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ウミガメ科
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ウミガメ科(ウミガメか、Cheloniidae)は、爬虫綱カメ目に属する科。平たい流線型の幅広く丸い甲羅と、ひれ状の前脚が特徴である。カメの中では珍しく、後脚よりも前脚の方が頑強である[3]。6種が分類されている[4]。
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分類
要約
視点
現生種
以下の種が分類されている[2]。
- アカウミガメ亜科 Carettinae
- アカウミガメ属 Caretta
- アカウミガメ Caretta caretta Loggerhead turtle
- ヒメウミガメ属 Lepidochelys
- ケンプヒメウミガメ Lepidochelys kempi Kemp's ridley turtle
- ヒメウミガメ Lepidochelys olivacea Olive ridley turtle
- アカウミガメ属 Caretta
- アオウミガメ亜科 Cheloniinae
- アオウミガメ属 Chelonia
- アオウミガメ Chelonia mydas Green turtle
- タイマイ属 Eretmochelys
- タイマイ Eretmochelys imbricata Hawksbill turtle
- ヒラタウミガメ属 Natator
- ヒラタウミガメ Natator depressus Flatback turtle
- アオウミガメ属 Chelonia
絶滅群
以下の分類群が知られる[5]。
- Allopleuroninae
- アロプレウロン Allopleuron Baur, 1888
- Glyptochelone Dollo, 1903
- プロトスファルギス Protosphargis Capellini, 1884
- Ashleychelys Weems and Sanders, 2014
- Cabindachelys Myers et al., 2018
- Chelone Linnaeus, 1758
- アオウミガメ亜科 Cheloniinae
- Glarichelys Zangerl, 1958
- Rupelchelys Karl and Tichy, 1999
- Chelyopsis Smets, 1887
- Dollochelys Zangerl, 1971
- Eochelone Dollo, 1903
- Erquelinnesia Dollo, 1887
- Gigantatypus Kaddumi, 2006
- Itilochelys Danilov et al., 2010
- Lembonax Cope, 1870
- Lusochelys Pérez-García and Antunes, 2024
- Lytoloma Cope, 1870
- Miocaretta Deraniyagala, 1967
- Osonachelus de Lapparent de Broin et al., 2014
- Pacifichelys Parham and Pyenson, 2010
- プロコルポケリス Procolpochelys Hay, 1908
- Protrachyaspis Zvonok et al., 2024
- プッピゲルス Puppigerus Cope, 1870
- Syllominae
- Bryochelys van Beneden, 1871
- シーロムス Syllomus Cope, 1896
- タスバッカ Tasbacka Nesov, 1986
- Trachyaspis von Meyer, 1843
- Zangerlchelys Hirayama, 2006
系統
以下の系統樹は現生種と絶滅種の系統を示し、Lynch & Parham(2003)[6]および Parham & Pyenson(2010)に従う[7]。絶滅種はウミガメ科以外の近縁種も示す。
Pancheloniidae (=広義のウミガメ科) |
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形態
地上に生息するカメとは対照的に、頭を甲羅の中に引き込む能力を持たない。腹甲は他のカメに比べて比較的小さく、背甲と腹甲の継ぎ目には下縁甲板という甲板があり、この甲板は現生種では本科とメキシコカワガメ科のみが持つ原始的な形態とされる。甲長は71-213 cmである[3]。最小種のケンプヒメウミガメは甲長約75cm、体重50kgである。すべての種は独特の硬い甲羅を持つ[8]。
分布と生息地
インド洋、太平洋や大西洋の熱帯・亜熱帯海域に広く分布し、地中海などの温暖な海からも知られる[9]。産卵の際には海岸線の近くに現れるが、一生の大半を海で過ごし、餌を求めて大陸棚を泳ぎ回る[10]。ヒメウミガメは外洋を移動することが報告されているが、ほとんどの場合、湾や河口に頻繁に現れる。ケンプヒメウミガメやヒラタウミガメなど、分布域が限定された種もいる。
生態
ほとんどの種が肉食性で、主に海綿動物、クラゲ、軟体動物やフジツボ、サンゴ、ヒトデ、甲殻類、ウニ、魚類を捕食する。アオウミガメは草食性の傾向が強く、成体は主にさまざまな種類の海草や海藻を食べる[11]。
生殖行動は類似しているが、種ごとにわずかな違いがある。雌は通常夜間に海岸に上陸し、海岸の満潮線から十分離れた砂浜や砂地に穴を掘って卵を産む。ほとんどの雌は3-4年に1度しか産卵しない。ほとんどの種で、春から晩秋の繁殖期ごとに2-4回の産卵期がある。1回あたり約100個の卵が産まれる。孵化期間が50-60日間になる種もある。卵の発育は、卵が埋められた環境の温度に依存し、気候が温暖なほど孵化も早い。孵化は卵全体でほぼ同時に起こる傾向があり、巣のほぼすべての卵が同時に孵化する。これにより幼体が砂から出やすくなると考えられており、孵化は夜間に最もよく起こる。性別は温度と関連しており、温度が高いほど雌が生まれる可能性が高く、温度が低いほど雄が生まれる可能性が高くなる[12]。ヒメウミガメ属では昼間に集団で産卵することもあり、この行動はアリバダと呼ばれる。
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人間との関係
国際自然保護連合のレッドリストでは、アオウミガメとアカウミガメは絶滅危惧種、ヒメウミガメは危急種、ケンプヒメウミガメとタイマイは近絶滅種で、ヒラタウミガメはデータ不足とされている[13]。
ほとんどの個体は性成熟に達する前に他の生物の餌になるか、人間に意図的に捕獲されるか、混獲される。成長速度が遅く、ほとんどの場合約10-15年かかり、捕獲されたウミガメは成熟して子供を産むことが難しい。ウミガメの死亡数を減らすために国際法が制定されたが、世界中のウミガメの卵の需要は抑えられず、一部のウミガメは甲羅目的で捕獲されている。卵も含めて食用とされることもある。
加えて、皮膚、口、さらには内臓に線維性腫瘍が増殖する線維乳頭腫症 (フィブロパピロマ)を患ったカメが増えている。感染したカメの数は地域によっては70%を超えている。この腫瘍は環境汚染によって引き起こされている可能性があり、ウミガメの個体群への長期的な影響は不明である[14]。
ウミガメは海洋生態系において非常に重要な役割を果たしている。海草やサンゴ礁の健全なバランスを維持し、エビやマグロなどの生物に利益をもたらす。また、ウミガメは海生爬虫類の最後の生き残りでもある。ウミガメは多くの文化にとって非常に重要な動物であり、観光業でも人気の動物であるため、その保護はより重要視されている[12]。
漁業による混獲や海洋汚染、食用や皮、鼈甲目的の乱獲等により生息数は激減している。科単位でワシントン条約附属書Iに掲載され、商業目的での国際取引は禁止されている。各国で保護活動が進められているものの、生態の不理解(例を挙げると卵を掘り出した際に上下を変える→発生が停止する、孵化した幼体を昼間に放流する→天敵に捕食される可能性が高くなる等)から問題もある。
日本においても、アカウミガメ・アオウミガメ・タイマイの3種が生息するが、埋め立てや護岸工事による砂浜の破壊により産卵地がほとんど消滅しており、近い将来の絶滅が予想される。
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出典
参考文献
関連項目
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