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オヒョウ (植物)

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オヒョウ(於瓢[6]学名: Ulmus laciniata)はニレ科ニレ属落葉高木日本列島から北東アジアの山地に分布し、山地に生える。和名のオヒョウは、アイヌ語に由来する。

概要 オヒョウ, 分類 ...
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名称

樺太の白浦地方では樹皮をアイヌ語でオピウ(opiw)とも呼び、和名「オヒョウ」の名称はこれに由来する[7][8]。アイヌ語ではオヒョウの樹皮と繊維をアッ(at)、それが採れる木をアッニ(atni)ともよんでいる[9]樺太の方言ではそれぞれアㇵ(ah)、アㇵニ(ahni)という。ただしアイヌ語学者の知里真志保によれば、アイヌ語には植物の部分の呼び名はあっても、元来は植物そのものの名前はないとされる[8]。樹皮が特別にオピウとよばれるのは、アイヌにとってこの樹皮が特別役に立つものであったからである[8]。俗説として、葉の形を魚のオヒョウになぞらえる人もいるが、これについては懐疑的な見方もされている[10]

別名アツシノキ(厚司の木)、ヤジナ(矢科)、ネバリジナ(粘科)。アツシ[6]、アツニ、マルバオヒョウ、マルバオヒョウニレ、テリハオヒョウの別名もある[1]中国名は裂葉榆[1]。ヤハズレという和名の別名もあり、葉の形を矢筈に見立てて命名されたものである[8]

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分布

日本サハリン朝鮮半島中国北部に分布する[11]。日本では北海道本州九州(及び四国[12])に分布し、本州以南では山地で見られる[11]。涼しい地方で成育し、本州では東北地方信州木曽などに多いとされる[11]。オヒョウは水が十分にあって洪水がなく、肥沃な土地を好む性質で、ハルニレと同じような場所に自生する[11]

特徴

落葉広葉樹高木で、高さ約25メートル (m) に達する[9]樹皮は淡灰褐色から灰褐色で、細かく縦に浅く裂け、長く剥がれ落ちる[11][6]。樹皮の繊維は強靭。一年枝は淡褐色で無毛、円い皮目が散生する[6]の形は定型に当てはまらず、1枚として同じものがなく不整形(異葉性という)[13]。多くは楕円形から広倒卵型で、葉の先のほうが噛み切られているように3〜9裂し、縁には重鋸歯が見られる。両面に白い短毛がびっしり生え、ざらついた手触り。

花期は春(4 - 6月ごろ)で[6]、新葉の出る前に、花弁がない淡紅色の小が束状に咲く[11]果実は長さ2cmほどの扁平な楕円形をした翼果で、6月頃、褐色に成熟する。

冬芽は卵形の鱗芽で先が尖り、濃い栗色でつやがあり、5 - 6枚の芽鱗に包まれている[6]。枝先に仮頂芽をつけ、側芽は葉痕からややずれて枝に互生する[6]。葉痕は半円形で、維管束痕が3個つく[6]

利用

樹皮(靭皮:内樹皮)の繊維は、長くて非常に強靭で北方の樹種の中でも最も優れており、織物や縄の原料になる[6]アイヌはこれを染色して、アットゥㇱ(attus 厚司)という布や衣類を織る(同じ用途のシナノキより高級・希少とされる)[14][9][6]。別名のアツシノキはこのことに由来。アツシ織は北方民族の作品としては、最も優れたもののひとつである[9]。樹皮がオピウ(opiw)とよばれるのは、オヒョウの樹皮がアイヌにとって、最良の樹皮布が採れる役立つものであったからだといわれている[8]。オヒョウから樹皮を剥いで1週間を限度に、池などの水につけて繊維を採るが、温泉のほうが繊維が白くきれいに仕上がるといわれる[9]

樹木は器具材、薪炭材パルプに利用できる。

脚注

参考文献

関連項目

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