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IMZ-ウラル(英: IMZ-URAL, 露: ИМЗ-УРАЛ)は、ロシアのIMZ社(英:Irbit Motorcycle Plant 露:Ирбитский мотоциклетный завод[Irbitskiy Mototsikletniy Zavod])が製造しているオートバイおよびサイドカーのブランドである。
本来サイドカーのバイク部分を「本車」というが、言語表現上「当該車種」の意味においても「本車」と表現するため、以下本文便宜上、バイク部分を「単車」と表現している。
IMZ-ウラルは第二次世界大戦にドイツ軍が使用していたBMW-R71型のコピーバイクが源流で、製造元のIMZ社もこの事実を認めている。IMZ社が最初期に製造した「ウラル」の名を冠する以前の車種であるIMZ-M72型[1]や、その改良型から現在に至るまでの車種なども、基本的なエンジン設計はBMW-R71や、その後継車種BMW-R75の水平対向二気筒エンジンの発展改良型である。
IMZ社の製造する製品は、最新鋭のテクノロジーを駆使したスピードやパワーを重視するオートバイというよりも、懐古主義的かつミリタリー指向の強いオートバイとして世界中から需要がある。また、自社製のサイドカーを主力商品として展開していて、他のサイドカーメーカーの製品よりも安価である。日本ではマイナーなオートバイであるが、本シリーズは世界で320万台余もの販売実績を持っており、2007年現在、世界で最も多く稼動するサイドカーの一つでもある[2]。
ロシア国内はもとより、輸出される際も、各国代理店へ大まかなパーツごとコンテナ納品され、代理店毎で組み立てて販売されているものが多い。従って、国毎、代理店毎でその車体販売構成や仕様が大幅に違う場合もあるという、かなり自由度の高い販売形態をとっている。物によっては個人の選択でキット販売として、パーツコンテナごと販売を行っている場合もある。特に特徴的なもので、かつての総代理店であった、サクマエンジニアリングの仕様では、日本の気候に合わせてキャブレターを交換、電装系を日本製のものに変更、希望によっては外部に自動車用バッテリーを搭載するなどの改造を行うなどして販売していた。その他、サイドカー用の単車部をソロモデルとして販売したり、一部部品を本家BMW用のものにして部品を強化(コピーバイクであるがために可能な部品もある)して販売するような代理店もある。こういう形で販売を行っているために実際は上記に記したモデル以上に多くのバリエーションが代理店毎に存在する。そのため購入するときは希望する仕様を販売店などと相談することが推奨されている。
ウラル・ギアアップ 2024年モデル | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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スタンダード、Garnet Red (2023年モデル) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
基本情報 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
排気量クラス | 大型自動二輪車 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
エンジン | 749 cm3 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
内径×行程 / 圧縮比 | 78 mm × 78 mm / 10.5:1 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
最高出力 | 41 hp (31 kW; 42 PS) / 5,500 rpm | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
最大トルク | 5.81 kg·m / 4,300 rpm | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
