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ルーン文字

ゲルマン人がゲルマン諸語の表記に用いたアルファベット ウィキペディアから

ルーン文字
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ルーン文字(ルーンもじ)は、ゲルマン人ゲルマン諸語の表記に用いた古い文字体系であり、音素文字の一種。成立時期は不明であるが、確認されている最初期のルーン銘文は1世紀頃のものである。ラテン文字に取って代わられて使用されなくなったが、スカンディナヴィアでは中世後期まで用いられた。一部の地域ではルーンの知識は初期近代まで民間に残存していた[1]

概要 ルーン文字, 類型: ...
概要 ゲルマン共通ルーン文字, 第1類 ...
さらに見る 音素文字の歴史 ...

「ルーン(rune)」という名称の語源としては、「秘密」を意味するゴート語runa が挙げられる(cf. 古英語: rūn, 古ノルド語: rún)。

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解説

ルーン文字は「呪術や儀式に用いられた神秘的な文字」と紹介されることもあるが、実際には日常の目的で使われており、ルーン文字で記された書簡や荷札なども多数残されている。呪術にも用いられていたが、それが盛んに行われるようになったのは、むしろラテン文字が普及しルーン文字が古めかしくいかにも神秘的に感じられるようになった時代に入ってからである。

1世紀頃に、ギリシア文字やラテン文字、北イタリア文字などを参考に、ゲルマン語の発音体系に合うよう改変して成立したものと推測されている。ルーン文字の起源説としては、学者の間では北イタリア説が最も有力である[2]。世界最古のルーン文字は、北ドイツで出土した1世紀の遺物のブローチに彫られたものであるといわれている。その他にはブラクテアートと呼ばれる薄い黄金製の円盤にルーン文字を刻んだものが多数発見され、護符を兼ねた装飾品として扱われていた。

個々の文字をルーンと呼び、ルーン文字のアルファベットを、初めの6つのルーンから「フサルク」 (fuþark) と呼ぶ。このうち、第3ルーン (þ) はソーン (þorn, þotn) と呼ばれ、現代でもアイスランド語で使われている。

本来、木片などにナイフで刻みつけて表記していた。そのため、木目と紛れて読みにくくなりがちな横線が避けられ、縦の長い線と斜めの短い線とを組み合わせた字形になっている[3]

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ゲルマン共通ルーン文字

要約
視点

以下に、まずゲルマン共通ルーンの字形を画像で示す。 次に、それぞれの文字の一般に行われているラテン文字への転写、推定されている名称と意味[要出典]、推定されている字形の由来を示す。

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さらに見る ラテン文字転写, 名称(意味) ...

この字形はあくまでも一例である。実際の文字では、上記のものが裏返しになっていたり、 上下逆になっていたりしたものもある。

名称は、ゲルマン共通基語の再建形。実際にどこかに記録されていたものではなく、 あくまでも比較言語学上で推定されたものなので、史実とは異なる可能性もある。 発音も同様なので、あくまでも近似値と理解されたい。

8世紀頃までゲルマン語圏全域で使用された。

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北欧ルーン文字

8世紀頃より北欧を中心に使用され始めたルーン文字。

文字数がゲルマン人共通ルーンの24文字から16文字に減少した。一方で、この時期の古ノルド語は音韻変化により音の数が大幅に増えたため、一つの文字でいくつもの音を表すことになった。

綴り方の特徴としてはほかに、重子音や同種の子音に続く鼻音が省略されることが挙げられる。例えば「王」を意味するkonungrは、oの代わりにuを、gの代わりにkを用い、gの前のnを省略して、kunukr、またはkunukRのように綴られた。同様に「王侯、君主」を意味するdróttinnは、trutinのように綴られた。

以下にまず、表によって各文字のラテン文字転写、名称と意味、表し得る発音を示す。

さらに見る ラテン文字転写, 名称(意味) ...

字体はいくつかあるが、特に長枝ルーンと短枝ルーンが広く用いられた。

長枝ルーン

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デンマーク形ルーンともいわれるが、実際にはそれ以外の場所でも用いられた。ルーン文字の楷書体といえる。

短枝ルーン

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スウェーデンノルウェー形ルーンとも呼ばれるが、それ以外の場所でも用いられた。 長枝ルーンの画数を省略したもので、ルーン文字の行書体といえる。

ヘルシンゲルーン

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ルーン文字の草書体といえる。左側にある長い線を省略し、画数を減らしたもの。 10世紀から11世紀頃のスウェーデンで使用された。

アングロサクソンルーン文字

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アングロサクソンルーン文字

5世紀頃から始まりフリースラントイングランドで使用されたもの。9世紀ごろから廃れ始め、11世紀中には使用されなくなった。

ゲルマン共通ルーンをもとにしつつも、a、o、æの文字が区別されるなど、古英語古フリジア語の音をより正確に表記できるように文字が追加されている。

占い

ルーン文字を刻んだ石、木、金属、ガラスなどを使用して占う。占い方法は古来から全てのルーンを投げてから一つ拾うキャスティングという方法があるが、現在では全てのルーンを袋の中に入れ、質問を念じながら手を入れ、一つつかみ出したルーン文字を回答とする方法が一般的である。 その他、昨今は紙に印刷されたルーンカードを使用する場合も多い。

吉田深保子によれば、ルーンが体系的な「占い」として用いられるようになったのは、20世紀後半からのことだという[4]

Unicode

Unicode 3.0 において以下の文字が収録された。

さらに見る A, B ...

画像

脚注

参考文献

関連文献

関連項目

外部リンク

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