トップQs
タイムライン
チャット
視点

エウポマティア科

ウィキペディアから

エウポマティア科
Remove ads

エウポマティア科(エウポマティアか、学名: Eupomatiaceae)は、被子植物モクレン目に属するの1つである。低木から矮性低木は2列互生し、花芽つぼみ)はカリプトラとよばれるキャップ状の構造で覆われ、花被を欠くが、をもつ雄しべの内側に花弁状の仮雄しべが多数ある。ただ1エウポマティア属Eupomatia)のみを含み、3種ほどが知られる。ニューギニア島からオーストラリア東部に分布する。

概要 エウポマティア科, 分類 ...

属名である Eupomatia の語源は、eu-(真の、発達した)と pōmatia(カバー)であり、発達したカリプトラを意味している[11]

Remove ads

特徴

常緑性低木から矮性低木[6][12](図1、下図2a)。は隔膜を欠く[13]。多葉隙多葉跡性[12][13]師管色素体はP-type[12][13]精油を含む[12]。根にはアルカロイドが含まれる[11]

は2列互生単葉全縁葉脈は羽状、葉柄をもち、托葉を欠く[6][12][14](下図2a)。

Thumb
2a. E. laurina の葉は二列互生する。葉腋に花がついている。
Thumb
2b. E. laurina の花: 花芽を覆っていたカリプトラが外れている。花の最外縁の細い構造が稔性雄しべ、内側の花弁状の構造は仮雄しべ。
Thumb
2c. E. barbata の花: 仮雄しべ上に多数の顆粒が存在する。中央に柱頭が見える。

は両性、放射相称、ふつう単生するが、ときに数個が束生し、頂生または腋生[12][13][14][15](上図1, 2)。花被とされることもある[6][14])が花芽を包むキャップ状のカリプトラとなり、開花時にはカリプトラがとれて脱落する[6][14][12][13](上図2b)。花被萼片花弁)を欠く[12][13](前述のようにカリプトラは花被からなるとされることもある)。雄しべは多数、離生、らせん状につき、求心的に成熟する[12]。生殖能をもつ雄しべは外側のものだけであり、葉状だがやや細く、は外向、葯隔は突出する[12][6][14](上図2b, 下図3)。小胞子形成は同時型、花粉は帯溝粒[12][13]内側の雄しべは幅広い弁状で葯を欠く仮雄しべとなるため、雄しべの内側に花弁があるように見える[6][14][12][13](上図2b, 下図3)。仮雄しべは一部基部が合生し、腺を多数もち、訪花者の餌となる[6][13](上図2c)。雌しべは基本的に離生心皮心皮は多数、一部は基部が合生、くぼんだ花托にらせん状につき、嚢状で不完全に閉じている[12][13]子房周囲から半下位、胚珠は1心皮あたり2–11個、倒生胚珠で2珠皮性[6][14][12][13]

果実液果花托に埋没し、互いに癒合して集合果となる[12]胚乳は油質で豊富、はよく分化しているが非常に小さい[14][12]染色体数は 2n = 20[13]

Remove ads

分布・生態

Thumb
3. Eupomatia laurina の花上の Elleschodes。外周の細長い構造は雄しべ

ニューギニア島からオーストラリア東部の熱帯域から温帯域に分布する[14][13][1]

花は雌性先熟であり、1日または2日開花する[11]Eupomatia laurina の花では、早朝の間は雌性期であり、柱頭が露出しているが、やがて雌しべは仮雄しべに覆われ、夕方になって雄しべが成熟して花粉を放出する[11]

エウポマティア属は、花粉媒介において Elleschodes(甲虫目ゾウムシ科)と特異的な関係を結んでおり、Elleschodes 以外による花粉媒介は知られておらず、また Elleschodes はエウポマティア属の花でのみ見られる[11](図3)。エウポマティア属の花の仮雄しべは、Elleschodes を誘引する匂いを発し、餌となるデンプンを提供、花粉を付着させる粘着物質を分泌する[13][16]Elleschodes は花の上で交尾、雄しべ基部に産卵し、卵・幼虫は雄しべと共に地面に落ち、これを餌として成長した後に地中で蛹化し、2–3週間後に羽化する[13][16]

Remove ads

系統と分類

古典的な被子植物の分類体系である新エングラー体系クロンキスト体系では、エウポマティア科はモクレン目に分類されていた[7][8][17][18]。その後一般的となったAPG分類体系でも、エウポマティア科はモクレン目に分類されている。モクレン目の中では、エウポマティア科はバンレイシ科姉妹群であると考えられている[13]

エウポマティア科の中にはただ1属、エウポマティア属(Eupomatia[6][5]のみが知られている[1][2][13]。またエウポマティア属の中には、3種が認識されている[1][2][13](下表1)。

表1. エウポマティア科の分類体系の一例[1][2][19]

ギャラリー

脚注

外部リンク

Loading related searches...

Wikiwand - on

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.

Remove ads