古ノルド語表記 |
日本語(カナ)表記 |
意味 |
名前の出典 |
Brynhildr[S 1] |
ブリュンヒルドル, ブリュンヒルド[カナ 1] |
「輝く戦い」[意 1] |
『詩語法』 |
Eir[S 2] |
エイル |
「平和、慈悲」[意 2]、あるいは「救済、温情」[意 3] |
『名の諳誦』 |
Geirahǫð, Geirahöð, Geirahǫd[S 3] |
ゲイラホズ, ゲイラヘズ[カナ 2] |
古ノルド語の geirr (槍) と höð (「戦い」)に結びつけられる[意 4]。 |
『グリームニルの言葉』を伝える写本のうちのいくつかで、同じくヴァルキュリヤの名前と思われる「ゲイロルル」(Geirölul) の代わりに登場する[6](『ギュルヴィたぶらかし』への引用など)。 |
Geiravǫr[S 3], Geiravör |
ゲイラヴォル |
「槍」+「ヴォル (vör)」[意 4] |
『名の諳誦(増補版)』 |
Geirdriful[S 3] |
ゲイルドリヴル |
「槍を投げる者」[意 4] |
『名の諳誦(増補版)』 |
Geirǫnul[S 3][S 4], Geirönul[S 5]; Geirrǫnul[S 3], Geirrönul; Geirǫmul[S 3], Geirömul; Geirǫlul[S 6][S 3], Geirölul; Geirrǫlul[S 7], Geirrölul; Geirǫndull[S 3]; Geirrǫndul[S 8] |
ゲイロヌル; ゲイッロヌル; ゲイロムル; ゲイロルル, ゲイレルル[カナ 3]; ゲイッロルル; ゲイロンドゥッル; ゲイッロンドゥル |
「槍を持って進むもの」[意 5]。/ 語義不明; オージンの別名の一つ「ゲイロルニル」(Geirölnir) や、ドヴェルグルの一人の名前「オルニル」(Ölnir) に結びつけられるかもしれない[意 6]。あるいは「槍を持ち力を溜める者」を意味するかもしれない[意 6]。異形の一つ「ゲイルロル」(Geirölul) は、ルーン文字による呪言「アル」(alu, ᚨᛚᚢ) に結びつけられるかもしれない[意 6]。 |
『グリームニルの言葉』, 『名の諳誦(増補版)』 |
Geirskǫgul, Geirskögul, Geirscögul[S 9]; Geirskǫgull[S 7] |
ゲイルスコグル, ゲイルスケグル[カナ 4]; ゲイルスコグッル |
「槍の戦」[意 7]。/ 「槍」+「スコグル (skögul)」[意 1] (スコグルについては以降を参照) |
『巫女の予言』, 『名の諳誦(増補版)』, 『ハーコンの言葉』 |
Gǫll[S 10][S 11], Göll |
ゴッル, ゲル[カナ 3] |
「騒がしきもの」[意 8]。/ 「騒動」[意 9], 「騒音、戦闘」[意 10] |
『グリームニルの言葉』, 『名の諳誦(増補版)』 |
Gǫndul[S 11], Göndul[S 12]; Gǫndull[S 8] |
ゴンドゥル[カナ 5][カナ 6][カナ 7], ゲンドゥル[カナ 4]; ゴンドゥッル |
「魔力をもつ者」[意 11]。/ 「杖を振るう者」[意 9] |
『巫女の予言』, 『名の諳誦』 |
Guðr[S 13]; Gunnr[S 14][S 15] |
グズル, グズ[カナ 2][カナ 6][カナ 7]; グンル, グン[カナ 4][カナ 8] |
「戦」[意 12]。/ 「戦争」[意 9], 「戦闘」[意 13] |
『巫女の予言』, 『ギュルヴィたぶらかし』, 『名の諳誦(増補版)』, 『槍の歌』 |
Herfjǫtur[S 16], Herfjötur, Herfiǫtur[S 17]; Herfjötra[S 5] |
ヘルフィヨトゥル[カナ 3], ヘルフョトゥル |
「軍勢の縛め」[意 14]。/ 「主人の足枷」[意 9], 「軍隊の足枷」[意 15] |
『グリームニルの言葉』, 『名の諳誦(増補版)』 |
