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ザンドマイヤー反応
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ザンドマイヤー反応(ザンドマイヤーはんのう、英: Sandmeyer reaction)は、試薬または触媒として銅(I)塩を用いて芳香族ジアゾニウムイオンからハロゲン化アリールや芳香族ニトリルなどを合成する化学反応である。[1][2][3]。
概要
本反応はラジカル機構による芳香族求核置換反応の一例である。ザンドマイヤー反応によって、ハロゲン化、シアノ化、トリフルオロメチル化、およびヒドロキシ化といったベンゼンの特色のある変換を行うこと可能である。
歴史
1884年にスイスの化学者トラウゴット・ザンドマイヤー によって、塩化ベンゼンジアゾニウムと銅アセチリドからフェニルアセチレンを合成しようと試みた時に発見された。代わりに、ザンドマイヤーが単離した主生成物は塩化フェニルだった[4]。
応用
ジアゾニウム塩の調製と銅(I) 塩触媒存在下での続く求核剤による置換によって芳香族アミノ基を置換するための全ての方法をザンドマイヤー反応と呼ぶ(銅塩が低価格であるため、触媒量で反応が進行する時でさえも、よい反応性を求めるために化学量論量がしばしば用いられる)。最も一般的に使われるザンドマイヤー反応は、塩素化、臭素化、シアノ化、およびヒドロキシ化反応である。これらはそれぞれCuCl、CuBr、CuCN、およびCu2Oを用いる。より最近では、ジアゾニウム塩のトリフルオロメチル化反応が開発され、「ザンドマイヤー型」反応と呼ばれている。ジアゾニウム塩はホウ酸塩、ヨウ化物イオン、チオール、水、次亜リン酸などとも反応し[5]、フッ素化はテトラフルオロホウ酸イオンを用いることが行うことができる(バルツ・シーマン反応)。しかしながら、これらの工程は金属触媒を必要とするため、ザンドマイヤー反応とは大抵呼ばれない。これまで開発された数多くの変法では、銅(II)、鉄(III)、およびコバルト(III) を含む他の遷移金属塩も用いられてきた[6]。その幅広い合成的適用可能性のため、ザンドマイヤー反応とその他のジアゾニウム化合物の変換法は、芳香族求電子置換反応を補完する。
反応条件と反応機構
亜硝酸は通常亜硝酸ナトリウムと酸からin situで調製される。2回のプロトン化段階の後、1当量の水が失われてニトロソニウムイオンが形成される。ニトロソニウムイオンは次にアニリンのような芳香族(または複素環)アミンとの反応において求電子剤として働き、ジアゾニウム塩が形成される。これはニトロソアミン中間体を経て進行する[5]。典型的な反応条件を以下に示す[7][8]。
- 塩素化
- ArN2+Cl–, CuCl, HCl (36% aq.), 50 – 100 °C
- 臭素化
- rN2+HSO4–, CuBr, HBr (48% aq.), 50 – 100 °C
- シアノ化
- ArN2+Cl–, CuCN, KCN, H2O, benzene, 0 °C
- ヒドロキシ化
- Cu2O, Cu(NO3)2, H2O, 25 °C
ザンドマイヤー反応はラジカル機構による芳香族求核置換反応(SRNAr)の一例である。ザンドマイヤー反応のラジカル機構はビアリール副生成物の検出によって支持される[9]。芳香族ジアゾ基のハロゲンまたは擬ハロゲンによる置換は、銅(I) 塩によっ触媒される1電子移動機構によって開始され、窒素ガスが失われてアリールラジカルが形成される[10][11][12][9]。銅(II) 種からアリールラジカルへのCl-、Br-、CN-、またはOH-の直接的移動によって置換アレーンが生成される可能性がある(銅(I) 触媒が再生する)。代替提案では、アリールラジカルと銅(II) 種とのカップリングによって形成される一時的な銅(III) 中間体がすばやく還元的脱離を起こすことで、生成物が得られ、銅(I) が再生する[13][14][15]。しかしながら、こういった有機銅中間体についての証拠は弱く、主に状況証拠であり[16][17]、正しい経路は基質と反応条件に依存するだろう。これらの可能性を以下に示す。
ニトロソニウムイオンの形成

ベンゾジアゾニウムイオンの形成

ザンドマイヤー反応

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出典
外部リンク
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