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ウクライナ国家警察

ウクライナの警察組織 ウィキペディアから

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ウクライナ国家警察(ウクライナこっかけいさつ、ウクライナ語: Націона́льна полі́ція Украї́ниウクライナ語発音: [nɐt͡s⁽ʲ⁾ioˈnɑlʲnɐ poˈl⁽ʲ⁾it͡s⁽ʲ⁾ijɐ ʊkrɐˈjinɪ]ロシア語: Национальная полиция Украины (НПУ))は、ウクライナの国営にして唯一の警察組織である。しばしば単にポリツィヤ: Поліція、「警察」)と呼ばれる。ペトロ・ポロシェンコ大統領によって開始されたポスト・ユーロマイダンの諸改革の一環として、ウクライナのかつての国営の警察組織民警英語版ウクライナ語版(ミリツィヤ)を置き換えるべく2015年7月4日に創設された[5][6]

概要 ウクライナ国家警察 Національна поліція України, 通称 ...

内務省によって監督されている[7]

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歴史

要約
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2015年7月3日以前は、ウクライナにおける法執行英語版は内務省によって民警英語版ウクライナ語版として直接実施されていた。腐敗していることが広く知られていたこの省を改革する計画は、さまざまな政権や政党によって提唱されてきたが、これらの計画が実現することはなかった[6][8]

2013年から2014年のユーロマイダン運動とそれに続く革命の直後、改革の必要性がすべての政党によって認識された。2014年10月に議会選挙英語版が実施されると、その後連立政権英語版を樹立した5つの政党すべてが、内務省を改革し、新しい国家警察を創設することを公約した[9]

これらの改革の一環として、アルセン・アバコフ内務大臣は2015年の末までにウクライナの警察官の数を16万人まで削減する計画を示した[10]。この改革計画は、2015年夏の内務省の既存の国家自動車検査局 (DAI) と首都キーウのパトロール隊の統合で始まった[11][12]。この新しい警察は、アメリカ合衆国日本を含むさまざまな国々から資金提供を受けた[13]。このキーウにおける新しい組織を始動させるため、33,000名の応募者から選抜された2,000名の男女の新人警察官が採用された。彼らは、米国やカナダの警察官によって北米式の訓練を受けた[14]

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リヴィウでの新しい警邏警察の始動。2015年8月23日。

2015年7月2日、最高議会において2015年国家警察法が可決された[15]。7月4日のキーウでの新しい警邏警察の設置と同時に、民警はすべてのパトロールを停止したが、警察署や事務庁舎で勤務を継続した[13][16][17]。その後、警邏警察はウクライナ全土に展開した[13]。組織としての国家警察は2015年9月2日に正式に設置された[7]。2015年9月下旬までに、2,000名の新人警察官がキーウで勤務し、ハルキウでは800名、オデーサリヴィウで1,700名が勤務していた[16][18]。この時点では民警は警察官152,000人規模であり、ウクライナ全土での警察活動の大部分の担当を続けていた[19]。この新しい警察組織の基本給(月額約400ドル)はかつての民警のそれのおよそ3倍であるが、これは汚職英語版を減らすための取り組みである[20]

2015年11月7日、国家警察法が施行され、新設の国家警察は正式にかつての民警と交代した[21][22]。同日、民警の残存職員は国家警察の「臨時代理」職員と規定された[21]。この変化は彼らに「健全性チェック」の後に国家警察の構成員となれる機会を与えたが、彼らは年齢条件を満たし、再訓練を受けている場合のみその資格があった[21][23]。この移行期間は2016年10月20日に終了した[24]。この移行期間に、警察幹部の26パーセントが解雇され、4,400人の警察官が降格し、同数が昇進した[24]

ロシアの全面侵攻において

2022年2月14日、国家警察はロシア軍の集結と侵攻の脅威への対応として戦闘準備態勢に移行した[25]。国家警察およびその特殊部隊である即応作戦対応部隊(KORD)キーウ攻勢において侵攻してきたロシア連邦軍との戦闘に直接参加した[26]2022年ロシアのウクライナ侵攻が続く中、国家警察はウクライナの支配地域で法と秩序を維持し、民間人を避難させ、占領軍の戦争犯罪を捜査し、検問所を運営し、潜入者・利敵協力者を摘発することで戦争努力を支援した[15][27]。2022年3月1日までに、警察官17名が死亡し、50名が負傷、2名が作戦行動中行方不明となった[27]

