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モスクワは涙を信じない
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『モスクワは涙を信じない』(モスクワはなみだをしんじない、原題・ロシア語: Москва Слезам Не Веритマスクヴァー・スリザーム・ニ・ヴィェーリト、ラテン文字転写の例:Moskva slezam ne verit;英題:Moscow Does Not Believe In Tears)は、1979年に製作されたソビエト連邦の映画である。脚本ワレンチン・チェルヌィフ、監督はウラジーミル・メニショフ。 1950年代後半から1970年代後半にかけてのモスクワを舞台に、田舎から出てきた3人の女性を描いた物語で、制作期間は約4か月。主演は後にメニショフの妻となるヴェーラ・アレントワと、アレクセイ・バターロフであった。なお、題名の「モスクワは涙を信じない」とは「泣いたところで誰も助けてはくれないものだ」という意味を持つロシア語の格言である。
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あらすじ
要約
視点
第一部・1958年モスクワ。 カテリーナ(ヴェーラ・アレントワ)、リュドミーラ(イリーナ・ムラヴィヨワ)、アントニーナ(ライサ・リャザノワ)の三人は、郊外の女子労働者寮で同室に暮らすことになり、やがて友人となっていく。カテリーナは学位を取得しようと努力する傍ら、工場で働いている。金持ちとの結婚願望があるリュドミーラは、カテリーナを教授の娘に仕立て上げてパーティーを開いて、裕福な人たちを招く。 リュドミーラはそこで、アイス・ホッケー選手セルゲイ(アレクザンドル・ファチューシン)と知合い、カテリーナはテレビ局のカメラマンをしているルドルフ(ユーリー・バシリエフ)と出会って愛し合うようになり、彼女は妊娠する。しかしカテリーナが工場労働者にすぎないことを知ったルドルフは彼女を捨て、カテリーナは中絶を決意。ルドルフの母はカテリーナに手切れ金を手渡そうとするが、彼女は受け取りを拒否する。
やがてアントニーナは同僚のニコライ(ボリス・スモルチコフ)と結婚し、彼女が去った寮でカテリーナが娘アレクサンドラを育てつつ、深夜まで勉強し、涙を流しながら眠りにつく。
第二部・1978年モスクワ。 カテリーナは目覚まし時計の音に起こされる。彼女は未婚であるが、既に大工場の責任者となっていて、特権階級としての車を持ち、娘アレクサンドラ(ナターリヤ・ワヴィーロワ)も美しく成長していた。彼女にはウラジミールという年配の愛人(オレグ・タバコフ)がいるが、彼は既婚者であり、彼女は人生に何か不足を感じている。 リュドミーラはセルゲイがアルコール中毒になった為に離婚しており、再び裕福な人との結婚を考えている。アントニーナはニコライと結婚して3人の子供と幸せに暮らしている。
ある晩、カテリーナがダーチャから電車で家に戻ると、ゴーシャ(アレクセイ・バターロフ)と出会う。2人はお互いを見つめ始めるが、それは予期しないルドルフの訪問によってご破算となる。ルドルフはカテリーナの工場における驚異的な生産率を報道するため、ニュース制作スタッフの一員として派遣されてきたのだった。ルドルフはかつての恋人カテリーナと再会し、娘に対して償いをし、顔を見たいと願う。カテリーナは自分が結婚する予定であり、電話もして欲しくない、家にも来ないで欲しいという。しかしルドルフはそれを聞き入れず、ゴーシャとカテリーナ、アレクサンドラの3人が夕食を楽しむところに訪問する。彼は番組でのインタビューの話をし、その結果ゴーシャはカテリーナが工場長であること、そして自分よりもはるかに高額な給与を得ていることを知る。いかなる形であれ妻が夫より上位にある家族を認められないゴーシャは、混乱してその場を立ち去る。
その後しばらく、彼はカテリーナに電話もよこさず、家を訪ねることもなかった。カテリーナとかつてのルームメイトたちは、何かしなければならないと考える。アントニーナの夫ニコライはゴーシャを探す算段を立てる。ニコライは酔っ払っているゴーシャを見つけて一緒に酒を飲み、カテリーナの元に戻るようゴーシャを説得する。 カテリーナの家の台所で、ゴーシャはスープを飲み、カテリーナは目に涙を浮かべながら彼を見つめる。8日間もの間音信不通にしていたことをわびるゴーシャに対し、カテリーナは「一生涯あたなを探していたような気がする」伝えるのであった。
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キャスト
- カテリーナ・アレクサンドロヴナ・チホミロワ(「カティア」) : ヴェーラ・アレントワ - 工場労働者
- ゲオルギー・イワノビッチ(「ゴーシャ」): アレクセイ・バターロフ - カテリーナのパートナー
- リュドミーラ・スビリドワ(「リュダ」): イリーナ・ムラヴィヨワ - カテリーナのルームメイト
- アントニーナ・ブヤノワ (「トーシャ」) : ライサ・リャザノワ - カテリーナのルームメイト
- アレクサンドラ : ナターリヤ・ワヴィーロワ - カテリーナの娘
- ロディオン・ラチコフ(「ルドルフ」): ユーリー・バシリエフ - テレビのカメラマンで、カテリーナと付き合うが別れる
- ニコライ : ボリス・スモルチコフ - アントニーナの同僚で後に結婚
- セルゲイ・グーリン(「セリョージャ」): アレクザンドル・ファチューシン - ホッケー選手、リュドミーラと結婚するが後にアルコール依存症となり離婚
- ミハイル・イワノビッチ : ヴィクトル・ウラルスキー - ニコライの父
- アンナ・ニキチナ : ヴァレンティーナ・ウシャコワ - ニコライの母親
- ロディオンの母親 : エフゲニヤ・ハナエワ - カテリーナに手切れ金を渡そうとする
- オルガ・パブロヴナ : リヤ・アクジャコワ - シングルのクラブディレクター
- 「叔母」パシャ : ゾーヤ・フョードロワ - 寮事務員
- ウラジミール : オレグ・タバコフ - カテリーナの恋人
- アントン・クルグロフ : ウラジミール・バソフ - 中央委員会副委員長
- ゴーシャの友人 : アレクサンドル・ボロディアンスキー
- 化学工場の主任技師 : ガリ・バルディン
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公開
受賞・評価
- 1980年度のアカデミー外国語映画賞を受賞。アカデミー外国語映画賞を受賞したソビエト連邦のわずか3本のうちの1本で、他の2本は 『戦争と平和 (1967年の映画)』(1966~1967年)、『デルス・ウザーラ』(1975年)。
- 1981年、ソビエト連邦国家賞に選ばれる。
- 2021年、ロシア世論調査センターが実施した世論調査では、この映画がロシアの観客の間で史上最高のソビエト連邦の映画に選ばれる[4]。
劇中曲
エピソード
- アメリカのロナルド・レーガン大統領はソ連のミハイル・ゴルバチョフ大統領と会見する前、この映画を少なくとも二回鑑賞して一般のロシア人の心をより深く理解しようと務めたと言われている。2000年にロシアで制作されたDVD版では、主題歌「アレクサンドラ」を歌ったセルゲイ・ニキーチンへのインタビューで彼はこの事に触れている。
- それまで『鶴は翔んでゆく』等に数々の映画出演歴のあるバターロフに対し、ヴェーラ・アレントーヴァはこれまでTVドラマには主演していたが、映画での主演は初であった。以降彼女は多くの作品に主演を果たすきっかけとなった。
外部リンク
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