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餃子

小麦粉でできた皮に具を包んだ料理 ウィキペディアから

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餃子(ギョウザ、ギョーザ、: 饺子: 餃子拼音: jiǎozi)は、小麦粉を原料とした皮で、エビ野菜などで作ったを包み、茹でる焼く蒸す揚げるなどの方法で調理した食べ物である。成形後の加熱調理方法の違いによって、水(茹で)餃子焼き餃子蒸し餃子揚げ餃子などと呼ばれる。

歴史

歴史は古く、中国大陸の春秋時代紀元前6世紀頃に現在の山東省で誕生したとされている[1]。遺跡から、当時餃子が食べられていた痕跡が見つかっている。敦煌代の墳墓では、副葬品としてに入った餃子が乾燥状態で発見されている。

中華圏の餃子

概要 繁体字, 簡体字 ...
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饺子(簡体字表記)
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饺子
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水晶蝦餃 (蒸饺)、中国の エビ入り蒸し餃子。
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台湾などにある"焼き餃子"

中国では水餃子、つまり茹でて湯切りをしたものが主流であり、焼き餃子は水餃子に比べるとその数がずっと少ない[注 1] 。また中国では餃子は主食として食べられることが一般的であり、日本のように(白飯の)おかずとしては食べない。

中国においては、標準中国語の発音で「ジャオズ、チャオズ(ピン音jiǎozi)」といい、特に中国東北部(満洲)において水餃子(茹で餃子、満洲語ᡥᠣᡥᠣ
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, hoho efen)がよく食べられる。満洲族による清朝成立後に広く華北一帯に普及し、中華料理の代表的な料理の一つになった[1]

またそれとは別に、華南で発達した点心として食べられる蒸し餃子がある。

縁起物として
餃子はその発音が交子(を授かる)と同じであることや、代の銀子の形に似ていることから、縁起物としても食される[2]。また「交」には「続く、末永し」という意味もあり、春節には長寿を願い食され、大晦日(過年、guònián)には年越し餃子(更歳餃子、gèngsuì jiǎozǐ)を食べる[1]。また、皇帝も王朝と社稷の永続を祈願し、春節のときだけ餃子を食したという。ただこれは元来は北部の習慣である[注 2]元旦にも豊作を神霊に祈りつつ餃子が食される地域があり、儀礼食としても定着している[1]。地域によっては婚礼法要時にも食され、婚礼時には半月型の餃子を茹でて食されることが多い[1]
日式餃子
中国でも近年は、皮が薄い日本風の餃子を「日式餃子」と称して出す店もあり、主に日本人が多い地域の日本料理店で「日本料理として」提供される。しかし中国でも受け入れられつつある日式拉麺などとは違い、皮が薄い日本式餃子をチャーハン唐揚げなどと一緒に提供する食べ方は、「日本発祥」という認識も相まって全く受け入れられていない。日式餃子を前面に出して2005年に中国に進出した餃子の王将も2014年に撤退を発表[3]した。

餃子の具

中国では豚肉白菜を使った一般的なものの他に、たとえば下記の様な具が用いられる[1]。具材は地域によって大きく異なる[1]

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日本の餃子

日本の餃子は、日本で独自に変化したもの(日本式中華料理)で、焼き餃子が主流である。中国でも「鍋貼」と呼ばれる日本式焼き餃子と同じ調理法のものが一応は存在し、第二次世界大戦前の日本で出版された料理本にも「鍋貼」が掲載されている。例えば中村俊子『家庭でできるおいしい支那料理』(P183、富文館1927年)に「鍋烙餃子」(焼餃子)の作り方がある。中国東北部(かつての満洲)では蒸し餃子が主流で、古くなった餃子は油で炒める習慣があり、それは日本式の焼き餃子に似るが、あくまで「残り物」の処理方といった位置付けである(中国では茹でた水餃子が主流)。日本の餃子は具材や調理法も中国で主流のものと異なる[1]

ヨーロッパ

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ポーランドクラクフ市で毎年開催されるピエロギ祭りの
窯焼きピエロギ

ポーランドスロバキアなどの中欧諸国、ウクライナリトアニアベラルーシジョージアロシアモルドバなどといった旧・ソビエト連邦構成国、ないしイタリアなどの南欧にも中国とよく似た餃子の文化がある。

ポーランドやスロバキアでは「ピエルク」と呼ばれる。ポーランド語スロバキア語ではスープに入れる小ぶりなものにはまた別の呼び名がある。

ウクライナの民族料理の「ヴァレーヌィク」は、ほぼ中国式の水餃子と同じものである。具はバラエティに富み、ジャムチーズ、果物なども入れられて主食としても食される。

リトアニアでは「ヴィルティニャイ」、ベラルーシでは「カルドゥーニ」、ジョージアでは「ヒンカリ」と呼ばれる。ロシアでは「ペリメニ」と呼ばれるが、これは日本国内のロシア料理店などでよく供されるので、ロシア料理の好きな日本人には比較的なじみ深い呼び方である。モルドバでは名称は中国北部のマンティから派生した「マンティーヤ」であるが、ヴァレーヌィクなどと基本的に同じものである。

