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SBD (航空機)
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SBD ドーントレス(Douglas SBD Dauntless )は、ダグラス社が開発し、第二次世界大戦期にアメリカ海軍で運用された偵察・爆撃機。
海軍型の愛称の「ドーントレス (dauntless)」とは、「恐れを知らない、勇敢な、不敵な、がまん強い、不撓不屈の」などを意味する形容詞である。陸軍向けにも製造され、A-24 バンシー(Douglas A-24 Banshee)として制式採用され、後にF-24と改称された(後述)が、陸軍型の愛称の「バンシー (Banshee)」は、スコットランドやアイルランドに伝わる女の妖精のことである。
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特徴
機体形状はレシプロ単発軍用機として一般的なものであり、低翼配置の主翼と尾輪式の降着装置を持つ。フラップは穴空き式であり、ダイブブレーキを兼ねるようになっていた。エド・ハイネマン率いる設計チームは当初から引き込み脚を採用するなど、当時の急降下爆撃機としては画期的なスペックであった。ただし翼端の折り畳み機構は装備されておらず、これが艦載機としてのネックとなった。また、SBDは良好な運動性と強力な前方機銃を活かし、状況によっては戦闘機との空戦も行った。
新型艦上爆撃機SB2C ヘルダイヴァーが登場したが[注釈 1]、SB2Cは海軍側の無茶な要求によって若干安定性と操縦性に難がある機体となった。そのため、引渡し後の部隊配備は進まなかった。一方、ドーントレスは電波航法装置や空中レーダーを装備した後期型のSBD-4が780機生産されてその一部はサッチ少佐の考案した艦隊防空システムであるビッグブルーブランケット構想の下で早期警戒機として運用され、その後もSBD-5、SBD-6と改良が加えられた。
母艦搭載の必要がない海兵隊は終戦間際まで本機を運用し、SBD-6のほとんどは海兵隊向けであった。その後、SB2Cの高性能化で母艦部隊は機種交換が進められ、ようやくSB2Cに道を譲り、終戦間際に生産が始まったAD スカイレイダー汎用攻撃機の登場でドーントレスはその姿を消す。しかし、SBDは第二次世界大戦中の全期間、現役状態であった[注釈 2]。
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A-24
陸軍でもドイツ空軍の急降下爆撃機Ju 87 シュトゥーカの活躍に衝撃を受けてSBDの空母用装備を取り外したものが、A-24 バンシー (Banshee) として採用されている。総計953機のA-24が生産され、海軍でSBDが引退した後も使用され続けた。A-24は1948年の空軍独立時にも在籍しており、それらは攻撃機カテゴリ (A) の廃止と共に戦闘機カテゴリ (F) に移ってF-24と改称している。
歴史


当初基本設計はノースロップ社でXBT-2の名称で行われていたが、ダグラス社が設計を引き継ぐこととなり、XSBD-1と名称が変更された。
1939年4月より初期型の海兵隊用SBD-1が57機、海軍用SBD-2が87機量産された。部隊配備は1940年に海兵隊から開始されている。しかし、欧州におけるドイツ空軍の急降下爆撃機Ju 87 スツーカに衝撃を受けた軍は性能が不十分であると判断し、エンジン・防弾性能・機銃攻撃力などに大幅な改良を加えた中期型のSBD-3を584機生産した。このSBD-3は同時期に使用された九九式艦上爆撃機と比較して速度、航続距離、武装、搭載量などはるかに凌ぐ性能であった。
1941年12月に開始した太平洋戦争で、最初にSBDを使用したのは、アメリカ陸軍であった。SBDの空母用装備を取り外したA-24がフィリピン・オーストラリア・ニューギニアの航空基地に配備され、南進する日本軍と戦闘を繰り広げた。
1942年5月、珊瑚海海戦でアメリカ海軍は初めてSBDを使用した。
1942年6月、ミッドウェー海戦においては、TBD、およびこれが初陣となる新型雷撃機TBF アベンジャーが戦果を挙げられずに日本機動部隊の直掩戦闘機に低空で撃墜され、全滅に近い損害を受ける中、クラレンス・マクラスキーおよびマックス・レズリーの率いる本機で構成された部隊が、高空から防空の隙を突いて同海戦に参加した日本機動部隊の4空母のうち「赤城」、「加賀」、「蒼龍」を同時に攻撃して撃沈し、残った「飛龍」も別に出撃した本機の部隊が撃沈して日本機動部隊主力の撃滅に貢献した。
8月7日、ガダルカナル島のアメリカ軍上陸部隊への攻撃に向かった台南海軍航空隊の零戦と第四航空隊の一式陸攻をアメリカ海軍の艦載機が迎撃した。SBDもこの戦闘に参加しており、後方旋回機銃で、SBDをF4Fと誤認して後方に回った坂井三郎の零戦を撃破している。
8月24日、第二次ソロモン海戦では、日本の空母「龍驤」を撃沈[3]。「エンタープライズ」の索敵機として日本の機動部隊を発見した。そのまま「翔鶴」に対して急降下爆撃を行うが、命中しなかった[4]。
10月、南太平洋海戦では索敵機として日本より先に敵機動部隊を発見する。そのまま急降下爆撃を行い、空母「瑞鳳」の甲板に命中させ、戦線離脱させた[5]。その後、攻撃隊として空母「翔鶴」と重巡洋艦「筑摩」を大破させた[6]。
諸元
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各型
- XBT-1
- ノースロップ社の試作艦上爆撃機。
- BT-1
- アメリカ海軍向け生産型
- XBT-2
- BT-1のエンジンと機体構造を改良したSBDの原型機。ノースロップ社がダグラス社エル・セガンド事業部になったため、XSBD-1の呼称に変更。
- SBD-1
- アメリカ海兵隊用生産型。機首に7.7mm機銃2丁、後席に7.7mm旋回機銃1-2挺装備。
- SBD-1P
- 偵察機型。
- SBD-2
- SBD-1のアメリカ海軍用生産型。燃料搭載量が増加している。
- SBD-2P
- 偵察機型。
- SBD-3
- 機首の機銃を12.7mm2挺へ、防弾タンクと防弾鋼板を装備。エンジンをライトR-1820-52(1,000hp)へ変更。
- SBD-3A
- アメリカ陸軍用のA-24の海軍呼称。
- SBD-3P
- 偵察機型。
- SBD-4
- 電気系統を6Vから12Vへ変更。
- SBD-4A
- アメリカ陸軍用のA-24Aの海軍呼称。
- SBD-4P
- 偵察機型。
- SBD-5
- エンジンをライトR-1820-60(1,200hp)へ変更。
- SBD-5A
- アメリカ陸軍用のA-24Bの海軍呼称。
- SBD-6
- エンジンをライトR-1820-66(1,350hp)へ変更。
- A-24
- アメリカ陸軍用のSBD-3型。
- A-24A
- アメリカ陸軍用のSBD-4型。
- A-24B
- アメリカ陸軍用のSBD-5型。
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運用国
現存する機体
要約
視点
番号欄の5桁の数字は、海軍航空局(BuAer)による番号(BuNo.)であり、ハイフンのある数字は米国陸軍航空軍登録番号(AAF Serial No.)である。
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脚注
参考文献・参照元
登場作品
関連項目
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