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医薬品開発業務受託機関
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医薬品開発業務受託機関(いやくひんかいはつぎょうむじゅたくきかん、英: Contract Research Organization、略称: CRO)は、製薬企業や医療機器メーカー、バイオテクノロジー企業などから契約を受けて、医薬品や治験・臨床開発に関連する研究開発業務を受託・支援する外部機関である。CROは、医薬品や医療機器の承認申請に必要な研究・試験・データ管理・解析等の業務を請け負い、依頼企業の開発効率向上と規制対応を支援する。[1]
概要
CRO は、依頼企業が行うべき研究開発作業のうち、特定の専門業務を外部に委託する形で実施する法人として機能する。一般に製薬企業が単体で内製することが困難な業務を、専門的な知識・システム・人材を有する CRO が代行することで、医薬品開発のスピード向上とコスト削減、品質確保を実現する。[1]
「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成9年厚生省令第28条)第2条ガイダンスにおいて、次のように解説されているとおり、臨床開発(治験)において用いるべきである。
GCP省令第2条解説18(2) 治験の依頼及び管理に係る業務の全部又は一部を治験を依頼しようとする者から受託する者又は治験の実施の準備及び管理に係る業務の全部又は一部を自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関から受託する者は開発業務受託機関( CRO:Contract Research Organization)とも呼ばれる。
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歴史
CRO の登場は、1990年代以降に医薬品開発業務の複雑化と国際化が進んだことを背景とする。米国や欧州で製薬企業が高度な専門性を必要とする業務を外部に委託する動きが強まり、CRO の市場が成長した。日本でも改正薬事法(旧薬事法)の施行と GCP(Good Clinical Practice)の導入を契機に、CRO への業務委託が一般化した。[2]
主な業務
CRO が提供する代表的な業務には以下のものがある:
- 臨床試験の企画支援・治験実施計画書作成支援:治験プロトコール立案や調査表設計など。[3]
- モニタリング:治験実施施設への定期訪問や進行状況の確認。[4]
- データマネジメント:症例報告書のデータ入力、チェック・修正、集計。[4]
- 統計解析:生物統計学的手法による治験結果分析。[4]
- 安全性情報管理(ファーマコビジランス):副作用情報の収集・評価・報告。[3]
- 申請文書作成支援(メディカルライティング):薬事当局提出資料の作成支援。[3]
CRO の業務範囲は広く、臨床試験全体のマネジメントや解析まで包括的な支援を行うこともある。[5]
CROの意義
CRO が果たす役割は単なる「業務委託先」ではなく、依頼企業の開発プロジェクトにおけるパートナーとしての機能を担う点にある。CRO は高度な専門性・規制遵守能力を有し、依頼企業が適法かつ質の高い開発データを整備する上で重要な役割を果たす。[1]
関連関係
CRO は、治験実施の現場支援を担う SMO(治験施設支援機関)、医療機関側支援の CRC(治験コーディネーター)、依頼企業側の臨床評価を担当する CRA(臨床開発モニター) などと連携しつつ、医薬品開発全体のプロセスを支える。
日本および海外の主要な医薬品開発業務受託機関(CRO)
医薬品開発業務受託機関(CRO)は世界各国に存在し、臨床試験支援を中心に研究開発業務を担っている。以下は、日本および海外における代表的なCRO企業の例である。[6][7]
世界の主要なCRO
- IQVIA Holdings Inc.(米国):世界最大規模のCRO。臨床試験支援、データ解析、リアルワールドデータ活用などを提供。
- ICON plc(アイルランド):グローバルに臨床開発支援を展開する大手CRO。
- WuXi AppTec Co., Ltd.(中国):前臨床から臨床、製造支援までを包括的に行う大手受託機関。
- Charles River Laboratories International, Inc.(米国):非臨床試験分野を中心とした世界的CRO。
- Medpace Holdings, Inc.(米国):臨床試験の設計・実施支援に強みを持つ統合型CRO。
- Syneos Health(米国):臨床開発支援と商業化支援を組み合わせたサービスを提供。
- Pharmaron Group(中国):前臨床試験および分析サービスを中心とする受託研究機関。
日本の主要なCRO
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出典
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