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マレーシア海軍
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マレーシア海軍(マレーシアかいぐん、英語: Royal Malaysian Navy)は、マレーシアの海軍。
2024年11月時点で、現役18,000人・予備役1,000人の兵力を有し、潜水艦2隻とフリゲート2隻、コルベット8隻などを主体とした戦力を保有している[1]。
歴史
要約
視点
マレーシア海軍のルーツは、イギリス植民地時代の1934年4月27日に創設された海峡居住地海軍志願予備役(Straits Settlement Naval Volunteer Reserve、SSNVR)に遡る[2][3][注釈 1]。SSNVR創設当初の主力艦艇は、イギリス海軍から供与されたアカシア級スループ「ラバーナム」であった[2]。
第二次世界大戦ではイギリス軍艦や徴用された商船に乗り組み、マレー海域における哨戒や輸送、機雷敷設に従事した[5]。日本軍との交戦により戦死者も出している[5]。
第二次世界大戦後はイギリス本国の財政上の問題から解散され、一部の人員のみがイギリス軍に移籍した[6]。しかし1948年、マラヤ危機の勃発に伴って再び海軍部隊が創設されることになり、マレー海軍部隊(Malay Naval Force)として同年12月に復活した[4][7]。当時の主力艦は、旧日本海軍の急設網艦「若鷹」であった[4]。なお、海軍の設置と管理はイギリス領シンガポールが主導したため、シンガポール側からは「シンガポール海軍部隊」との名称も提案されていた[7]。
さらに1952年8月29日には、創設以来の功績が認められ、イギリス女王エリザベス2世から「王立」の称号を授与され、王立マラヤ海軍(Royal Malayan Navy)と改称された[4][8]。
1957年にイギリスからマラヤ連邦が独立すると、シンガポール管理下だった王立マラヤ海軍の帰属問題が発生した[9]。両国間の協議を経て、翌1958年7月1日に海軍はマラヤ連邦に移管された[4][9]。当時の海軍の人員は660人だったが、移管の際にシンガポール人など78名が退役を選んでいる[10]。同年8月31日には、海軍基地と軍艦名の一斉改名が行われた[10]。
1960年2月、独立後初めて外国軍艦との合同演習を実施[10]。
創設当初は主要ポストをオーストラリアなどイギリス連邦の海軍士官が占めており、マレー人士官の教育もイギリスのブリタニア王立海軍兵学校に委託されていたが、1960年代には教育を受けたマレー人士官が主要ポストにつき始め、1970年代には自国に海軍兵学校を創設して、マレーシア人のみによる海軍運営が可能となった[4]。
1963年にマラヤ連邦はシンガポール、サラワク、イギリス領北ボルネオ(サバと改称)と新たな連邦を結成し、マレーシアが成立した[11]。これにより王立マラヤ海軍とシンガポールが別途保持していた海上戦力は統合され、マレーシア海軍が成立した[12]。いっぽう、隣国インドネシアは連邦形成に強く反対しており、マレーシアへの武力侵攻も辞さない構えを見せたことから、マレーシア軍は急速な拡充を求められた[4][12]。同年、インドネシアはマレーシアへの侵攻に踏み切り、各所でマレーシア軍と交戦した[12]。マレーシア海軍も侵攻を試みるインドネシア艇などと複数回の交戦を行い、撃退や捕獲に成功した一方で戦死者も出している[12]。1966年6月、両国間で和平合意が成立した[12]。
1965年8月にはシンガポールが連邦から独立し、海軍の一部部隊もシンガポールに移管された[11][12]。また、それまで海軍作戦司令部はシンガポールのウッドランズ海軍基地に所在しており、シンガポール独立後も両国合意のもと運用を続けたものの、基地として手狭なことや外国領土にあることが問題視されたこともあって、1971年から本格的にマレーシア国内への移転計画が始められている[4][13]。
1971年にはイギリス海・空軍の基地がマレーシアから撤退し、同時にイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールとの間で5か国防衛取極が締結された[4][13]。同年、マレーシア海軍は初めてミサイルを採用した[4]。
