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大韓航空・アシアナ航空の合併

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大韓航空・アシアナ航空の合併
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大韓航空・アシアナ航空の合併は、2020年11月に韓国政府が発表した政策で、国内第1位の規模を誇る大韓航空が、第2位のアシアナ航空を吸収し、合わせて、国内他社への貨物部門や機材の移管が行われた[1]。この合併は、世界中の公正競争当局の承認を獲得し、2024年12月12日に完了した[2]

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合併前の大韓航空 (左) 、 アシアナ航空 (右)の機材。
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合併過渡期の大韓航空のボーイング777-300ER (左) と、アシアナ航空の ボーイング777-200ER (右)。大韓航空機には新塗装が塗装され、アシアナ航空機からは錦湖アシアナグループのロゴが消去されている。

2025年3月11日、大韓航空はアシアナ航空ブランドを2026年末までに段階的に廃止すると発表し、両社は大韓航空ブランドに統一することとなった。ブランド統一に合わせて、リッピンコットがデザインした、41年ぶりの新ロゴと新塗装を発表した。

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背景

2020年11月16日、韓国の国土交通省が、大韓航空によるアシアナ航空の買収案を発表した[3]。同日には、大韓航空の取締役会で買収計画が承認された[4][5]

国営銀行である韓国産業銀行は、合併計画を支援するため、韓進グループに8000億ウォン(6億5573万米ドル)を融資することに合意した[1]

大韓航空は航空連合「スカイチーム」に連合創設時から加盟しており、アシアナ航空は航空連合「スターアライアンス」に加盟している。合併が完了すれば、アシアナ航空がスターアライアンスから脱退し、合併後の新会社はスカイチームに加盟することとなる[6]。また、合併にあわせて、両社が傘下に持つ格安航空会社(エアプサンエアソウルジンエアー)を統合する計画もある[7]

大韓航空のCEOは、アシアナ航空のマイレージ「アシアナ・クラブ」を、大韓航空のマイレージ「スカイパス」に統合する方針を発表した[8][9]

2021年、関連競争当局の承認が獲得できるまで、大韓航空はアシアナ航空との合併を延期すると発表した。そのため、暫定的に両者それぞれのブランドでの運航を継続する[10][11]

2021年6月30日、合併計画が韓国産業銀行で確定承認されたと報道され、合併計画は規制当局の承認を獲得すれば完了となった。[12][13]

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歴史

要約
視点

2020年11月、韓国政府は、当時経営悪化に直面していたアシアナ航空を救うため、大韓航空とアシアナの合併を提案した[1]

合併計画を進めるため、海外を含む主要市場の競争当局からの独占禁止法の承認の獲得を進めた。まず2021年、米国司法省によって計画が審議され[14]、2023年2月には、欧州連合と米国当局の承認なしに合併を進めないことが確認された。当時、韓国政府はEUと米国での承認の可能性は低いと考えていた。[15]

2023年5月、米国司法省が反競争的であるとして合併を阻止する訴訟を提起することを検討していると報じられ[16]、合併の可能性はますます低くなると考えられた[17]

2023年8月、韓国経済新聞は、アメリカとヨーロッパの当局が統合に反対する可能性が高まったため、韓国産業銀行が合併の破綻に備えてプランBを模索していると報じた[18]。2023年9月27日、大韓航空が修正した計画を提出し、競争上の懸念を解消するために、アシアナ航空貨物部門の売却に加え、バルセロナローマパリフランクフルトなど一部のEU空港のスロットを破棄することを提案した[19][20]

2024年2月になっても、米国当局から合併計画の承認を得られていなかった。そのため、さらに計画を修正し、大韓航空が全株式を買収して吸収合併する計画を、大韓航空がアシアナ航空の株式63.88%を取得するという計画に変更した[21]。最終的に、2024年12月に米国司法省から合併承認が下され、買収が完了することとなった[2]。なお、マイレージプログラムの統合計画は、2025年6月から審査を受ける予定だ。

