エグゼクティブ・エージェンシー

エグゼクティブ・エージェンシー（英: executive agency）とは、イギリスにおいて、管理及び予算について省から分離して設置される行政機関である。イギリス政府、スコットランド政府、ウェールズ政府及び北アイルランド執政府の執行機能の一部を実行する。執行機関と訳されることもある。また、単にエージェンシーともいう。非内閣構成省庁（英語版）^[1]（英: Non-ministerial government department）、政府外公共機関（英語版）^[1]（英: Non-departmental public body）、準独立公共機関（英語版）^[1]（英: Quango）は、省大臣の統制から真に法的かつ憲法的に分離されるが、エージェンシーは、そのいずれとも全く異なる政治機構（英: Machinery of Government）の装置（英: Devices）である。イギリスのエージェンシー制度を範にした制度は、他のいくつかの国々で導入されている。

各省の所管するエージェンシーの一覧

2022年6月中旬現在のイギリス政府の情報による^[2]。

法務長官

• 検察局（英: Crown Prosecution Service）
• 政府法務局（英: Government Legal Department）
• 重大不正捜査局

内閣府

• 庶民院長官室
• クラウン商業サービス（英: Crown Commercial Service）
• 枢密院事務局

ビジネス・エネルギー・産業戦略省

• 会社登記所（英: Companies House）
• 債務超過局（英: Insolvency Service）
• 知的財産庁（英: Intellectual Property Office）
• 気象庁（英: Met Office）
• イギリス宇宙局（英: UK Space Agency）
• 民間核警察局（英: Civil Nuclear Police Authority）
• 原子力廃止措置機関（英: Nuclear Decommissioning Authority）
• 英国原子力公社 （英: United Kingdom Atomic Energy Authority）

コミュニティ・地方自治省

• 計画審査庁（英: Planning Inspectorate）
• 女王エリザベス2世会議センター（英: Queen Elizabeth II Conference Centre）

デジタル・文化・メディア・スポーツ省

• 慈善委員会（英: Charity Commission for England and Wales）
• 国立公文書館（英: The National Archives）
• 王立公園庁（英: The Royal Parks）

教育省

• 教育助成局（英: Education Funding Agency）
• ofsted
• 国立教育指導専門学校（英: National College for Teaching and Leadership）
• 技能助成局（英: Skills Funding Agency）
• 教育水準・試験機構（英: Standards and Testing Agency）

環境・食糧・農村地域省

• 林業委員会（英: Forestry Commission）
• ofwat
• 動植物衛生庁（英: Animal and Plant Health Agency）
• 環境・漁業・水産養殖科学センター（英: Centre for Environment, Fisheries and Aquaculture Science）
• 地方決済庁（英: Rural Payments Agency）
• 獣医学研究局（英: Veterinary Medicines Directorate）

運輸省

• 鉄道規制庁（英: Office of Rail and Road）
• 運転免許・車両登録庁（英: Driver and Vehicle Licensing Agency）
• 運転者・車両基準庁（英: Driver and Vehicle Standards Agency）
• 海事沿岸警備庁（英: Maritime and Coastguard Agency）
• 車両認証局（英: Vehicle Certification Agency）

労働年金省

• 障害者雇用公社
• 健康と安全のエグゼクティブ（英: Health and Safety Executive）
• 全国雇用貯蓄信託（英: National Employment Saving Trust）
• 年金アドバイザリーサービス（英: The Pensions Advisory Service）
• 年金規制局（英: The Pensions Regulator）
• 原子力規制局（英: Office for Nuclear Regulation）

保健省

• 医薬品・医療製品規制庁（英: Medicines and Healthcare products Regulatory Agency）
• 英国公衆衛生庁（英: Public Health England）

外務・英連邦・開発省

• FCOサービス（英: FCO Services）
• ウィルトン・パーク（英: Wilton Park）

大蔵省

• 国家貯蓄投資（英: National Saving and Investment）
• 政府内部監査局（英: Government Internal Audit Agency）
• 債務管理局（英: Debt Management Office）

内務省

• 開示および禁止サービス（英: Disclosure and Barring Service）
• ギャングマスターと労働虐待局（英: Gangmasters Licensing Authority）
• 独立警察苦情委員会（英: Independent Police Complaints Commission）
• 移民助言局（英: Immigration Advice Authority）
• セキュリティ業界局（英: Security Industry Authority）

国防省

• Defence Electronics and Components Agency
• 国防科学技術研究所（英: Defence Science and Technology Laboratory）
• 英国水路部（英: United Kingdom Hydrographic Office）

司法省

• 児童および家庭裁判所の助言および支援サービス（英: Children and Family Court Advisory and Support Service）
• 刑事事件再審査委員会（英: Criminal Cases Review Commission）
• 裁判官選考委員会（英: Judicial Appointments Commission）
• イングランドとウェールズの仮釈放委員会（英: Parole Board for England and Wales）
• 青年司法委員会（英: Youth Justice Board）
• 刑事傷害補償機関（英: Criminal Injuries Compensation Authority）
• 英国裁判所・審判所局（英: HM Courts and Tribunals Service）
• 刑務局（英: HM Prison Service）
• 法律扶助局（英: Legal Aid Agency）
• 陛下の刑務所および保護観察サービス（英: HM Prison and Probation Service）
• 後見庁（英: Office of the Public Guardian）

その他の国々での事例

いくつかの国には、英国のエージェンシー制度を範とした制度がある。

アメリカ合衆国では、クリントン政権がこのモデルを輸入したが、その名称は「Performance-Based Organizations (PBOs)」に修正された^[3]。

カナダでは、「Special Operating Agencies」の名称の下、制限付きでエージェンシー制度が採用された^[4]。

このほか、オーストラリア、ジャマイカ、日本、タンザニアでも、英国のエージェンシー制度の影響を受けた行政機構が設立された。

参考資料

• 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社公共経営・公共政策部 (2007年3月). “諸外国における独立行政法人制度に関する調査研究―概要―” (PDF). 総務省行政管理局. 2016年8月4日閲覧。
• 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社公共経営・公共政策部 (2007年3月). “諸外国における独立行政法人制度に関する調査研究―報告書―” (PDF). 総務省行政管理局. 2016年8月4日閲覧。

関連項目

• トレーディング・ファンド（英語版）
• 政府外公共機関（英語版）^[1]
• イギリスの行政機関
• 欧州連合の専門機関
• アメリカ合衆国連邦政府の独立機関
• アメリカ合衆国連邦行政部
• 外局
• 独立行政法人
• 国有企業