これらヨーロッパ系の餃子は、中国の餃子に比べて皮が厚めの傾向がある。

皮の非常に薄いものが近年のポーランドに見られるが、これは「ピエルク・ヤポンスキ(複数形はピエロギ・ヤポンスキエ)」と呼ばれ、「日本風のピエルク」という意味で、形も具も調理法も基本的には日本の標準的な餃子と同じである。ただ醤油ラー油のタレを付ける食べ方は一応知られているものの、一般的にポーランド人の多くは辛いものが苦手なため、まだ日本式のタレは定着はしておらず、焦がしベーコンをベースにしたポーランド独特のタレをかけたり、多少濃い目に味付けをしたキノコクリームソースなどといった色々なソースをかけたり、サラダ用の様々なドレッシングをかけたりして食べる。

イタリアのラビオリは東洋の餃子が元であり、イタリアに入って現地の味覚に合うように変化したものである。日本式の焼き餃子は「ラビオリ・ジャポネージ ravioli giapponesi (複数形)」と呼ばれている。

ドイツ南部シュヴァーベン地方にはラビオリに似たマウルタッシェという料理があり、スープ餃子のように提供される。

フランスでは日本人シェフがプロデュースした餃子専門店が「餃子バー」として出店している[4]

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北米

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カナダトロント市のセントローレンス市場にある食堂の看板
「本日のピーロギーズ(Pierogies)」を宣伝

ポーランド系移民やその子孫が非常に多い北アメリカではピエルクの複数形の「ピエロギ」として知られるようになり、北アメリカではピエロギが英語風に訛った「ピーロギー」という呼ばれ方が一般的である。「ピーロギー」は元々「ピエルク(Pieróg)」の複数形「ピエロギ(Pierogi)」が訛ったものであるが、英語では「ピーロギー(Pierogi、ないしPerogiやPirogiと表記)」が単数形として認識され、「ピーロギーズ(Pierogies)」が複数形として使われている。『オックスフォード英語辞典』にも「Pierogi/Pierogies」が正式な英単語として載っているほど一般化している。基本的には水餃子と同様に茹でるが、そのほかにフライパンで焼いたり油で揚げたりといった様々な加熱法を使う。なお北米の都市の中には中華式の餃子がDumpling(ダンプリング、本来の意味は茹団子)またはPot sticker(ポットスティッカー、鍋貼の逐語訳)と称されスーパー等で販売されている。

カナダではポーランド系移民やその子孫が特に多いことからピーロギーは広く浸透して定着し、長いこと国民食の一つとなっている。「ピーロギー」の名で餃子を提供する食堂はポーランド系やスロバキア系といった中欧系の人々のほかにウクライナ系の人々が経営している場合も多く、そこでは「ピーロギー」が「ウクライナ料理」として供される。本来ウクライナではヴァレーヌィク(複数形はヴァレーヌィキ)と呼ばれるが、英語圏ではこの呼び方は一般的ではない。通常は「ポットスティッカー(Pot sticker)」とよばれている。

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ブラジル

ブラジル風揚げ餃子といわれるパステル(またはパステウ)がある。

アジア

トルコ料理には、水餃子によく似た「マントゥがある。茹で上げたマントゥにニンニクや香味油で味付けしたプレーンヨーグルトを掛けて供される。マントゥの他にも、これに類似したヒンゲルも広く食されている。

タイ王国では揚げ餃子がポピュラーである。レストランの他、屋台でも販売されている。

ネパールにはモモという餃子の派生料理があり、一般的にはトマトソースをつけて食べる。

モンゴルではボーズという蒸し餃子、ホーショールという揚げ餃子がよく食される。具材は羊肉または牛肉が一般的であり、豚肉は普通使われない。

朝鮮半島

朝鮮料理では、餃子に極めて類似した「マンドゥ만두(饅頭))」が存在する。「クンマンドゥ(군만두(군饅頭)[注 3])」は、中国の「鍋貼」や日本の焼き餃子に近いもので、「ムルマンドゥ(물만두[注 4])」は水餃子と同様に茹でたものである。具材にはダイコン、豚肉、ニラ、キムチ豆腐春雨などが使われる[5]

