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アワセオウギ属

接合藻の属 ウィキペディアから

アワセオウギ属
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アワセオウギ属(アワセオウギぞく、学名: Micrasterias)は、接合藻チリモ目チリモ科に分類される緑藻の一である。接合藻の中でも特に美しい属として知られる[5][9]アワセオオギ属クンショウチリモ属ミクラステリアス属ともよばれる。「アワセオウギ」の名は、細胞が2つの(おうぎ)を合わせたような形をしていることに[6][5]、「クンショウチリモ」の名は勲章の形に似ていることに[5]、学名の Micrasteriasギリシア語mikros(小さい)+ aster(星)に由来する[6][10]。基本的に単細胞性であり、細胞は大型で扁平、中央は深くくびれ、縁辺にも多数の切れ込みがある(図1)。葉緑体は板状で半細胞に1個、複数のピレノイドを含む。湖沼湿原などに生育する。100種ほどが知られる。

概要 アワセオウギ属, 分類 ...
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特徴

ふつう単細胞性であるが、M. foliacea は、縦につながった帯状群体を形成する[1][2][9]。細胞はふつう大型で楕円形や多角形、扁平で中央が深くくびれ(地峡)、2個の半細胞に分かれており、各半細胞に多数の陥入部があって複数の葉片に分かれている(ふつう頂端の極裂部 polar lobe と左右の側裂部 lateral lobes に分かれ、さらにそれぞれ細かく切れ込む)[1][5][2][8][9][11](図1, 2)。ときに隆起部や突起、刺などをもつ[1][5][2][8][9][11]。細胞壁は平滑または細点や小刺がある[5][2][9]。各半細胞に板状の葉緑体が1個存在し、それぞれ複数のピレノイドを含む[1][5][2][9][11](図1, 2)。は細胞中央にある[1][11]

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2a. M. americana
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2b. M. thomasiana
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2c. アワセオウギの細胞分裂

二分裂によって無性生殖を行う[1][2]細胞質分裂時に小さな半細胞が形成され、これが発達して娘細胞が完成する[1](図2c)。接合による有性生殖を行い、ホモタリック(遺伝的に同一の株内で交配する)またはヘテロタリック(遺伝的に異なる交配型間で交配する)、粘液鞘の中で細胞(配偶子嚢)が相対し、それぞれの細胞は半細胞に裂開、原形質(配偶子)を放出して融合し、接合子(接合胞子)を形成する[1][2][9][12]。分裂直後で半細胞が不完全な細胞が配偶子嚢となる例も知られている[2]。接合胞子は球形、表面には刺がある[1][2][9][12]。接合胞子が発芽すると細胞壁外層・中層が裂開し、そこから内層が外に出て発芽嚢(germination vesicle)を形成、この中で減数分裂を行なう[12]。減数分裂で生じた4核のうち1核のみが残って1個の発芽幼体を生じる例や、2核が残って2個の発芽幼体を生じる例が知られている[12]。発芽幼体(ゴーン細胞)はツヅミモのような形態をしており、その後の細胞分裂によって初めて種特異的な半細胞を形成、さらにその次の細胞分裂で本来の細胞形が完成する[12]

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生態

世界中に分布し、貧栄養酸性の湖沼や湿原に多いが、平地の池沼で見られる種もいる[9][11][7]水草などの基質に付着しているが、一時的なプランクトンとなることもある[11]

Micrasterias hardyiオーストラリア特産種とされていたが、2011年に初めて日本の琵琶湖で確認され、2016年以降にしばしば大発生している[13]。本種は、外来生物として日本に侵入したと考えられている[13]

分類

アワセオウギ属は、ホシミドロ綱(接合藻)のチリモ目、チリモ科に分類される[1]。系統的にはおおよそ単系統群を形成するが、オニノカナボウ属Triploceras)および Staurodesmus dickiei を含むことが示されている[14]

2025年現在、アワセオウギ属には100種ほどが知られ、多数の変種品種が記載されている[1]の分類形質としては、細胞の形態、大きさ、地峡や切れ込み、細胞壁の特徴などが用いられている[5][9]。いくつかの亜属に分類することもある[2]。日本からは30種ほどが報告されている[5]

ギャラリー


脚注

外部リンク

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