トップQs
タイムライン
チャット
視点

供給

ウィキペディアから

供給
Remove ads

供給(きょうきゅう、: Supply)は、企業生産者労働者金融資産の提供者、その他の経済主体が市場または個々の相手に対して提供する意思と能力のある資源の量を指す。供給は、生産された財、労働時間、原材料、その他の希少または価値ある対象で表されうる。供給はしばしばグラフ上で供給曲線として描かれ、縦軸に単位当たりの価格、横軸に価格の関数としての供給量が置かれる。従属変数と独立変数の通常の位置関係が逆転しているのは不幸ではあるが標準的な慣行である。

Thumb
非線形の供給曲線の例

供給曲線は、個々の売り手に対するものでも、市場全体に対するものでもよい。後者は全売り手の供給量を合計したものである。供給量は一定の期間(例:企業が1年間に供給する鋼のトン数)に対応するが、理論的な提示では単位や期間が省略されることが多い。

財市場では、供給とは、他のすべての要因を一定に保ったときに、生産者がさまざまな与えられた価格で販売する意思のある製品の単位時間当たりの量である。労働市場では、労働供給は、個人が働く意思のある週・月・年当たりの時間を賃金の関数として表す。

経済・金融の分野では、マネーサプライはマネーマーケットで利用可能な高流動性資産の量であり、国の金融当局によって決定または影響される。どの概念のマネーサプライを論じるかにより内容は異なる。例えばM1は一般にナローマネー、すなわち硬貨、現金、ほぼ即時に通貨へ転換可能な貨幣同等物を指す。対照的にM2はM1に加え、短期預金や特定のマネーファンドを含む。

Remove ads

供給表

要約
視点

供給表は、既存の状況下で、特定の価格において1社または複数の企業がどれだけ供給する意思があるかを示す表である[1]。重要な供給決定要因には、当該財の価格、関連財の価格、生産費用、技術、生産関数、売り手の期待などがある。

供給に影響する要因

売り手が財を生産・販売する意思や能力に影響しうる要因や状況は無数にある。代表的なものは次のとおり。

当該財の価格: 基本的な供給関係は、財の価格と供給量の関係である。供給の法則によれば、他の要因を一定に保てば、価格の上昇は供給量の増加をもたらす[2]
関連財の価格: 供給分析における関連財とは、一次財の生産に使用される投入物が由来する財を指す[2]。例えばスパムは豚肩肉やハムから作られる。いずれも豚に由来するので、豚はスパムに対する関連財とみなされる。この場合の関係は負(逆)であり、豚の価格が上がれば生産費用が増加するためスパムの供給は減少する(供給曲線が左方へ移動する)。関連財はまた、企業が保有する生産要素で生産可能な別製品であることもある。例えば、皮ベルトを生産している企業が、スマートフォン用レザーポーチのほうが収益性が高いと知れば、ベルトの生産を減らしポーチの生産へ切り替えるかもしれない。さらに、共生産物の価格変化も供給に影響する。例えば牛肉製品と革は共生産物である。牛肉加工と製革の両方を行う企業では、ステーキ価格が上昇すれば処理頭数が増え、革の供給も増加する[3]
生産条件: 最も重要なのは技術水準である。特定の財の生産に技術進歩があれば供給は増える。その他の変数も生産条件に影響しうる。例えば農産物では天候が生産量に重大な影響を与える[4]。規模の経済も生産条件に影響する。
期待: 将来の市場状況に関する売り手の見通しは供給に直接影響しうる[5]。例えば、近い将来に製品の需要が急増すると見込めば、将来の価格上昇を見越して直ちに生産を増やす場合がある。このとき供給曲線は外側へシフトする[6]
投入価格: 投入物には土地、労働、エネルギー、原材料が含まれる[7]。これらの価格が上昇すると、任意の価格で販売する意思や能力が低下するため供給曲線は左方へ移動する。例えば電力価格が上昇すれば、生産コストの増加により供給を減らすことがある[6]。固定投入は投入価格に影響しうるほか、生産規模に応じて固定費が最終財価格へどの程度反映されるかも変わる。
供給者数: 市場供給曲線は個別供給曲線の水平和である。産業への参入企業が増えると市場供給曲線は外側へシフトし、価格は低下する。
政府の政策・規制: 政府による経済介入は供給に大きな影響を与えうる[7]。環境・衛生規制、労働時間・賃金法、税、電気・天然ガス料金、用途地域規制・土地利用規制など、多様な形態を取りうる[8]

このリストは包括的ではない。売り手が財を生産・販売する意思や能力に関連するあらゆる事実や状況が供給に影響しうる[9]。例えば降雪予報が出れば、小売業者はそり、スキー、冬物衣料、パンや牛乳などの在庫を増やして対応する。

供給の法則に違反する事例/例外的事例

農産物・生鮮品: 保存期間が短いため、収穫直後には大量に市場に出回り、価格は通常低い。乾季/作付期には逆の状況となる。

供給量が固定された財: 機械設備の制約に依存する財などでは、市場価格が異なっても同一数量が供給される場合がある。

労働供給: 経営幹部・管理職は高賃金だが労働時間が短く、一般職は中程度の賃金で最も長く働く、といった賃金と供給時間の関係がみられることがある。

Remove ads

供給関数と供給方程式

供給関数は、その出所により消費者または企業に分類できる。以下では各種の供給関数を順に扱う。記法として、I個の生産財(各々が1業種を定義)とJ個の要素があるとする。添字i=1,…,Iとj=1,…,Jはそれぞれ生産財(業種)と要素を走る。nは、まず生産財、次に要素を列挙して財を一括に番号付けし、n=1,…,I,I+1,…,I+Jとする。業種iの企業数はL_iで、各企業はl=1,…,L_iで示す。消費者はK人で、k=1,…,Kとする。変数は消費者kが消費する要素jの量を表す。この個人は、財jの保有をからまで有しうる。もし<なら、個人kはjの供給者であり、逆ならjの消費者である。

供給関数は、供給と、売り手が販売の意思・能力を持つことに影響する要因との関係を数式で表したものである。例として、が暗示する曲線を挙げることができる。ここでは当該財の価格、は関連財の価格である。セミコロンは、供給量を当該財の価格に対して描く際、右側の変数を一定とみなすことを意味する。供給方程式は、この関係を明示的に表した数式である。線形の例としてがある。ここでは当該製品の供給に影響する未特定要因の寄せ場である。の係数が正であるのは、価格と供給量が正の関係にあるという一般則に従うためである。は関連財の価格であり、通常その係数は負である。関連財が投入物、または投入源であることが多いからである。

Remove ads

動きとシフト

曲線上の動きは、当該財の価格の変化によって供給量が変化した場合にのみ生じる[10]。これに対し、供給曲線のシフト(供給の変化)は、価格以外の供給決定要因が変化した場合にのみ生じる[10]。例えば、当該財の生産に用いられる材料という関連財の価格が上昇すれば、供給曲線は左方へ移動する[11]

出典

Loading related searches...

Wikiwand - on

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.

Remove ads