各国の規制当局の承認

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中国

2022年12月26日、中国商務部が大韓航空とアシアナ航空の合併を承認したと発表した。[32]

欧州連合(EU)

2023年3月17日、合併により競争が制限されるという結論を下し、計画承認を行わなかった[33]。具体的には、欧州委員会は、韓国とフランス、ドイツ、イタリア、スペイン間の旅客路線における競争の減少と、ヨーロッパ全体と韓国間の航空貨物の競争の減少を懸念に挙げ[34]、2023年6月に合併に関する調査を一時停止した[34]

2023年10月、バルセロナ、フランクフルト、パリ、ローマ路線を、機材(エアバスA330)、乗務員とともにティーウェイ航空に譲渡する修正策を発表し[35]、さらに、アシアナ航空の貨物部門も売却することも決定した[36][37][38]

2023年11月2日、上記の修正案を欧州委員会に提出し、再審査を要請したが[39]、提出書類に「情報が欠落している」ため、委員会が調査を再開していないと報じられた[34]

2024年1月、ロイター通信が、欧州委員会が、修正された合併案を承認する見込みであると報じた。2024年2月、アシアナ航空貨物部門の売却先を決定すること[40]ティーウェイ航空がバルセロナ、フランクフルト、パリ、ローマ路線を開設することを支援することを条件として、条件付き承認を獲得した[41]

日本

2023年11月、合併後の新会社が、日韓路線シェアの70%近くを占めることを理由に、合併計画に反対する方針を固めた[42]

最終的に、2024年1月31日に合併を承認した[25]。なお、承認にあたって、新会社は、ソウル/仁川発着の福岡名古屋関西札幌路線、釜山発着の関西、札幌、福岡路線の合計7路線のスロットを競合他社に譲渡することに合意した[43]

韓国(自国)

2022年2月22日に合併を承認し、合わせて、新会社が一部の空港スロットを放棄することが義務付けられた[44][45][46] 。また、合併により国際26路線と国内14路線を独占すると評価したが、以下の条件で10年間の条件付き許可を与えることにより、是正措置を海外当局に委ねた[47][48][49]

  • 国内線、国際線のスロットと輸送権を10年間譲渡する。
  • 航空運賃の価格制限、供給削減の禁止。
  • サービス品質の維持
  • 6ヶ月以内にマイレージシステム統合に関する計画を提出する。

イギリス

独占懸念を理由に、2022年11月に合併の検討を延期した[50]。修正案として、ロンドン/ヒースロー-ソウル/仁川線の週7便運航枠を、ヴァージン・アトランティック航空に譲渡することを提案した[51]

2023年3月1日に合併を正式に承認した[28][29]

アメリカ

2023年5月、米国司法省(DOJ)が反競争的として合併を阻止する訴訟の提起を検討していると報じられた[16][52]

合併の承認を得るため、一部路線をエアプレミアに移管することを提案したが、この修正案も拒否された[53][49]

2024年12月、アシアナ航空の株式63.88%のみを取得する計画に変更したことを受け、米国司法省(DOJ)は合併を最終承認した[54]

その他の国

以下に挙げる国は承認獲得が必須ではないが、承認を獲得している。

2021年6月に最速でフィリピンが承認し、その後、シンガポールマレーシアトルコベトナム台湾タイオーストラリアも正式に合併を承認した.[55][56][57][58][59][60]

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合併に対する世間の反応

2023年10月、アシアナ航空の労働組合は、合併によりアシアナ航空が解体されることを懸念し、合併が「国家の利益や国民の便宜に合わない」と主張し、合併に抗議した[61]

米国では、合併を「デルタ航空大韓航空の提携強化」と表現したアナリストがいた。事実、デルタ航空は大韓航空の親会社である韓進グループの最大株主である[62]

脚注

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