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スピリタス
ポーランドを原産地とするウォッカ ウィキペディアから
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スピリタス(spirytus)とは、ポーランドを原産地とするウォッカである。
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2011年時点で、アルコール度数96度という、世界最高の純度を誇る酒として知られる。その度数ゆえに、成分のほとんどが純粋なエタノールであり、タバコ、線香の火程度でも引火する。日本では消防法の第4類危険物に該当し、灯油、ガソリンと同等の厳重な管理を必要とする。
「スピリタス」は英語読みを片仮名表記したもので、ポーランド語の発声に近い片仮名表記は「スピリトゥス」。ポーランド語: spirytus rektyfikowany(スピリトゥス・レクティフィコヴァニ:精製アルコール)と綴る。ポーランド語の spirytus は酒精、つまり「エタノール」を意味し、広義には蒸留酒全般のことを指す(この点は、ロシア語の「ウォッカ」も同じ)。
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概要
穀物とジャガイモを主原料として、70回以上の蒸留を繰り返すことにより、95-96度という高アルコール度数に仕上げられた、世界最高純度のスピリッツである。水との共沸混合物となっていることから、蒸留でこれ以上の純度に精製することも不可能である。成分のほとんどが純粋なエタノールであるため、喫飲中は喫煙を含めて火気厳禁である。過去にはスピリタスから気化したエタノールにライターやタバコの火が引火して火災が発生する事故が起きており、注意喚起も行われている[1][2][3][4]。
ポーランドには、複数のブランドがある[注 1]が、日本ではポルモス・ワルシャワ社製で、ミリオン商事株式会社が輸入している緑色キャップの瓶のもの(ラベル名は SPIRYTUS REKTYFIKOWANY RECTIFIED SPIRIT[注 2])がよく見られる。
味は、初めに刺すような痛みと強烈な焦熱感があるが、それを過ぎると甘く感じる。それまでの飲酒や味覚の嗜好によっては、最初から甘く感じることもある。一般的にはカクテルのベースにされることが多い。原産国のポーランドではウォッカとは別種の製品であり、狩人が携帯して森で手に入る水を混ぜて飲むほか、家庭に消毒薬として常備する、チェリーなどの果実を漬け込んでナレフカなどの果実酒を造るのにも使用されるうえ、その果実酒も炭酸水などで割って日本のサワーや梅酒ソーダのようにして飲む。ポーランドでは、スピリタスをそのまま飲む習慣はない。
北アメリカでは、この度数の飲用アルコールの販売が禁止されている州は珍しくない。
飲用可能な無水アルコールを別とすれば、過去のアルコール度数史上最高の酒類は、1920年代から1930年代にかけてエストニアの酒類専売公社が販売していたジャガイモ原料で、アルコール度数98度の蒸留酒であった[5]。
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消防法上の扱い
![]() | この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
日本の消防法では、エタノールなど「一分子を構成する炭素の原子の数が一個から三個までの飽和一価アルコール」を「アルコール類」として第四類危険物に指定している[注 3]。スピリタスはアルコール濃度が60%を上回っているため、「組成等を勘案して総務省令で定めるもの」[注 4]には当たらず、消防法上の危険物に分類される。
そのため、日本で流通するスピリタスの容器には、容量が500mlを超える場合[注 5]「第四類アルコール類(引火性液体) 危険等級II 水溶性」「火気厳禁」といった表記が必要となる[注 6]。
ポーランド文学に現れるスピリタス
アダム・ミツキェヴィチ作の長編叙事詩『パン・タデウシュ』に、スピリタス(スピリトゥス)が登場する。主人公の村がロシア帝国軍に急襲・占拠された際、兵士をスピリタスで酔わせ、住民蜂起によるロシア帝国軍の駆逐につなげた(「第九之書」血戦)。
脚注
関連項目
外部リンク
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