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餃子の種類

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中国の水餃子
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中国のスープ餃子(日本では水餃子と呼ばれることも多い)
焼き餃子
中国の餃子」「日本の餃子」参照
焼き餃子は主に満洲族第二次世界大戦後の中華人民共和国では満族と呼ぶ)の調理法で、現在の日本では最も幅広く浸透している。これは第二次世界大戦後に満洲からの引き揚げ邦人が広めたためである。ただし日本と中国では焼き餃子に用いる具材などが異なる。[要出典]
日本
  • 家庭で作る場合はフライパン中華鍋、専門店では鉄板などを用いる。フライパンに並べた餃子に少量の油と水を加え蓋をして蒸して、水分が蒸発したら蓋を取り、さらに加熱して焦げ目をつける。油で焼いて焦げ目をつけてから水を加えて蒸し焼きにする方式もあれば、それを誤りだという人もいる。[要出典]
  • 蒸す時の水に片栗粉や小麦粉を少量加えることもある。焼き上げた後にパリパリした薄皮ができ、これを羽根餃子(羽根付き餃子)と呼ぶ。[要出典]
中国
  • 中国においても鍋貼や煎餃などは確立したメニューとして、日本の焼餃子と同じく生の状態から蒸し焼きにされる。この水を用い蒸し焼きするという調理法は包子にも見られるものである(水煎包、shuǐjiānbāo)。
  • 中国では、一度茹でた(あるいは蒸した)餃子を焼く残り物の再利用という位置づけのものもある。[要出典]
  • 中国の水餃子や蒸し餃子を再利用した焼き餃子は油たっぷりで焼くため、底面は揚げ餃子に近い仕上がりになっていることもあるが、上述の通り水を用いて蒸し焼きする鍋貼や煎餃などは、日本の餃子と変わらない仕上がりである。[要出典]
水餃子
中国では「水餃」といい、中国で最も一般的な食べ方。焼き餃子よりも厚めの皮で作られた餃子をお湯で茹でたもの。日本語風に表現すれば、茹で餃子。タレを付けて食べる。皮の質や閉じ目が強くないと茹でる時に中の具がバラけて台無しになるために、作り置きが難しい。[要出典]
日本国内で流通している家庭用の餃子の皮の多くは、焼き餃子で作った際に最適の食感となる様に作られている為、茹で餃子には向かないものが多い。家庭で茹で餃子や下記のスープ餃子としての水餃子を作る場合は「厚手」や「水餃子用」と明記されている商品を使用した方が無難である。[要出典]
スープ餃子
茹でた餃子を野菜など他の具と一緒にスープに入れて供するもので、中国では「湯餃」と呼ばれる。日本ではこれも水餃子と呼ぶことが多い。これに近い料理にはワンタンスープ、朝鮮半島マンドゥククロシアペリメニなどがある。[要出典]
蒸し餃子
中国でも華中華南の点心では最も普通の食べ方。味が水に逃げず、皮の食感が楽しめる。タレは付けてもよいが、中国ではそのまま食べられる味付けになっている。変わり餃子もこのタイプが普通。米粉の皮を使用した場合は蒸し上がった皮が半透明になるため、中の具が透き通り美しい。[要出典]
揚げ餃子
揚げ焼売と同様日本ではなじみ深いが、中国で見かける機会は多くない。ただし、この調理法は中国にも存在しており、それが日本に伝わったのか日本で独自に発展したものかは定かではない。[要出典]
変わり餃子
金魚ウサギ白菜などの形を餃子で作ったものや、三角形や花のような形に包んだ餃子。形や皮に付けられた色を保つために蒸して加熱する場合が多い。[要出典]
ひとくち餃子
ひとくち餃子」を参照
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関連する料理

卵餃子
中国語で「蛋餃子(ダンジャオズ、dànjiǎozi)」と呼ぶもので、小麦粉の皮の代わりに、薄焼き卵を使ったもの[6]。中国で冷凍食品として売られ、鍋料理の具として広まっている。
餃子巻き
おでんの具の一種。餃子を魚のすりみで巻いて揚げたもの。[要出典]
手羽先餃子
の手羽先の骨を抜いて袋状にし、具を詰めて揚げたもの。[要出典]
鶏皮餃子
鶏の皮で具を包んで揚げたもの。[要出典]
糖餃
「糖絞」の字を当てる場合もある。名前に「餃」が付くが、小麦粉の生地を細長く伸ばしたり、ひねったりして油で揚げ、砂糖をまぶした中華風ドーナツの一種。[要出典]
デザート餃子
最近ではフルーツやお菓子などが餃子のタネとして使われたりトッピングされたりするデザート餃子というものがある[7]
餃子鍋
具材のメインとして餃子を用いた鍋料理[8]2010年冬シーズンの鍋料理市場において注目されるメニューとなっている[9][10]。通常の餃子は長時間煮込むと煮崩れしやすいため[9][11][12]、皮の耐久性を高めた鍋専用餃子が開発され飲食店で使用している[9]。家庭で餃子鍋を作る際、市販されている焼き餃子を鍋に使用すると皮の状態によって、煮崩れしやすくなるため、その対策として餃子に片栗粉をまぶすことで皮の耐久性を高める方法が考案されている[11]
餃子パン
パン生地で餃子を包んで焼いた総菜パン沖縄県オキコなどが製造販売している。[要出典]

餃子と同様に小麦粉の皮で具を包んだ中華料理

餃子が関係する作品

脚注

参考書籍

関連項目

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