乾燥重量 | 331 kg | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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現在、IMZ社は、ロシア民主化による民営化以降、対外的な屋号を「ウラルモト社」としている(ただし、生産工場であるIMZの名称も併用しているようなので、販売部門と生産部門とで管轄が違うようである。このあたりの管轄部門で名称が異なるのは同じ製品を多くの種別の施設工場で生産していたという旧共産国ではよくある事情からくるもので、旧共産国では別段珍しいことではない)そしてその販売、生産する「ウラル」は、現在では主にサイドカーとしてその名をはせている。本車の特徴は、軍用サイドカーの設計をそのまま民需製品に転用していることであり、そのフレームなどの設計に近代的な設計変更はあるにしろ、そのデザインラインはIMZ-M72型サイドカーの基本設計をいまもって踏襲している。現在でも本車を軍用車両として配備している国もあるので、[3]基本的に本車は本来軍用車両であるという認識で間違いはない。このあたりは、米国のジープやハマー、ハンヴィー等と同様の経緯の車両と考えて良い。
そして最大の特徴であり、世界で本車が人気である最大の理由でもあるBMW-R75型の設計の流れをくむ「2輪駆動型」のサイドカーを主力製品としていることである。サイドカーとは元々3輪車両でありながら、その重心がバイク側に偏っており、本来お世辞にも操縦性能の良い乗り物とはいえない(この件については「サイドカー」の項目を参照のこと)。それを元々軍用サイドカーとして不整地性能向上のために使用された2輪駆動機構をそのまま製品に採用し、1輪駆動型のサイドカーで不都合のあった操縦性能を劇的に解消したことが本車を世界で有名にする要因ともなった。そしてその車体も軍用車両の伝統を引き継ぎ、そのほとんどの車体素材を鋼鉄製としているため、バイクとしてはまれに見る屈強、頑丈さを誇る。現在、民生品としてのバイクで、前後フェンダーやタンク、側車駆動シャフト等に防弾性能のあるバイクは本車ぐらいである。
しかし、エンジン周りやフレーム構造については、現在もなお、BMW-R71の系統である“戦後”に製造されたBMW-R75/5やBMW-R50をほぼコピー、エンジン自体は、それらを改良した水平二気筒エンジンを基本設計として採用しており、それ以外のエンジン設計を採用したことは一度もない。電気系も、日本などの先進国ではもう使われていないようなスティックヒューズを採用していたり、これだけ屈強な車体性能を持ちながら、防錆処理に難があったり、タイヤはいまだにチューブ式であるなどの点を残す。また、エンジンを始動する際は古い形態のバイク独特のチョークやキック、ガソリンコックにスロットルの操作、エンジン回転に気を使うなどしなければならず、極めて玄人志向の強いバイクで、そういう点ではIMZ社自身は日本のホンダやカワサキのような先鋭的な誰でも容易に乗れるようなバイクを製造する民間オートバイメーカーとはいえず、こういうところで国営の軍需工場で作った軍用車両という名残を見せている。ただ、ウラルの新鋭技術を投入した全面的な近代化も将来的には否定できず、スヴェルドロフスク州産業エネルギー科学省機械製作・国防産業部長アレクサンドル・マカロフは、2006年11月、日本のホンダ・スズキなどのオートバイの委託製造をIMZ社で行うことに意欲を見せており、もしこれらの案件が現実になった場合、これらで得た技術が将来的にウラル、またはその後継車種に反映されることも否定できない。
2004年以前のモデルで、以下の注意事項が報告されている。なお、2005年以降のモデルでは、これらの注意点は大幅に改善されている箇所もある。
本車を製造するIMZ社(現ウラルモト社)(英: Irbitskiy Mototsikletniy Zavod、露: Ирбитский мотоциклетный завод)は、ロシア連邦ウラル連邦管区スヴェルドロフスク州イルビト市に拠を置く大型オートバイメーカーであり、その主力商品「ウラル」の製造元として知られている。世界でおそらく唯一、その主力商品がサイドカーという珍しいオートバイメーカーで、[7] 近年日本国内でも有名になっている外国車メーカーである。現在本企業は、旧共産国のメーカであるにもかかわらず、2007年現在のロシアの好景気も重なって、積極的に世界営業戦略を展開している。本項で詳述するウラルサイドカーは日本でも販売されており、新車を容易に入手可能。2007年12月に、総代理店ウラルモト社日本法人「ウラルジャパン株式会社(下記リンク参照)」が設立された。欧米では「コサックバイク」の俗称で呼ばれている。
