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ソトロビマブ

遺伝子組換え抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質モノクローナル抗体 ウィキペディアから

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ソトロビマブ(Sotrovimab)は、SARS-CoV-2と呼ばれる重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2に対する活性を有する二重作用中和ヒトモノクローナル抗体医薬品である[5][6]。ソトロビマブは、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に結合するように設計されている[5][6][7]。日本では2021年9月に特例承認された[8]

概要 モノクローナル抗体, 種類 ...
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効能・効果

SARS-CoV-2による感染症[9]

副作用

重大な副作用として、下記の2つが知られている[9]

  • アナフィラキシーを含む重篤な過敏症
  • 注入時反応(発熱、呼吸困難、酸素飽和度低下、悪寒、嘔気、不整脈、胸痛、胸部不快感、脱力感、精神状態変化、頭痛、気管支痙攣、低血圧、高血圧、咽頭炎、蕁麻疹、掻痒、筋痛、眩暈等)

由来・作用機序

ソトロビマブは、2003年に重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome;SARS)より回復した患者から採取した記憶B細胞から初めて単離された親抗体(S309)に由来する[10][11]。S309抗体は、SARS-Cov-2の宿主細胞への侵入を促進するスパイク(S)糖タンパク質を標的とした中和抗体である[12]電子顕微鏡および結合アッセイを用いて、S309は、SARS関連コロナウイルス内で高度に保存されているN343糖鎖を含む抗原決定部位(エピトープ)を、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の結合と競合しない領域で認識する事が示された[12]。このエピトープは、現在懸念されているSARS-CoV-2の亜種で観察された変異とは重ならず[11]、ソトロビマブは、南アフリカで最初に確認されたβ変異株(B.1.351または501Y.V2として知られる)を含むSARS-CoV-2の亜種にin vitroで結合する事が、査読前論文で示されている[11]

ソトロビマブは、新生児型Fc受容体英語版への結合を強化するFc LS変異(M428L/N434S)を有するように設計されており[13]半減期が延長され、への薬物分布濃度が増加すると思われる[14]

ソトロビマブは、in vitroにおいて、抗体依存性細胞傷害(ADCC)および抗体依存性細胞貪食(ADCP)の2つの抗ウイルス機構による活性を示す[14]

臨床試験

ソトロビマブは以下の臨床試験で評価されている[14]

ソトロビマブでは第I相試験は実施されていない[14]

有効性

主要な臨床試験英語版であるCOMET-ICE試験は、進行中の無作為化二重盲検偽薬対照試験であり、COVID-19(5日以内の軽度の初期症状)が確認された、疾患進行のリスクがある成人を対象に、ソトロビマブの安全性と有効性を評価している。

本試験の予定された中間解析では、ソトロビマブはプラセボと比較して、24時間以上の入院または死亡のリスクを85%減少させることが報告された。全体では、ソトロビマブを投与された患者の1%が死亡または24時間以上の入院を必要としたのに対し、偽薬を投与された患者の7%が死亡または24時間以上の入院を必要とした[15]。本試験は継続中であり、結果はまだ査読付きの出版物には掲載されていない。

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承認

2021年5月21日、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)は、COVID-19の治療におけるソトロビマブの使用に関する審査を完了した。その結果、ソトロビマブは、補助酸素を必要とせず、重度のCOVID-19に進行する危険性のある成人および青年(12歳以上、体重40kg以上)の確定COVID-19の治療に使用出来ると結論付けられた[15]。ソトロビマブの逐次審査は今後も継続され、最終的には本薬のEUでの販売承認申請の基礎とされる。

2021年5月26日、米国食品医薬品局(FDA)は、SARS-CoV-2ウイルスの直接検査の結果が陽性で、入院や死亡を含む重度のCOVID-19に進行するリスクが高い体重40kg以上の12歳以上の患者の、軽度から中等度のCOVID-19の治療を目的として、ソトロビマブの緊急使用許可(EUA)を発行した[16][17][18][19]

2021年8月、オーストラリアでCOVID-19の治療薬として暫定的に承認された[2]

2021年9月6日、上述の海外臨床試験を基に日本で承認申請され[20]、9月27日に特例承認された[8]

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参考資料

外部リンク

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