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セイヨウスモモ

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セイヨウスモモ
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セイヨウスモモPrunus domestica[8]、あるいは種間雑種であるとして Prunus × domesticaとも表記する)はバラ科果樹の一種である。落葉樹で、英語圏プラム(plum)として知られる様々な果樹が本種に属しているが、全てではない。グリーンゲージインシチチアスモモは本種の亜種である。

概要 セイヨウスモモ, 保全状況評価 ...


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スピノサスモモ(Prunus spinosa)とミロバランスモモ(Prunus cerasifera)の雑種であると考えられている。[9]

プラム類でヨーロッパでは最も多く栽培されている種がPrunus domesticaであり、プルーン(乾燥プラム)は本種の中で果汁の少ないグループ名で、他にレイヌクロード・イエローエッグ・インスペラトリス(ブループラム)・ロンバートなどのグループがある。[9]

日本では、ブループラムはプルーンに似ているため、プルーンとして販売されている。[9]

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名称

スモモの果実はモモに比べて酸味が強いことが、和名の由来となっている一方、ヨーロッパスモモは、青紫色の楕円タイプで甘味が多く、日本ではプラムとしてよく知られている。

特徴

一般的には大型の低木または小高木である。棘を持つ場合もあり、花期は初春で白い花が咲く。楕円形または球形の様々な大きさの果実を付けるが、最大でも8 cm程度である。甘い品種(デザートプラム)が一般的であるが、食べるには砂糖を使って調理する必要のある酸っぱい品種もある。他の全てのサクラ属の果実と同じように、中心に大きな1つの種があり、一般的にstoneと呼ばれていて、食べる際には取り除かれる[10]

セイヨウスモモは商業的には果樹園で栽培されているが、台木に自家稔性の株を接いだ近年の苗木、育成、剪定法では比較的省スペース、1本の木で収穫が可能である。早期の開花、結実には霜や冷たい風から保護された場所を必要とする[10]

果実についてはプラムを参照。

栽培品種

要約
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様々な栽培品種 (1)インペアルケージ (2)ダムソン (3)ロンバード (4)メイナード (5)イエローエッグ

庭木用に様々な栽培品種が選抜されている。以下に示すのは王立園芸協会Award of Garden Meritに選出されたものである:-

生で甘くて香り良い生食に向くデザートプラムと加熱して映えるクッキングプラムと果実酒向きのダムソンなどある。

デザートプラム

生食用プラムは、ヨーロッパスモモ(Prunus domestica)のうち、高糖度・芳香・軟質の果肉をもつ品種群。とくにグリーンゲージ(Greengage/Reine Claude 群)は歴史的にデザート向けとして知られる。

特徴
  • 風味:糖度が高く、酸味は穏やか。完熟果は香りが強い。
  • 収穫期(英国の目安):7月下旬〜8月下旬(品種差あり)。
  • 栽培:日照と排水性を好み、摘果で品質が向上。自家結実性の品種が多い。
代表的な品種
  • Opal(オーパル) — 早生・自家結実性。甘くジューシーで、熟すとグリーンゲージに近い風味を示す。7月末〜8月上旬。小玉ながら甘味が強く、早生の定番とされる。
  • Oullins Golden Gage(ウーラン/オーリンズ・ゴールデン・ゲージ) — 濃厚な甘味と芳香の黄果。ゲージ系。自家結実性。8月中旬。黄緑〜黄色で甘味が強い。
  • Cambridge Gage(ケンブリッジ・ゲージ) — 古典的グリーンゲージ系の甘味。部分自家結実。ゲージ系。一部自家結実性(partly self-fertile)。晩夏に成熟し、蜂蜜様の甘さを示す。
  • Old Greengage(Reine Claude Verte) — 非常に甘く香り高いが、完熟の見極めを要する。
  • Blue Tit(ブルー・ティット) — 完熟で生食向けの甘香が出る。中生・自家結実性。8月中旬。食味に優れ、家庭栽培で人気がある。
  • Victoria(ヴィクトリア) — 万能型だが、木成り完熟果は生食でも評価が高い。英国の定番。自家結実性。収穫期は8月下旬〜9月上旬。生食およびジャムに適する。
  • Mirabelle de Nancy(ミラベル・ド・ナンシー) — ミラベル系。一部〜自家結実性。8月中旬。小粒で非常に甘く、加工適性も高い。

クッキングプラム

加熱向き品種は、酸味がしっかりし、果肉が崩れにくいため、菓子や料理で風味が際立つ。英国の家庭菓子・保存食で広く用いられる。

特徴
  • 風味:生食では酸が勝ちやすいが、加熱で甘味・香りが調和。
  • 物性:煮ても形を保ちやすく、タルトやクランブルに適する。
  • 栽培:冷涼地でも結実が安定。自家結実性が主流。
代表的な品種
  • Czar(ザー) — 自家結実性。酸味とコクで焼き菓子・ジャムに向く。
  • Marjorie’s Seedling(マージョリーズ・シードリング) — 晩成・多収。ジャムや煮込みで真価。
  • Belle de Louvain(ベル・ド・ルーヴァン) — 大玉で料理適性が高い。
  • Pershore(Yellow Egg)(パーショア/黄玉) — 加熱で風味が引き立つ伝統品種。
  • (地域系統)Warwickshire Drooper など、地方固有の料理向け品種も存在。
主な用途
  • ジャム、
  • コンポート
  • ジェリー、
  • タルト/パイ/クランブル、
  • 肉料理用ソース(豚・鴨など)。

果実酒向き(ダムソン系)

ダムソン(Damson)は、Prunus domestica subsp. insititia(または Prunus insititia と記載されることもある)に分類される小粒系統で、濃紺の果皮・黄緑の果肉・強い酸味と軽い渋味を特徴とする。これらの特性は果実酒・保存加工に適する。

特徴
  • 風味:生食では酸渋が目立つが、糖・アルコール・香辛料との相性が良い。
  • 成分:酸とタンニンを多く含み、浸漬酒や煮詰め加工で風味が凝縮。
  • 栽培:丈夫で多産。自家結実性の品種が多い。
代表的な品種・系統
  • Merryweather Damson(メリウェザー) — 大粒で香味が濃く、ダムソンジンに好適。
  • Shropshire Prune(Prune Damson) — 伝統的な濃厚風味で、酒・ジャム向け。
  • Farleigh Damson(ファーレイ) — 自家結実性・豊産。加工全般に適する。
  • Westmorland/Lyth Valley Damson — 英国北西部の地域ブランド系統で、果実酒・保存食に定評。
主な用途
  • ダムソンジン/ウォッカなどの浸漬酒、
  • ワイン風リキュール、
  • ジャム・ジェリー、
  • チャツネ
  • 肉料理ソース。
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亜種

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グリーンケージ
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ミラベレススモモ

Cullen et al. (1995) は3亜種を認めているが、科学的研究では更なる細分化が好まれる:

雑種間の交雑は容易で、多数の中間的な形態のものが発見されている。これらには甘さ酸っぱさは様々で、色も青紫からオレンジ、黄色、ライトグリーンと多岐にわたる。

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注釈

  1. APG は、被子植物の科と目の分類で目より上位の分類群は英語表記で国際植物命名規約にもとづく設定がされていない[2]

参照

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