Herja[S 18] |
ヘリヤ, ヘリャ |
古ノルド語の herja および古高ドイツ語の herjón (「壊滅させる」の意) に関係している[意 16]。 |
『名の諳誦(増補版)』 |
Hervǫr alvitr[S 19], Hervör alvitr, Hervor alvitr[S 20] |
ヘルヴォル・アルヴィトル, ヘルヴォル・アルヴィト[カナ 9] |
Hervor 「軍勢の守り手」+ alvitr 「全知」[意 17]。/ 「アルヴィトル (Alvitr)」は「全知者」あるいは「奇妙な生物」かもしれない[意 18] |
『ヴォルンドルの歌』 |
Hildr[S 21][S 22] |
ヒルドル, ヒルド[カナ 4][カナ 3][カナ 10][カナ 6][カナ 7] |
「戦」[意 19]。/ 「戦闘」[意 20] |
『巫女の予言』, 『グリームニルの言葉』, 『名の諳誦』, 『槍の歌』 |
Hjalmþrimul[S 23] |
ヒヤルムスリムル, ヒャルムスリムル |
「兜の音を立てる者」か「女戦士」かもしれない[意 21] |
『名の諳誦(増補版)』 |
Hjǫrþrimul[S 23], Hjörþrimul, Hjǫrthrimul[S 8] |
ヒヨルスリムル, ヒョルスリムル[カナ 6][カナ 7] |
「剣の女戦士」、これは古ノルド語の hjörr (剣)と þrima (「戦闘、騒音」)に由来する[意 21]。 |
『名の諳誦(増補版)』, 『槍の歌』 |
Hlaðguðr svanhvít[S 24][S 25] |
フラズグズル・スヴァンフヴィート, フラズグズ・スヴァンフヴィート[カナ 9] |
Hlaðguðr 「王冠で飾られた女戦士」+ svanhvít 「白鳥のように白い」[意 22]。/ 「フラズグズル (Hlaðguðr)」+「白鳥」+「白」[意 23] |
『ヴォルンドルの歌』 |
Hlǫkk[S 26], Hlökk, Hlǫcc[S 27] |
フロック[カナ 11], フレック[カナ 3] |
「武器をがちゃつかせるもの」[意 24]。/ 「騒音、戦闘」[意 9] |
『グリームニルの言葉』, 『名の諳誦』 |
Hrist[S 28][S 29] |
フリスト[カナ 3][カナ 12] |
「とどろかすもの」[意 25]。/ 古ノルド語の hrista 「振動、身震い」に関係しており、したがって「震える者」を意味する[意 26]。 |
『グリームニルの言葉』, 『名の諳誦』 |
Hrund[S 30] |
フルンド |
「棘」[意 9] |
『名の諳誦』 |
Kára[S 31], Kara[S 8] |
カーラ[カナ 13] |
「荒れ狂う者」(古ノルド語の afkárr 「荒れ果てた」に立脚)、あるいは「巻き毛」「巻き毛の者」かもしれない[意 27]。 |
『フンディングル殺しのヘルギの歌 其の二』 |
Mist[S 32][S 33] |
ミスト[カナ 3] |
「霧」[意 28]。/ 「雲」あるいは「霧」[意 29] |
『グリームニルの言葉』, 『名の諳誦』 |
Ǫlrún[S 34], Ölrún; Ǫlrun[S 35] |
オルルーン, エルルーン[カナ 9] |
「ビールのルーネに通じたもの」[意 30]。/ 「エールのルーン」かもしれない[意 31] |
『ヴォルンドルの歌』 |
Ráðgríðr[S 36], Ráðgríð[S 37] |
ラーズグリーズル, ラーズグリーズ[カナ 3] |
「計画を壊すもの」[意 32]。/ 「会議」+「休戦」[意 9]、あるいは「専横する者」かもしれない[意 33] |
『グリームニルの言葉』, 『名の諳誦(増補版)』 |
Randgríðr[S 38], Randgríð[S 39], Randgrid[S 38]; Randgnid[S 8] |
ランドグリーズル, ランドグリーズ[カナ 3] |
