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星野屋
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『星野屋』(ほしのや)は、古典落語の演目。別題として『入れ髪』(いれがみ)[1]。上方落語では『三両残し』(さんりょうのこし)・『三円残し』(さんえんのこし)[2]、あるいは『五両残し』(ごりょうのこし)の題で演じられる[3]。
店の旦那と妾の間で相手を欺く駆け引きをする内容。
原話は元禄11年(1698年)に刊行された『初音草大噺大鑑』(はつねぐさはなしおおかがみ)第1巻収録の「恋の重荷にあまる智(知)恵」(「末摘花」という遊女と別れたい男が、遊女に手切れ金として小判10枚を置いていくが、遊女は手にしないだろうからと幇間に後から回収させようとし、実行後に幇間が「回収を失念した」と話したところ男が「実は偽小判だ」と言い、「偽物なら持ってきた」と主人に渡して賞められると「本物なら3枚くすねた」と答える内容)[2][3][4]。
宇井無愁は上方版(『五両残し』)について、「虚々実々ドンデン返しの繰り返しで、落語にはめずらしいサスペンスのある秀作である」と評している[3]。
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あらすじ
※以下の内容は東大落語会編『落語事典 増補』に準拠する[4]。
星野屋の主人は妾としてお花という女性を彼女が母と住む家に囲っていたが、「当分来られないから」と金を渡して手を切ったことにするよう頼む。そんなことをしたらとりついて殺すというお花に、主人は自分は実は自害しようと思っていると答える。そこまで自分を思うなら心中してくれと主人は話し、お花はしぶしぶ同意して、金を置いたまま九つの時の鐘を合図に吾妻橋で主人と落ち合い、主人が飛び込んだのを見てから後を追わずに帰宅してしまう。
帰宅後ほどなくして、主人との仲立ちをした重吉という男が来訪し、主人の幽霊をさっき見かけてお花を取り殺すと口にしたと告げる。とりつかれないための方法を相談された重吉は、髪を下ろしてもう誰とも結婚しないと誓えば許してくれるだろうと答え、お花が髪を差し出すと、死んだはずの主人が現れる。重吉はお花の心根を試すための芝居で、橋の下に布団を敷いた船を用意していたのだと話し、後追いで飛び込めば身請けしたのに坊主になってざまあみろと啖呵を切った。するとお花は、渡したのはかもじだと暴露した。重吉は渡した金は贋金だから使えばお縄だと返し、お花は主人の置いた金を持っていけと投げる。重吉はそれを拾い上げて「実は本物の金だ」というと、横で聞いていたお花の母が「そうだと思って3枚くすねておいた」。
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上方版
題材について
8代目林家正蔵は、「お花」を楊枝店(単に楊枝を売るだけではなく、店頭に縁台を置いて飲食できるようにしていた)の看板娘だとし、重吉は楊枝店に出入りするすし屋で、その立場から星野屋との仲を取り持った設定だと述べている[6]。
歌舞伎化
『星野屋』を小佐田定雄が2000年に脚色したものを桂文珍が初演しており[注釈 1]、これを『心中月夜星野屋」として歌舞伎化したものを2018年に2代目中村七之助のおたか(原作のお花)、9代目市川中車の星野屋照蔵(原作の星野屋平蔵)により上演している[8][9]。
脚注
参考文献
関連項目
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