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セックスワークの非犯罪化

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セックスワークの非犯罪化
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セックスワークの非犯罪化(セックスワークのひはんざいか、英語: decriminalization of sex work)は、売春などのセックスワークを非犯罪化し、セックスワーカーの権利を保障する取り組み[1]

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オーストラリアアデレードで貼られている、セックスワークの非犯罪化を訴えるポスター。

概要

セックスワークの非犯罪化は、「売買春は犯罪に非ず、とする」ということである[2]。売春などのセックスワークの非犯罪化は、セックスワーカーに対する差別や暴力、権利侵害、社会的スティグマへの対策になるとされている[3]。この方針は、2016年5月26日にアムネスティ・インターナショナルによって、各国政府に勧告する内容として掲げられた[4]。非犯罪化を求める運動は、アジアヨーロッパアフリカ南北アメリカに広がっている[5]

セックスワークの「非犯罪化」と「合法化」は別の概念とされており[6]、現在のセックスワーカー運動では「合法化」よりも「非犯罪化」が合言葉であり、目標となっている[7]。売買春に関する商業的・空間的な規制を設け、その規制に反したら処罰する管理主義的な「合法化」と異なり、「非犯罪化」は刑罰から免れる点でよりセックスワーカーの立場が国家の都合に左右されず、自由が保障されたアプローチと考えられている[5]。非犯罪化論者は、公娼制を国に管理される、自由のないものと捉えている[7]ヨーロッパセックスワーカー権利同盟は、セックスワーカーが労働者として組織化する権利を保障するものであるとしてセックスワークの完全な非犯罪化(full decriminalization)を要求しており、北欧モデルを批判している[1]

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歴史

2003年、ニュージーランドは世界で初めてセックスワークの非犯罪化を行った[8]。背景には、当事者団体による調査活動があった[9]オーストラリアノーザンテリトリーなども、完全な非犯罪化モデルを採用している[10][11]ニューサウスウェールズ州は自治体の管理権限は残しながらも、「非犯罪化」に近い措置が取られている[12]メキシコシティは2013年にセックスワークを法的に「報酬を伴わない労働」と定義し、2019年に非犯罪化した[13]

2019年6月、ニューヨーク州議会で売春非犯罪化法案が提出された[14]ゾーラン・マムダニは、ニューヨーク州議会議員時代に非犯罪化法案を推進している[15]。2020年12月5日、フロリダ州で行われたスラットウォークで、多くの活動家や活動家や性産業従事者が集まり、セックスワークの非犯罪化を求めた[16]。セックスワークの非犯罪化は2020年アメリカ合衆国大統領選挙で焦点の一つとなり、スタンスを問われた民主党の候補者の一人であったバーニー・サンダースは「良い質問だ。申し上げることはない」と回答した[17]。後に当選し、副大統領となったカマラ・ハリスは、「成人同士が同意しており、誰にも害を及ぼさない限り」、セックスワークの非犯罪化を支持した[18]

2022年、ベルギーはセックスワークを非犯罪化した[19]ヒューマン・ライツ・ウォッチの研究員であるエリン・キルブライドによると、ベルギーの非犯罪化法は「買い手と売り手の双方においてあらゆる種類の刑事罰を撤廃する」ものだった[20]

2023年9月、国際連合の「女性と少女に対する差別に関する作業部会」は、成人の自由意思によるセックスワークの全面的な非犯罪化を支持した[21]

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日本における運動

神戸大学教授の青山薫は、セックスワークの非犯罪化を支持している[5]。一方、非犯罪化するには、「労働者の権利が守られるという社会的な基盤が存在することが前提であり、労働基準法がなし崩しである日本の現状では、性風俗産業特有の規制をなくすことを意味する非犯罪化は理想でしかないとも感じる」と述べた[9]

要友紀子によると、日本の現状は「部分的な非犯罪化」と「部分的な合法化」にあたり、世界的にも同様の国が多い[11]松沢呉一は、セックスワークの絶対的非犯罪化を最終目標としており、そのプロセスについて、売春防止法を廃止した後に、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の扱いについて、改廃も含めて考えることを提案している[22]

関連項目

出典

参考文献

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