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ニコチン受容体拮抗薬
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ニコチン受容体拮抗薬(nicotinic receptor antagonist)または抗ニコチン薬(anti-nicotinic agent)とは、ニコチン性アセチルコリン受容体におけるアセチルコリン(ACh)の作用を阻害する抗コリン薬の一種である。これらの化合物は主に外科手術における末梢の筋肉の麻痺に使用され、このタイプの古典的な薬剤はツボクラリンである[1]。ブプロピオン、メカミラミン、18-メトキシコロナリジンなどの中枢作用型の化合物は、脳のニコチン性アセチルコリン受容体を遮断するので、ニコチン中毒の治療への応用が提案されている[要出典]。
歴史
コンドロデンドロンやマチンから採れるクラーレは、南米のインディアンが動物を狩る際の矢の先端や吹き矢に塗る毒として使われていた。16世紀にスペインの兵士がこれらの先住民族に襲われた際に初めて確認されたものである[2][3]。
1906年、ラングレーはニコチンとクラーレのニワトリとカエルの筋肉への作用を研究した。クラーレは、神経支配された筋肉と慢性的に除神経された筋肉の両方において、ニコチンの刺激作用を遮断することが明らかになった。1940年、ジェンキンソンはツボクラリンをアセチルコリンの競合的阻害薬として同定した。
クラーレとツボクラリンは、運動神経終板に特異的なコリン受容体が存在するという概念を確立する上で重要な役割を果たした[3]。適量であれば、手術の際に腹筋を弛緩させる全身麻酔薬として使用される[2]。
効果
拮抗受容体型による分類
- 神経節型受容体
- 自律神経節遮断薬
- ヘキサメトニウム、メカミラミン、トリメタファン
- 自律神経節遮断薬
- 筋肉型受容体
- 中枢神経型受容体
- α3β4、α4β2、α7(鎮咳去痰薬)
- デキストロメトルファン、デキストロルファン
- α3β4
- 18-メトキシコロナリジン、3-メトキシモルヒナン
- α3β4、α4β2、α7(鎮咳去痰薬)
自律神経節での作用
ニコチン受容体は、副交感神経系と交感神経系の両方の神経節に存在するリガンド依存性イオンチャネルであり、抗ニコチン薬の拮抗作用は、特定の部位でどちらの系が優勢であるかによって決まる。ニコチン受容体は、神経筋接合部や脳にも存在する[2][4]。
部位 | 優位な神経系 | 効果 |
外分泌腺 | 副交感神経
(汗腺を除く) |
|
心臓 | 副交感神経 |
|
血管 | 交感神経 |
|
眼 | 副交感神経 |
|
消化管 | 副交感神経 |
|
他の平滑筋 | 副交感神経 |
|
神経筋接合部 | N/A |
|
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臨床的応用
要約
視点
抗ニコチン剤は、神経節遮断薬と神経筋遮断薬に分類される。
神経節遮断薬は、すべての自律神経節に作用するため、臨床的にはほとんど使用されない[2][4]。
- アセチルコリンの放出阻害
- 長時間の脱分極(脱分極性遮断)、すなわち、刺激後の刺激遮断
- ニコチン受容体の競合阻害
例 | 作用機序 | 特性 | 臨床使用 |
ニコチン | 脱分極延長 |
|
禁煙薬
|
アセチルコリン(コリンエステラーゼ阻害剤存在下) | 神経節遮断剤としての臨床使用なし | ||
ヘキサメトニウム | ニコチン受容体の競合阻害 |
|
副作用のため、臨床使用中止 |
トリメタファン |
|
手術時の血圧降下(使用頻度は低い) | |
ツボクラリン |
|
使用頻度は低い | |
アトラクリウム |
|
外科的麻酔と挿管
|
神経筋遮断薬(筋弛緩薬)は、神経筋接合部で以下のように作用する[2][4]。
- アセチルコリンの合成阻害
- アセチルコリンの放出抑制
- シナプス後のアセチルコリン受容体の遮断
- 運動神経終板の長時間の脱分極
例 | 作用機序 | 効果発現時間 | 効果持続時間 | 特性 | 臨床使用 |
ヘミコリニウム-3 | アセチルコリン合成阻害 | / | / |
|
非臨床使用 |
ベサミコール |
|
非臨床使用 | |||
ボツリヌス毒素 | アセチルコリン放出抑制 | 3–5日 | 3–4か月 |
|
筋弛緩薬
分泌物の減少 頭痛の予防 |
β-ブンガロトキシン | / | / |
|
非臨床使用 | |
ツボクラリン | シナプス後アセチルコリン受容体遮断 | 遅(>5分) | 長(1~2時間) |
|
使用頻度は低い |
アルクロニウム |
|
現在は臨床使用されていない[8] | |||
パンクロニウム | 中(2~3分) | 長(1~2時間) |
|
術前投与
安楽死薬 | |
ピペクロニウム |
|
術前投与
| |||
ベクロニウム | 中 | 中
(30~40分) |
|
術前投与
| |
ロクロニウム |
| ||||
アトラクリウム | 中 | 中
(<30分) |
| ||
ドキサクリウム |
| ||||
シサトラクリウム |
| ||||
ミバクリウム | 速(約2分) | 短(15分程度) |
| ||
スキサメトニウム | 運動神経終板の持続的脱分極 | 速 | 短 |
| |
ロクロニウム |
|
禁忌
ニコチン拮抗薬の禁忌の例
- トリメトプリム:
- 血液疾患[11]
- スキサメトニウム:
- 高カリウム血症
- 血漿コリンエステラーゼ活性の低下(重度の肝疾患など)
- 重度の外傷
- 先天性筋緊張関連疾患の既往歴または家族歴
- 悪性高熱症の個人的または家族的既往歴
- 長期間の身体の固定
- 重度の熱傷
- デュシェンヌ型筋ジストロフィーなどの骨格筋ミオパチー
参考資料
Wikiwand - on
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