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多数決型民主主義
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多数決型民主主義(たすうけつがたみんしゅしゅぎ、英:Majoritarian democracy)は、多数決の原則に基づく民主主義の一形態。[1]多数決型民主主義は、可能な限り多くの人々による統治を志向する合意型民主主義と対照的である。[1][2][3][4]
特徴
多数決型民主主義についての支配的定義はアーレンド・レイプハルトによって提示された。レイプハルトによれば、多数決型民主主義はウェストミンスター・モデルと多数決に基づいている。[5]レイプハルトによれば、多数決型民主主義の主要な特徴は次のとおりである。
- 内閣権力の集中:行政府(内閣)は議会で多数を占める単一政党の構成員のみで構成される。
- 立法府に対する行政府の優越。
- 非対称二院制:二院制であっても一方の院が他方より顕著に強い権限を持つ。
- 二大政党制
- 一次元的政党体系:政治的左派・右派のような単一の次元上に二大政党が主に位置づけられる。
- 相対多数制に基づく選挙制度
- 単一かつ集権的な政府
- 不文憲法と議会主権
- 代議制(直接民主制ではない)
多数決型民主主義の構想では、有権者は選挙運動中に提示された政策の実施を選出された政治家に付託する。[6]政治的関与(英語版)の焦点は選挙にあり、選挙と選挙のあいだに人々が政策形成に影響を及ぼす能力は限定的である。[7]
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批判
多数決型民主主義は一般的ではあるが、普遍的に受け入れられているわけではない。多数決型民主主義には、社会の多数が少数派集団を抑圧・排除し得る「多数者の専制」に陥る内在的危険があると批判されており[1]、それは暴力や内戦につながりうる。[2][3]
ファシズムは多数決型民主主義を拒否する。多数決型民主主義は市民の平等を前提にしているが、ファシズムは無秩序な多数ではなく、組織化された動的少数の見解を代表する権威主義的民主主義(英語版)の一形態であると主張するからである。[8]
事例
純粋な多数決型民主主義は、あったとしてもごくわずかである。多くの民主主義国では、少数派の代表を図る一つまたはいくつかの仕組みによって、多数決主義が修正・制限されている。
イギリスは、多数決型制度の古典的な例である。[9]同国のウェストミンスター・システムは多くの他の民主主義国に借用・適応されてきた。イギリスの政治制度にみられる多数決的特徴には、次のようなものがある。
- 通常、単一政党が議会で過半数を形成し、それにより行政府を組織する。
- 行政府が通常、立法府を優越的に支配する。
- 二大政党制
- 単純小選挙区制[10]
ただしイギリスにおいても、権限移譲された各議会(英語版)の導入によって、多数決主義は少なくともある程度は抑制されている。[11]
オーストラリアは概して多数決型民主主義だが、修正多数決主義の典型だとする見解もある。[10]というのも、オーストラリア連邦議会の下院は優先順位投票(英語版)で選出される一方、上院は比例代表制で選出されるからである。比例代表制は、より大きな少数派の代表を可能にする選挙制度である。[12]カナダについても同様の議論がある。(オーストラリアの政治(英語版)およびカナダの政治も参照)[13]
アメリカ合衆国にも、多くの場面での単純小選挙区制など、多数決主義の要素がある。しかし、州ごとの制度の多様性がそれを複雑にしている。加えて、厳格な三権分立と強固な連邦制が多数決主義の作用を緩和する。大統領選挙における選挙人団の役割にその複雑さの一例が見られ、得票数で敗れた候補がなお大統領に選出される場合がありうる。[14]
関連項目
脚注
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