたが、完成前に開発者の一人であるドクター・アルヴィースを始めとした研究所内のエゥーゴシンパによってエゥーゴに譲渡された。
1号機と2号機が存在し、1号機はロサ・ギガンティアでのテスト飛行中の事故をきっかけにケストレルへと改修されたが、2号機はグラナダで新型機開発のテストベッドとして運用され、その結果アーマー・エクステリアなどの装備が開発された。第一次ネオ・ジオン抗争後、テストベッドとしての役目を終えると関連資材とともにサラミス改級デルフォイに配備され、ヨーン・ユルヤナがパイロットを務めた。
ケストレルとは基本構造こそ同一だが、頭部や一部外装のデザインが異なる。背部には姿勢制御用のウイングバインダーが装備されているが、これは機動力が過剰すぎるという理由でケストレルではビーム・サーベルラックに変更されている[23]。 両肩や膝部のブレードアンテナはシャーマン・フレームの感度を上げるためのアンテナであり、これも1号機では改修を行う際に取り外され、ビーム・ブレイドに換装された。全身のビーム・ブレイドはグリンブルスティでは搭載されておらず、腕部にビーム・ガン兼用のビーム・サーベルを内蔵するのみとなっている。
また、ケストレルのコア・ファイターが雛鳥を意味する「コア・スクァード」をペットネームとしていたことに倣い、グリンブルスティのそれも子豚を意味する「コア・ピグレット」と命名されている。ただし、コア部分に関してはカラーリング以外で両機に性能的な違いや外見的な違いは無い。
本来は「ガンダムタイプ」として開発されたものではなかったが、1号機(ケストレル)がガンダムタイプに改修されたことを知るクルーからは、すでにガンダムと呼ばれていた。頭部のV字アンテナもガンダムタイプのものに似ているという理由から、パイロットとなったヨーンもこれをガンダムと呼んでいる。
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