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反対車
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『反対車[1]』(はんたいぐるま)は、古典落語の演目。上方落語の『いらち車』(いらちぐるま)を、3代目三升屋小勝が江戸落語に移入した[2]。『いらち車』は人力車が普及した明治時代の作で[3]、桂文屋が作者とされる[4]。
あまり客扱いのよくない人力車夫(車屋)に当たった乗客が苦労する様子を描く。
あらすじ
夜分、所用で上野駅発の終列車に乗ろうという男が、駅までの人力車を探していると、ちょうどいいところに一人の車屋[注釈 1]が通ったのを拾う。しかしこの車屋、人力車は酷くオンボロで、梶棒に提げた長い提灯[注釈 2]は近くの稲荷神社から盗んだもの(車屋本人は「借りてきた」という)、おまけに車屋自身もついさっきまで心臓病で入院しており、医者の制止も聞かずに治療費のために働いているという半死半生。提灯を引きずらないよう梶棒を持ち上げて客を反り返らせたままのろのろ動くばかりで、いつ上野駅に着くのかと聞くと「始発の汽車に間に合うかどうか」。あきれて降りるが車賃だけをムダに取られてしまう。
終列車の時間が迫る中、今度は捻り鉢巻を締めた見るからに速そうな車屋が現れた。男はさっそく捕まえて乗り込む。しかしこの車屋、曲がったことが嫌いだからとどんな障害物があっても直進し、犬の轢き逃げまでやらかす。男はぶつからないように車から何度もジャンプする羽目になる。そんなこんなで着いたはいいが、目的地はとっくに通り過ぎ、いつの間にか仙台まで来てしまった。男が目的地は上野駅だと伝えると無茶苦茶な速さで戻ってはくれたが、当然最終の汽車はもう出てしまっている。男が文句を言うと車屋「大丈夫です、始発には間に合いますから」。
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バリエーション
2人目の車屋の演じ方には、客から行き過ぎだと言われて逆方向に進むと本来の目的地を再び通り過ぎるという形もあり、東大落語会編『落語事典 増補』では、北は三河島で行き過ぎたからと戻った先が大森となっている[1]。柳田理科雄は、「1晩の間に、仙台と長崎までを往復して上野まで帰ってくる」演じ方を取り上げて、かかった時間を5時間と仮定した場合、実行するために車屋が出すべき速度は「時速670 km」とTwitterアカウント(空想科学研究所)にコメントしたことがある[5]。
『いらち車』の場合、宇井無愁が記す内容では、客の行先は梅田のステン所でそこから夜行列車に乗るつもりが、2人目の車屋が行き過ぎて戻った先は明石となっている[3]。また『いらち車』には、着いた先を「身の終わり(美濃・尾張との地口)やがな」とする落ちもある[2]。
脚注
参考文献
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