ウラル・サイドカーの歴史は、そのままIMZ社の歴史でもあるといっても過言ではない。そしてその歴史は第二次世界大戦に端を発する。
当時、ナチス・ドイツと対峙していた、スターリン率いるソビエト連邦は、ドイツの電撃作戦を目の当たりにし、自国の機甲軍団装備の劣勢を悟っていた。特に当時のソ連では軽車両のエンジン設計技術でドイツよりも数段劣っており、ドイツ機甲師団のような戦車などの大型戦闘車両に随伴できる軽車両は非常に少なかった。特に1939年第一次ソ・フィン戦争(冬戦争)によって、その機動力の強化を痛感し、斥候任務や士官移動用に性能の良いオートバイを求めるようになった。そして当時連合国で同盟国であったアメリカ合衆国・ハーレーダビッドソンがR71を解析したXA型バイク[注釈 1]を少数製造したが、ハーレー社がV型エンジン開発に力を注いだため、水平型エンジンバイクの支援を待ち望んだソ連はそれをあきらめ、独自開発を行う事になった。しかし前記のとおり、当時のソ連の軽車両エンジンは旧式で、オートバイ用エンジンもその例に漏れず、TIZ-AM-600型やPMZ-A-750型、ИЖ(IZH・現イズマッシュ。カラシニコフ小銃のメーカー)シリーズというソ連独自のオートバイも存在したが、時の時流のオートバイ設計に比べれば全くの旧式で、後継バイクの開発に苦慮していたが、スウェーデン人内通者によってBMW-R71型の設計図と車両本体がソ連にもたらされ、この車両と設計図を解析し、BMW-R71のまったくのコピーともいえるIMZ-M72を製造することになる。元々BMW-R71自体の基本設計が非常に優秀で、それをコピーしたIMZ-M72も非常に使い勝手がよく、大戦を通じてソ連軍の主力バイク。特にサイドカーとして製造された。大戦後、ソ連は当時のドイツ軍のオートバイ製造関連施設や資料、技術を接収することができ、完全な形で当時のドイツの主力車種、BMW-R75等のBMWシリーズ製造技術を入手することになる。このドイツの関連施設の接収と技術の吸収において、特に側車側の車輪も駆動させるBMW-R75型独特の2輪駆動型サイドカーの製造技術が、現在の形の「ウラル」そして、ウラルの対抗車種「ドニエプル」製造の基礎になるのである(2輪駆動機構のシステムでは、ウラルよりもドニエプルの方が、R75型に近い設計と言われている)
本車が「ウラル」の名を称するきっかけも第二次世界大戦にある。ドイツが1941年のバルバロッサ作戦発動により、ソ連を奇襲した際、緒戦で逼迫した戦況にあったソ連は、当時モスクワ近郊にあったM72を製造する工場である「モスクワオートバイ工廠 MMZ」(ММЗ:英:Moskovskiy Mototsikletniy Zavod 露:Московский Мотоциклетний Завод)と、その関連施設に爆撃されることを恐れ、急遽ウラル山脈東方のスヴェルドロフスク州イルビト市にその拠点を移し、終戦まで製造を続けた。このイルビトに、この工場を移転したのが、現在のIMZ社の名前の由来となり、その後のサイドカー「ウラル」の名称も、隣接するウラル山脈からとられることになった(Ирбитский мотоциклетный заводを日本語に訳すと、「イルビトオートバイ工廠」になる。ソ連時代は、こういった工廠の名称を単純に地方名で表すことが多い)。ソ連がBMW-R71をコピーするにいたった経緯には、複数の説があり、ソ連のスパイがBMW-R71の青写真と、車両を盗んだという説、ドイツが、独ソ不可侵条約下で、ドイツ軍がBMW-R75が主力になったので、R71をソ連に販売したという説など、諸説ある。IMZ社は、スウェーデン人仲介説をそのサイトで説明している。なお、戦時中は、交戦する互いの国の著作権や特許等の知的財産権は停止、無効とされるので、このようなコピーバイクを製造しても戦後に権利使用料支払いの訴訟などを起こすことはできない。
現在、ウラルサイドカーは、排気量650ccの車両と、750ccの車両がある。650cc型フルタイム2輪駆動モデルは、2007年現在製造が中止されており、事実上の製品は750ccモデルのみとなっている。
ギアアップの2023年モデルに追加された。スペアタイヤやサイドカーのフォグランプをはじめとする標準装備のアクセサリーを取り除き、カスタマイズベースとして用意された[8]。
標準単車モデル。ドラッグタイプのハンドルを採用し、フロントサスの長いアメリカンバイクをイメージしたモデルである。大型自動二輪免許対象車
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