「楯を壊すもの」[意 34]。/ 「盾」+「休戦」[意 9]、あるいは「盾」+「破壊者」かもしれない[意 35] |
『グリームニルの言葉』, 『名の諳誦(増補版)』 |
Reginleif[S 40][S 41]; Reginleifr[S 8] |
レギンレイヴ[カナ 3]; レギンレイヴル |
「神々の残されたもの」[意 36]。/ 「力の跡」[意 9]、あるいは「神々の娘」[意 37] |
『グリームニルの言葉』, 『名の諳誦(増補版)』 |
Róta |
ロータ[カナ 14], ロタ[カナ 2] |
古ノルド語の名詞 róta (「雹と嵐」の意)と結びつけられるかもしれない[意 38] |
『ギュルヴィたぶらかし』 |
Sanngríðr[S 42], Sanngriðr[S 43], Sangriðr[S 43] |
サングリーズル, サングリズル, サングリーズ[カナ 6][カナ 7] |
「とても乱暴な、とても残酷な」[意 39] |
『槍の歌』 |
Sigrdrífa[S 44] |
シグルドリーヴァ[カナ 15] |
「勝利を促す者」[意 9]、あるいは「勝利のために鼓舞する者」[意 40] |
『シグルドリーヴァの言葉』 |
Sigrún[S 44] |
シグルーン[カナ 16] |
「勝利のルーン」[意 9] |
『フンディングル殺しのヘルギの歌 其の一』, 『フンディングル殺しのヘルギの歌 其の二』 |
Skalmǫld[S 45], Skalmöld |
スカルモルド |
「剣の時」[意 41] |
『名の諳誦(増補版)』 |
Skeggjǫld[S 45], Skeggjöld, Sceggiǫld[S 46]; Skeggǫld[S 45], Skeggöld |
スケッギヨルド, スケッギョルド[カナ 3]; スケッゴルド |
「斧の時代」[意 42][意 9] |
『グリームニルの言葉』, 『名の諳誦(増補版)』 |
Skǫgul, Skögul, Scögul[S 47]; Skǫgull[S 48] |
スコグル[カナ 17], スケグル[カナ 4][カナ 3]; スコグッル |
「戦」[意 43]。/ 「揺さぶる者」[意 9]、あるいは「高く聳え立つ」かもしれない[意 44] |
『巫女の予言』, 『グリームニルの言葉』, 『名の諳誦』, 『ハーコンの言葉』 |
Skuld[S 49], Sculd[S 50] |
スクルド[カナ 4] |
「税、債務、義務」[意 45]。/ 「負債」か「未来」かもしれない[意 46] |
『巫女の予言』, 『ギュルヴィたぶらかし』, 『名の諳誦』 |
Sváfa, Sváva[S 51], Svafa[S 8] |
スヴァーヴァ[カナ 18] |
「人々を眠らせる者、殺す者」?[意 47] |
『ヒョルヴァルズルの息子ヘルギの歌』 |
Sveið[S 51], Sveid[S 8] |
スヴェイズ |
語義不明; 「振動」あるいは「騒音」かもしれない[意 47] |
『名の諳誦(増補版)』 |
Svipul[S 52]; Svipull[S 8] |
スヴィプル[カナ 6], スヴィポル[カナ 7]; スヴィプッル |
「気紛れな」[意 48] |
『名の諳誦(増補版)』, 『槍の歌』 |
Tanngníðr, Tanngniðr[S 8], Tanngnidr[S 53] |
タングニズル |
「歯ぎしりする者」[意 49] |
『名の諳誦(増補版)』。写本 AM 748 I b 4to での形。一般には randgríðr 「ランドグリーズル」と校訂される[7]。 |
Þǫgn[S 54], Þögn |
ソグン |
「沈黙」[意 50] |
『名の諳誦(増補版)』 |
Þrima[S 55] |
スリマ |
「戦闘」[意 51] |
『名の諳誦(増補版)』 |
Þrúðr[S 56][S 57] |
スルーズル, スルーズ[カナ 3] |
「強きもの」[意 52]。/ 「強さ」[意 53]、あるいは「力」[意 54] |
『グリームニルの言葉』, 『名の諳誦(増補版)』 |