トリホスゲン
ウィキペディア フリーな encyclopedia
トリホスゲン (Triphosgene) または炭酸ビス(トリクロロメチル) (Bis(trichloromethyl) carbonate) は、化学式が (Cl3CO)2C=O と表される有機化合物である。有機合成においてホスゲンの代替として、塩素化、脱水縮合などの用途に用いられる。トリエチルアミンなどの作用で分解し、ホスゲン3分子を発生する。
概要 トリホスゲン, 識別情報 ...
トリホスゲン | |
---|---|
炭酸ビス(トリクロロメチル) | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 32315-10-9 |
特性 | |
化学式 | C3Cl6O3 |
モル質量 | 296.748 g/mol |
融点 |
80 °C, 353 K, 176 °F |
沸点 |
206 °C, 479 K, 403 °F |
水への溶解度 | 加水分解 |
危険性 | |
安全データシート(外部リンク) | Fisher MSDS |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
閉じる
トリホスゲンは白色の結晶で、分子量 296.75、融点 82 ℃、沸点 203–206 ℃ (760 mmHg) である。ジクロロメタン、THF、ベンゼン、ヘキサン、クロロホルムなど各種有機溶媒に可溶。やや催涙性があり、湿気に弱いので冷暗所に密封保存する。
1880年、炭酸ジメチルに光照射下塩素ガスを作用させることで初めて合成された。しかしその化学的性質が詳しく調べられ、試薬として普及したのは一世紀以上後、1980年代後半になってからである。