五フッ化アンチモン

五フッ化アンチモン（ごフッかアンチモン、antimony pentafluoride）は、アンチモンのフッ化物。化学式は SbF₅、分子量 216.8。

五フッ化アンチモン
IUPAC名 Antimony pentafluoride
系統名 Pentafluoro-λ5-stibane
別称 Antimony(V) fluoride pentafluoridoantimony
識別情報
CAS登録番号	7783-70-2
3D model (JSmol)	Interactive image
ChemSpider	22963
ECHA InfoCard	100.029.110
EC番号	232-021-8
PubChem CID	24557
RTECS number	CC5800000
UNII	6C93R71VRF
国連/北米番号	1732
CompTox Dashboard (EPA)	DTXSID00893075
InChI InChI=1S/5FH.Sb/h5*1H;/q;;;;;+5/p-5  Key: VBVBHWZYQGJZLR-UHFFFAOYSA-I  InChI=1/5FH.Sb/h5*1H;/q;;;;;+5/p-5/rF5Sb/c1-6(2,3,4)5 Key: VBVBHWZYQGJZLR-NMXCDXEPAW
SMILES F[Sb](F)(F)(F)F
特性
化学式	SbF5
モル質量	216.74 g/mol
外観	無色の油状の液体 吸湿性
匂い	刺激臭
密度	2.99 g/cm3 [1]
融点	8.3 °C, 281 K, 47 °F
沸点	149.5 °C, 423 K, 301 °F
水への溶解度	水と反応する
溶解度	フッ化カリウムと液体二酸化硫黄に溶ける
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性	極めて有毒、腐食性、健康に有害。水や生体組織と接触するとフッ化水素酸を放出する。強力な酸化剤。
GHS表示:
絵表示
重要な用語	Danger
危険性報告	H300+H310+H330, H314, H411, H412
予防報告	P260, P261, P264, P270, P271, P273, P280, P301+P312, P301+P330+P331, P303+P361+P353, P304+P312, P304+P340, P305+P351+P338, P310, P312, P321, P330, P363, P391, P405, P501
NFPA 704（ファイア・ダイアモンド）	[2] 4 0 3 W OX
引火点	不燃性
致死量または濃度 (LD, LC)
半数致死量 LD50	270 mg/kg (マウス, 皮下)
半数致死濃度 LC50	270 mg/m3 または 30 ppm (マウス, 吸入)
LCLo (最低致死濃度)	15 mg/m3 または 1.69 ppm (ラット, 吸入, 2時間)
NIOSH（米国の健康曝露限度）:
PEL	TWA 0.5 mg/m3 または 0.05 ppm (as Sb)[3]
REL	TWA 0.5 mg/m3 または 0.05 ppm (as Sb)[3]
IDLH	50 mg/m3 (5 ppm)
安全データシート (SDS)	ICSC 0220
関連する物質
その他の 陰イオン	五塩化アンチモン
その他の 陽イオン	五フッ化リン 五フッ化ヒ素 五フッ化ビスマス
関連物質	三フッ化アンチモン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

概要

融点 8.3 ℃、沸点 141 ℃ の無色透明の油状の液体で、吸湿性が強い。水と激しく反応してフッ化水素を生じ、ガラスなどを容易に腐食する。人体に対しても非常に有害で危険。

五フッ化アンチモンは強力なルイス酸であり、超酸である。他の酸の酸素に接近して電子を強く引き込み、酸性度を強める効果を持つ。特にフルオロスルホン酸との 1:1 の混合物はマジック酸と呼ばれ、炭化水素などもイオン化する。

${\displaystyle {\ce {SbCl5\ + 5HF -> SbF5\ + 5HCl}}}$