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ハオプテルス

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ハオプテルス
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ハオプテルス (Haopterus) は中華人民共和国遼寧省に分布する義県層下部白亜系バレム階-アプト階から産出した翼指竜亜目翼竜の1。その化石の年代は1億2460万年前とされている。

概要 ハオプテルス, 保全状況評価 ...
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発見と命名

本属は2001年に汪筱林 (Wang Xiaolin) と呂君昌 (Lü Junchang) によって命名された。模式種Haopterus gracilisである。属名は郝詒純(Hao Yichun:初めて中国語の古生物学教科書を記した著書の1人であり、特に有孔虫などの微化石分野で指導的立場にあった女性古生物学者)への献名であり、彼女の姓とギリシャ語πτερόν(翼)をラテン語化した"pteron"を結合させたものである。種小名はラテン語で「華奢な」の意味で、中足骨の状態を反映させている。

この属は1998年に北票市四合屯 (Sihetun) 産の押し潰された化石IVPP V11726を模式標本として設けられた。化石が見つかった層はカリウム-アルゴン法で1億2460万年のものだと推定されている。頭骨が保存されている翼竜化石としては、中国で最初の物だった。亜成体の身体前半部が残されており、頭骨・下顎・肩帯胸骨・両翼・頚椎・胴椎・坐骨の一部・中足骨を含む。

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記載

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ハオプテルス(上)とLiaoxipterus(下)の舌筋図解
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H. gracilis 標本BMNHC Ph767 の頭骨(蔵:北京自然博物館、撮影:国立自然科学博物館特別展)

ハオプテルスの頭骨は長さ145 mm で低くトサカは無い。口先は尖っているが丸い。上顎骨前上顎骨は完全に癒合し、縫合線は見えない。鼻前眼窩窓は伸長し楕円形になり、長さは4 cm で全頭骨長の27.6 %を占める。下顎長は128 mm である。顎の前部2/3に歯が存在する。上下顎共に12対の歯を持つ。は頑丈で鋭く尖っており、後方に反っている。前方に向かうに従い歯は徐々に大きさを増し、だんだん前を向いていく。ただし前上顎骨の最初の3対の歯は非常に小さく、記載者はそれらが生え替わったばかりの交換歯ではないかと推測している。

頭骨後部と頚椎はひどく押し潰され、細部はほとんど分からなくなっている。8個の胴椎が残されており、合わせた長さは52 mm である。胸骨は扇型で顕著な竜骨突起を持つ。翼は頑健な構造で、101 mm の長さの尺骨は89 mm の長さを持つ中手骨より長く、模式標本個体の翼開長は1.35 m だと推定されている。それに対して後肢の構造は弱々しかったらしく、中足骨の長さは17 mm しかなかった。

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系統学

ハオプテルスは汪によってプテロダクティルス科 (Pterodactylidae) の一員として分類されたが、それは主に頑丈な歯とトサカが無いことの組合せによるものだった。しかし2006年の呂による分岐分析では、Ornithocheiroidea sensu Unwin (2003) の基盤的要員であることが示された[1]。後のケルナー等による2019年の分析では、ハオプテルスはミモダクティルスと近い類縁関係にあることが示された。両者は一緒になってミモダクティルス科 (Mimodactylidae) となり、この科はイスティオダクティルス科 (Istiodactylidae) の姉妹群とされた[2]

以下のクラドグラムは、Witton (2012) の分析に従う[3]

Pterodactylus antiquus

Pteranodon longiceps

Coloborhynchus spielbergi

Hongshanopterus lacustris

Haopterus gracilis

Istiodactylidae

Nurhachius ignaciobritoi

Longchengpterus zhaoi

Istiodactylus latidens

Istiodactylus sinensis

Liaoxipterus brachyognathus

以下のクラドグラムはKellner et al. (2019) によって復元された物である。ハオプテルスはミモダクティルスの姉妹群として共にミモダクティルス科 (Mimodactylidae) に収められ、より包括的な群であるIstiodactyliformesの中に分類されている[4]

Istiodactyliformes
Mimodactylidae

Haopterus

Mimodactylus

Hongshanopterus

Istiodactylidae

Nurhachius

Istiodactylinae

Istiodactylus

Liaoxipterus

古生物学

記載者達は、後ろ足の小ささはこの動物が四足歩行で移動せざるを得なかった事を意味しているとし、帆翔に特化した魚食性の生活様式であったと推測した[5]。しかし一方でその近縁のミモダクティルスは、2019年のケルナー等の研究において甲殻類を食べる動物食だったと見なされている[4]


出典

外部リンク

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