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用語

ウクライナ国立学士院ウクライナ語研究所のカテリナ・ホロデンシカウクライナ語版 (Катерина Городенська) 教授やキーウ大学ジャーナリズム研究所のオレクサンドル・ポノマリウウクライナ語版 (Олександр Пономарів) 教授によれば、警察官を指す正しいウクライナ語の単語は「ポリツィヤント」(поліціянт) または「ポリツィイニー」(поліційний) である[28][29]。これは、国家警察の警察官に言及するのに一般に用いられるロシア語からの借用語である「ポリツェイスィキー」(поліцейський) とは異なるものである。

ウクライナでは、大衆が警察官に話しかける際に階級が使われることはめったにない。「パン」(Пан) (女性形は「パニ」(Пані)) ——「お兄さん」や「お嬢さん」にあたるウクライナ語——が警察官に言及するのに用いられているのを聞くことの方が多い[30][31][32][33]。また、「オフィツェル」(офіцер) または「ポリツェイスィキー」といった修飾語がこれらの呼びかけ方と合わせて用いられることもある。

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組織と支局

要約
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警察官のIDカード(見本)。

ウクライナ国家警察には、中央管理機関(Центральний орган управлінняまたはАпарат)、州際地方機関 (Міжрегіональні територіальні органи) 、24州とキーウ市において国家警察を代表する警察総局 (Головні управління поліції в областях України) の3種の組織がある[34]。中央管理機関はキーウに集約されており、高度に専門化された部署を有する[34]。州際地方機関とは、各地方に支部を設置することができるが、各州警察総局局長ではなく総監に直属しており、キーウから指揮監督を受ける部門である[35]。以下の組織図はウクライナ国家警察公式サイトによる[36]

組織図

中央管理機関

  • 内部部局
    • 総監官房
    • 予防活動部
    • KORD部(特殊任務警察)
    • 国際警察協力部
    • 組織分析支援・捜査補助員[注釈 1]対応部
    • 情報分析支援部
    • 法務部
    • 人事部
    • 広報課
    • 内部監査課
    • 管財部
    • 文書管理部
    • 爆発物業務課(特殊任務警察)
    • 機密・情報技術的保全課
    • 人権擁護課
    • 汚職対策課
    • 警察犬活動調整係
    • 特殊通信係
    • 恩給事務班
    • 財務・会計部
    • 航空隊・水上警察課
    • 総査察部
    • 武器流通取締係
    • 青少年予防課(警邏警察)
  • 刑事警察
    • 刑事捜査部
    • 人身売買関連犯罪対策部
    • 捜査補助員業務部
    • 捜査補助員技術対策部
    • 危険物関連業務保障
    • 刑事分析部
    • 社会・国家利益保護部
  • 公判前捜査体
    • 総捜査課
    • 取調課

州際地方機関

各州・都市警察総局

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NPUの警察官。

地方警察総局の組織は地方ごとの実態に応じて異なる[34]が、ここでは典型的なものを示す。

  • 内部部局
    • 局長
    • 捜査課
    • 取調係(班)
    • 刑事捜査課(係)(刑事警察)
    • 人身売買警察課(係)(刑事警察)
    • 捜査補助員業務課(係)(刑事警察)
    • 捜査補助員技術対策課(係)(刑事警察)
    • 刑事分析課(係、班)(刑事警察)
    • 社会・国家利益保護課(係、班)(刑事警察)
    • 予防活動課(係)(警邏警察)
    • 青少年予防係(班)(警邏警察)
    • KORD課(特殊任務警察)
    • 爆発物業務課(係、班)(特殊任務警察)
    • 一時拘置施設活動調整係(班)
    • 武器流通取締係(班)
    • 国際警察協力係(班)
    • 組織分析支援・捜査補助員対応課(係)
    • 情報分析支援課(係)
    • 法務係(班)
    • 広報係(班)
    • 人事課(係)
    • 総査察課(係)
    • 財務・会計課(係)
    • 内部監査係(班)
    • 補給・物資技術支援課(係)
    • 機密・情報技術的保全課(係)
    • 文書管理係(班)
    • 特殊通信係(班)
    • 汚職対策係(班)
    • 恩給事務班
  • 地方(独立)部隊としての警察課(係)
    • 責任者
    • 捜査係(室)
    • 取調係(班)
    • 刑事警察係(班)
    • 特別警察班
    • 予防係(班)(警邏警察)
    • 警邏警察対応係(班)(警邏警察)
    • 行政実施班(警邏警察)
    • 警察活動係(班)(警邏警察)
    • 青少年予防係(班)(警邏警察)
    • 武器流通取締班
    • 監視係(班)
    • 人権擁護班
    • 人事係(班)
    • 機密班
    • 補給班
    • 情報支援班
    • 文書管理班
    • 広報・特殊通信各担当官
    • 地方(独立)部隊としての警察係(室)
      • 責任者
      • 捜査室
      • 取調班
      • 刑事警察班
      • 予防班(警邏警察)
      • 警邏警察対応班(警邏警察。警邏警察の部隊が配置されていない地域を担当)
      • 警察活動班(警邏警察)
      • 監視班(当直室)
      • 人事班
      • 機密班
      • 情報支援・補給・文書管理各担当官
  • 支援センター
  • 一時留置場
  • 特殊任務警察警邏部門戦闘部隊
  • 特殊任務警察戦闘部隊
  • 訓練センター
  • 警察犬センター
  • 児童保護収容施設(警邏警察)
  • 護送部門戦闘部隊
  • 音楽隊

