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デカメロン

ジョヴァンニ・ボッカッチョによる物語集 ウィキペディアから

デカメロン
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デカメロン』(Decameron)は、ジョヴァンニ・ボッカッチョによる物語集。ダンテの『神曲』に対して、『人曲』とも呼ばれる。また、デカメロンはギリシャ語の「10日」(deka hemerai)に由来し、『十日物語』とも和訳される。1348年から1353年にかけて製作された[1]。サブタイトルは「ガレオット公爵」で、アーサー王物語においてランスロットの不倫の恋を仲立ちしたキャラクターの名前から取られている。

概要 著者, 原題 ...

1348年に大流行したペストから逃れるためフィレンツェ郊外に引きこもった男3人、女7人の10人が退屈しのぎの話をするという趣向で、10人が10話ずつ語り、全100話からなる。内容はユーモアと艶笑に満ちた恋愛話や失敗談などで、それぞれ『千夜一夜物語』や『七賢者の書』から影響を受けている。チョーサーの『カンタベリー物語』やマルグリット・ド・ナヴァルの『エプタメロン』(七日物語)などに影響を与えた。

エーリヒ・アウエルバッハは、『デカメロン』の文体が、イタリア散文芸術の始まりだとする。また、古典古代以来初めて、現在の事件を描いた文体が教養のある階級を楽しませるようになったとも指摘した[2]

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登場人物

  • パンフィロ
  • フィロストラト
  • ディオネオ
  • パンピネア
  • フィアンメッタ
  • フィロメナ
  • エミリア
  • ラウレッタ
  • ネイフィレ
  • エリッサ

あらすじ

それぞれ10人の登場人物が順番に10日間のうちに1日ごとに王や女王役として任命される。この任命はその日の物語のテーマの選択にも影響して、2日間を除くすべての日にテーマが割り当てられている。10人の中で毎回10番目に物語を話すディオーネオだけは機転の為に、自らの選んだ主題を話すことが許されている[3][4]。多くの評論家がディオーネオはボッカチオ自身を表現したのではないかと主張している[5]。それぞれの日には物語に加え、他の日常の活動を描写することによって物語のフレームを続けるための短い紹介と結論が入っている。一日の合間にはたびたびイタリア語の民謡が挿入されている[6]

10日間の話のテーマ

日によって話のテーマが決められている。話者はそれに沿った話を披露していく。

  1. 自由テーマ
  2. 多くの苦難をへたのち成功や幸福を得た人の話
  3. 長い間熱望したもの、あるいは失ったものを手に入れた話
  4. 不幸な恋人たちの話
  5. 不幸のあとに幸福に巡り合う恋人たちの話
  6. とっさのうまい返答で危機を回避した人の話
  7. 夫を騙した妻の話
  8. 男が女を、女が男を騙す話
  9. 自由テーマ
  10. 気高く寛大な行為についての話
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物語の概要一覧

要約
視点
さらに見る 日話, 語り手 ...
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分析 

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「デカメロン」ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作(1916)
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『デカメロン』の語り手の一人である「ラウエッタ」ジュール・ジョゼフ・ルフェーブル

『デカメロン』はフィレンツェ方言で書かれていて、初期の古典的なイタリアの散文の傑作として考えられている[9]。『デカメロン』の多くの細部には数秘術で神秘主義的な意義のある中世の感覚が吹き込まれている[10]

翻案

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『デカメロン』の1620年版、アイザック・ジャガードによって出版された。

絵画

演劇

歌曲

映画とテレビ

  • 『デカメロンの夜話』(1924)はデカメロンの3つの話をもとにしている。
  • 『デカメロン夜話』(1953)はデカメロンの3つの話をもとにして、ルイ・ジョーダンがボッカチオ役として主演を務めた。
  • ピエル・パオノ・パゾリーニの『デカメロン』(1971)は9作の作品を加えたアンソロジー映画である。
  • 2007年の映画のVirgin Territoryは『デカメロン』をもとにしているロマンティック・コメディである。
  • 2015年の映画 Maraviglioso Boccaccioはデカメロンの4話の話をもとにしたものである。
  • 2017年のコメディ『天使たちのビッチ・ナイト』は3日目の1話目と3日目の2話目を改作したものである。
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『デカメロン』を参考にした作品集

ボッカチオの絵

『デカメロン』が同年代の人々、特に商人にとても人気になったため、多くの『デカメロン』の手稿が残っている。イタリアの文献学者ヴィットーレ・ブランカは原稿を広く調査して、ボッカチオの指示の下で写されたいくつかを特定した。中にはボッカチオ自身によって書かれた注がある。特に2つはおそらくボッカチオ自身が描いたものとされる手の込んだ絵がある。ブランカはそれらの作品が広く流通したので、その後の挿絵に影響を与えたと考えている。1962年にブランカはベルリンの州立図書館にあるコーデックス・ハミルトン90をボッカチオ後期の自筆だと特定した[18]

日本語訳

脚注

関連項目

外部リンク

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