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複素環式化合物

環の中に少なくとも2種類の異なる元素を含む環式化合物 ウィキペディアから

複素環式化合物
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複素環式化合物ふくそかんしきかごうぶつheterocyclic compound)は、環の中に少なくとも2種類の異なる元素を含む環式化合物である[1]複素環化学(Heterocyclic chemistry)は、有機化学の1分野で、複素環式化合物の合成、特性、応用等を扱う[2]

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複素環式化合物の構造と名前
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ピリジンの構造
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単素環式化合物(homocyclic compound)であるcyclo-八硫黄

複素環式化合物の例としては、全ての核酸薬品の大部分、バイオマスセルロースや関連化合物)の大部分、多くの天然や合成染料がある。アメリカ食品医薬品局の認証する薬品の59%は窒素複素環を含んでいる[3]

分類

複素環式化合物が有機化合物であっても無機化合物であっても、ほとんどは少なくとも1つの炭素原子を含んでいる。炭素でも水素でもない原子は、通常、炭素骨格に対してヘテロ原子と呼ばれる。しかし、ボラジン等の炭素原子を含まない化合物も複素環式化合物と呼ばれる。IUPACは、複素環式化合物の命名に、ハンチュ-ウィドマン命名法の利用を勧告している。

複素環式化合物は、その電子構造を基に分類することができる。飽和複素環式化合物は、非環式誘導体のように振る舞う。そのため、ピペリジンテトラヒドロフランは、立体構造に改変の加わったアミンエーテルとして扱われる。そのため、複素環化学は、主に不飽和の誘導体を対象にし、研究や応用の多くは、ひずみのない五員環や六員環に関するものである。これには、ピリジンチオフェンピロールフラン等がある。別の大きな分類は、ベンゼン環に融合した複素環である。ピリジン、チオフェン、ピロール、フランが融合すると、各々キノリンベンゾチオフェンインドールベンゾフランとなる。2つのベンゼン環が融合したものは3つ目の大きな分類で、各々アクリジンジベンゾチオフェンカルバゾールジベンゾフランとなる。不飽和環は、共役系に参加するヘテロ原子によって分類することができる。

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三員環

3つの原子からなる複素環は、環ひずみのため反応性が高い。1つのヘテロ原子を含むものは一般に安定である。2つのヘテロ原子を含むものは反応中間体として生成しやすい。

1つのヘテロ原子を含む三員環

2つのヘテロ原子を含む三員環

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四員環

1つのヘテロ原子を含む四員環

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2つのヘテロ原子を含む四員環

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五員環

1つのヘテロ原子を含む五員環

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2つのヘテロ原子を含む五員環

2つのヘテロ原子を含む五員環のうち、少なくとも1つが窒素原子のものは、総称してアゾールと呼ばれる。チアゾールイソチアゾールは、環の中に硫黄原子と窒素原子を含む。ジチオランは2つの硫黄原子を含む。

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3つ以上のヘテロ原子を含む五員環

3つのヘテロ原子を含む五員環も大きなグループである。例として、2つの硫黄原子と1つの窒素原子を含むジチアゾールがある。

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六員環

1つのヘテロ原子を含む六員環

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2つのヘテロ原子を含む六員環

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3つのヘテロ原子を含む六員環

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4つのヘテロ原子を含む六員環

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5つのヘテロ原子を含む六員環

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6つの窒素原子を含む仮想上の化合物は、ヘキサジンと呼ばれる。

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七員環

七員環の場合、通常の芳香族安定化を利用するためには、ヘテロ原子が空のπ軌道(例:ホウ素)を提供できる必要がある。それ以外の場合には、ホモ芳香族性による安定化が可能である。

1つのヘテロ原子を含む七員環

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2つのヘテロ原子を含む七員環

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八員環

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九員環

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融合環

炭素環や複素環が融合した化合物は、様々な一般名、系統名を持つ。例えば、ピロールがベンゼン環に結合すると、その方向に応じて、インドールイソインドールとなる。ピリジンのアナログは、キノリンやイソキノリンとなる。アゼピンの場合は、ベンザゼピンという名前の方が好まれる。同様に、2つのベンゼン環が中央の複素環に融合したものには、カルバゾールアクリジンジベンゾアゼピンがある。チエノチオフェンは、2つのチオフェン環が融合したものである。ホスファフェナレンは、炭素環のフェナレンから派生した、リンを含んだ複素環を含む三環の化合物である。

複素環化学の歴史

複素環化学の歴史は、有機化学の進展と合わせて1800年代に始まった。注目に値する主な進展には、以下のようなものがある[6]

利用

複素環式化合物は、生命科学技術の多くの領域に広がっている[2]。多くの薬品が複素環式化合物である[7]

イメージ

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出典

関連項目

外部リンク

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