1974年、作戦司令部と主力艦隊の移転先となる新基地の建設が始まった[4]。造船ドックなどを除く港湾設備に関しては、日本が建設を担当した[14]。
1980年代には、カンボジア・ベトナム戦争を受けて沿岸哨戒戦力の拡充が図られた[4]。
1984年、新築されたルムット海軍基地へ海軍作戦司令部の移転が完了した[4]。
1985年1月にはマレーシア海軍工廠が操業を開始し、同年2月には訓練施設である海上戦術センターが設立された[13]。
1986年からは海軍航空隊を設立する計画が始まり、1988年4月にイギリスから6機のウエストランド ワスプヘリコプターを導入した[13]。
2010年代末からは、限られた予算の中で効率化と能力向上を図るべく、人材育成と運営効率化、艦種の整理を主軸とした大規模な艦隊兵力の再編が図られている[15][16]。
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組織

マレーシア海軍の本部はクアラルンプールに所在している[17]。
艦隊は西部艦隊(Armada Barat)と東部艦隊(Armada Timur)の2つがあり、それぞれルムット海軍基地とセパンガル海軍基地に艦隊司令部がある[17]。機雷戦部隊、海軍航空隊、訓練部隊、特殊部隊はルムット基地に本部を置き、潜水艦部隊はセパンガル基地に本部を置く[17]。
また、管轄区域として3つの海軍区に分かれており、それぞれクアンタン(第1海軍区)、サバ(第2海軍区)、ランカウイ(第3海軍区)に本部があるほか、ビントゥルを本部とする4番目の海軍区を設置準備中である(2024年11月時点)[1][17]。
装備
要約
視点
退役艦を含む艦艇の一覧は「マレーシア海軍艦艇一覧」を参照。
2024年11月時点で、潜水艦2隻とフリゲート2隻、コルベット8隻などを主体とした艦艇と、11機のヘリコプターを保有している[1]。保有艦艇や装備はヨーロッパ製が多いが、少数ながら中国や韓国からも調達を行っている[1][3][18]。
潜水艦はフランス製のトゥンク・アブドゥル・ラーマン級で、2009年に2隻が就役した[1][18]。フリゲートはイギリス製のレキウ級で、1999年に2隻が就役している[1][18]。コルベットはドイツ製で、1984年に就役したカスツーリ級2隻と、2000年代後半に就役したクダ級6隻がある[1][18]。このほか哨戒艦艇54隻、機雷戦艦艇4隻と、支援・練習艦艇など十数隻を保有している[1]。海軍航空隊はスーパーリンクス、フェニック、AW139の3機種のヘリコプターを有するが、固定翼のCN235海洋哨戒機については海軍ではなく空軍が装備している[1][19]。
なお、艦種の類別は基本的に国際戦略研究所の「The Military Balance 2025」に基づくが[1]、資料によって異なる類別をしている場合もある[18]。
艦艇
航空機
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特殊部隊

→詳細は「en:Naval Special Forces (Malaysia)」を参照
マレーシア海軍にはPASKAL(Pasukan Khas Laut、海軍特殊戦部隊)と呼ばれる特殊部隊を保有している[23]。当初は海軍基地の防衛を目的に結成され、その後領海内の石油掘削施設の防衛など海上での特殊作戦が任務に追加されていった[23]。インド洋での対海賊作戦や、アフガニスタンでの平和維持活動、2013年のラハダトゥ対立などにも参加している[23]。
事故
- 2024年4月23日、軍事パレードのリハーサル中に海軍のヘリコプター2機が空中衝突し墜落、両機の乗員計10名全員が死亡した[24](en:2024 Lumut mid-air collision)。
- 2024年8月25日、ジョホール州のタンジュン・ペニュソップ沖2カイリの地点で、ハンダラン級哨戒艇ペンデカールが機関室に浸水し沈没した[25]。乗員39名は全員脱出に成功した[25]。
脚注
参考文献
関連項目
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