付属国立機関

  • ウクライナ国家警察下部組織補給センター
  • ウクライナ国家警察航空支援センター
  • ジトーミル警察官教育訓練センター
  • リウネ警邏警察学校
  • 警邏警察学校
  • ヴォルィーニ警察官教育訓練センター
  • クルィヴィーイ・リーフ警邏警察学校
  • チェルニウツィー警邏警察学校
  • 就学前教育施設(保育園・幼稚園)(15か所)
  • 児童保養施設(9か所)

各州の下部組織の袖章

さらに見る 地方部隊, 創設日 ...
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階級構造

ウクライナ国家警察の階級および階級章は以下のとおりである[66][67]

幹部

さらに見る 上級官, 中級官 ...

下級官

さらに見る 下級官 ...
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歴代総監

ウクライナ国家警察総監は、内務大臣によって指名され、閣僚会議(内閣)によって認証される[68]

さらに見る 代, 氏名 ...

宣誓

2015年国家警察法第64条によれば、NPUの警察官になろうとする者は以下の宣誓を行わなければならない[75]

私、(姓・名・父称)は、重大な責任を自覚し、ウクライナ国民に忠実に奉仕すること、ウクライナの憲法および法律を遵守し執行すること、人権、自由および国の名誉を重んじ、擁護すること、警察官の高い品位を威厳をもって保つこと、そして自らの公の職務を誠実に実行することを厳粛に誓います。
Я, (прізвище, ім’я та по батькові), усвідомлюючи свою високу відповідальність, урочисто присягаю вірно служити Українському народові, дотримуватися Конституції та законів України, втілювати їх у життя, поважати та охороняти права і свободи людини, честь держави, з гідністю нести високе звання поліцейського та сумлінно виконувати свої службові обов’язки.
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装備

要約
視点

警察官たちは、勤務状況を常時モニタリングするカメラを装着している[16]。撮影された映像は、ソーシャルメディアへ投稿されたり、リアリティ番組で放送されたりしている[16]

乗物

さらに見る 画像, メーカーおよび車種 ...

武器

さらに見る 画像, モデル ...
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警察の日

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国家警察のドラム隊。

7月4日国家警察の日 (ウクライナ語: День Націона́льної полі́ціїIPA: [dɛnʲ nɐt͡s⁽ʲ⁾ioˈnɑlʲnoji poˈl⁽ʲ⁾it͡s⁽ʲ⁾iji]) は、ウクライナ警察の職業上の祝日である[4]。ミリツィヤによる法執行業務の停止と、ウクライナ国家警察の創設を記念する。また、キーウのソフィヤ広場で警察官の最初の宣誓が行われた日でもある。この日は警察官たちが親類・友人・同僚などから挨拶を受けるほか、警察署では優秀な職員の表彰が行われたり、週末にあたる場合はパーティーが催されるなどする[5]。当初この祝日は2015年12月9日付の大統領令第693/2015号によって、ペトロ・ポロシェンコ大統領が国家警察法に署名した日である8月4日として制定されたが、その後2018年4月4日の大統領令で毎年7月4日に祝われるべきと改正された[125][15]

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問題

ウクライナ・プラウダ紙は、2020年1月1日から2020年5月30日にかけてウクライナの警察官によって犯されたと伝えられる64件の犯罪を公開のソースから収集した[126]。事件は、財物強要からレイプ、さらに殺人にまで及んでいた[126]

関連項目

脚注

参考文献

外部リンク

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