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サキシマフヨウ
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サキシマフヨウ(先島芙蓉、Hibiscus makinoi )はアオイ科フヨウ属の半落葉低木または中木。


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特徴
高さ2–6 mほど。上の掲載写真は八重咲きだが、下の一重咲きが一般的。葉は長さ・幅ともに7–11 cmほどで、長い葉柄があり、葉身は3–7裂するが切れ込みは浅く、五角形状が多い。葉先は鈍く葉縁の鋸歯も鈍い。葉裏の脈上や葉柄に星状毛が多いが腺毛は無く、葉を触っても粘り気は感じられない[1][2]。花は径8–10 cm、白~淡紅色。花弁は5枚(一重咲きの場合)でへら型または倒広卵形で先は円形となる。フヨウ属の他種と同様に多数の雄しべが筒状になり、中に花柱が通る。柱頭は5裂し先端は頭型。花は1日花で夜には萎む。文献によっては開花時の花色は白に近く、時間の経過とともに桃色を帯びる[3][4][5]とも、時間経過とともに花色が変わる[6]とも記されている。(※ 桃色→白とするブログ[7]もある)開花期は秋~冬(9–1月)。萼片は萼筒より長い。果実は球形~卵形の蒴果で径2–2.5 cmほど、冬に熟し、乾燥すると5つに裂開する。実の表面は星状毛と開出毛があり、中に多数の種子がある[8][9][4][5][2][10][6][11]。染色体数は2n=92(西表島産、与那国島産)[1][12]。
フヨウとの相違点は、本種はより大型となり常緑性が強い、葉形は切れ込みが浅く葉縁の鋸歯も鈍い、葉や茎などの植物体に腺毛が無い、開花期が遅い、花弁は短い、花は平面的に開く、副萼裂片の幅が広い等[1][13]。
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生育環境
利用
庭園、公園樹に用いられる[16]。晩秋に淡桃色の花を多数咲かせるため、野山でも伐採されず残されていることがある[17]。土壌は特に選ばず強健。花芽が当年枝につくので、新芽伸長後は剪定しないこと。カイガラムシやコナジラミ等が枝葉を食害することがある。繁殖は実生や挿し木による[3]。
分類
本種はかつて野生のフヨウと考えられてきたが、上述の形態の違いをもとに1984年に新種として記載された[1]。学名(種小名)の makinoi は牧野富太郎への献名[6][15]。図鑑によりフヨウが日本南部(南西諸島)に自生すると記されていることがある[18][19][8][17]が、これは本種をフヨウと混同したためとされる[1]。
分布
和名は先島諸島に由来し、主に九州西南部に位置する島のうち西海市崎戸町平島を北限[20][13][21]に、同じく西海市崎戸町蛎浦島[22]、五島列島中通島[13]および福江島[1][23]、男女群島、甑島列島、宇治群島、種子島[24]、屋久島[25]から琉球にかけて分布するとされてきた[15][9][2][10]。九州南端の佐多岬にもあり[26][27]、台湾にも分布することが報告されている[28]。なお台湾にはヤマフヨウ H. taiwanensis[29]も分布し、本種としばしば混同される[28]。
フヨウとの関係
サキシマフヨウを母体、フヨウを花粉親として交配すると稔性のある種間雑種が出来る[1]。種子島や屋久島では、葉形はサキシマフヨウに似るが腺毛をもつ中間的な個体がみられ、フヨウとの自然交配により生じた雑種と推定されている[1][9]。このため本種をフヨウの変種(学名:Hibiscus mutabilis var. spontanea)と扱う[3][4]説もあるとされる[16]。長崎県の蛎浦島でも雑種アイサキシマフヨウ[30]が知られる[31]。
近縁種
この他、本種に近縁とされるイオウトウフヨウH. pacificus[32]が小笠原諸島の火山列島(北硫黄島および南硫黄島)に特産する。こちらは葉の切れ込みがさらに浅く、扇型の花弁をもち、柱頭はサドル型、萼片と萼筒は等長で、相対的に萼筒が長めであるため花冠の基部が萼筒に締め付けられ、花冠が十分に展開しない等の点で本種と異なる[33][9][10]。
脚注
参考文献
外部リンク
関連項目
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