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太平洋ひとりぼっち

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太平洋ひとりぼっち』(たいへいようひとりぼっち)は、海洋冒険家堀江謙一1962年に出版した手記および、それを原作とする1963年公開の日本映画

書籍

1962年、堀江謙一は約3か月かけて小型ヨット「MERMAID(マーメイド)」で太平洋単独無寄港横断に成功した。本作はこの航海中の出来事などをまとめた手記である。1962年に文藝春秋新社(現・文藝春秋)から「ポケット文春」の1作として出版されベストセラーとなった。その他の再刊・新版等は以下。

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映画

要約
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概要 太平洋ひとりぼっち, 監督 ...

映画版『太平洋ひとりぼっち』(たいへいようひとりぼっち)は、1963年10月27日に公開された日本映画カラー、シネマスコープ(2.35:1)。監督:市川崑、主演:石原裕次郎(この組み合わせは本作が唯一である)。石原プロモーションによる映画製作第1回作品。映倫番号:13272

原作出版の翌年に製作・公開された。石原扮する「堀江をモデルとした青年」が兵庫県西宮を出港しサンフランシスコに向かう航海の中で、出発までの出来事を回想しつつ、孤独との戦いや、飲料水の枯渇・台風・無風による立ち往生などのアクシデントを乗り越えて、無事サンフランシスコに到着するまでが描かれる。米国版のタイトルはMy Enemy, the Sea[4] または Alone on the Pacific[3][注 1]

製作

市川崑は、本作の企画者でもある主演の石原裕次郎から監督を打診され、引き受けた[5]

ロケーション撮影は、静岡県下田アメリカ合衆国ハワイおよびサンフランシスコ[1]で行われた。撮影スケジュールを短縮するため、撮影用の小型ヨットを2艘造り、1艘を先にサンフランシスコへ船便で送って、日本国内での撮影パート終了後にスタッフが航空機で渡米して米国ロケをするという進行態勢が組まれた[5]。サンフランシスコ・ゴールデンゲートブリッジでの俯瞰撮影は、事前に許可を取ったカメラマンが橋桁の頂上に登って撮影している[5]

史実同様に撮影用の小型ヨットにエンジンを取り付けずに撮影した。このために風に負けてズレ動くといった撮影トラブルが絶えず、無風状態を撮影するためにスタッフ5、6人で重石のついたロープを舳先に取り付けるなどの対応を取った。上述のゴールデンゲートブリッジでのロケでは、偶然風が吹いたため、市川は望むとおりの撮影が出来たと回想している[5]

特殊撮影は当時設立間もない円谷特技プロダクションが担当した。本作は同社が初めて本格的に特撮を手掛けた作品である[6][7][8]。同プロダクション社長の円谷英二は、本作品のためかつての弟子であった川上景司高野宏一を他社から呼び寄せた[8]

本作は、国内上映版と、ニューヨーク映画祭用に再編集された海外版の2種類が存在し、いずれも市川自身が手を加えて編集している。ただ、海外版のオープニングタイトルについては関与していない。上映時間は海外版の方が長い。海外版を製作する際、国内版のネガを使って再編集をした結果、国内版のネガが存在しない。公開終了後は海外版が広く出回っていたが、1992年にマスターポジを日活が保管していたことが判明し、発掘された国内版としてLDで復元された[9]

興行

封切り時の同時上映作品は以下のとおり。

キャスト

順は本作冒頭のタイトルバックに、役名の一部は日活公式サイト[1]に基づく。

  • 青年:石原裕次郎
  • 青年の妹:浅丘ルリ子
  • 造船所の主人:大坂志郎
  • 男(青年の先輩)A:ハナ肇
  • 造船所の船大工:芦屋雁之助
  • 渡航課の職員:草薙幸二郎
  • 役名不明:平田大三郎花村彰則
  • 男(青年の先輩)B:神山勝
  • ヘリコプターのパイロットA:上野山功一
  • 役名不明:宮原徳平高野誠二郎山口吉弘、Richard D. Kilburn、Mathew Dugan、Melvin H. Gilley、Beaman Gordon、Glenn T. Stenerdden、Rubem Reynolds、James P. Marsh
  • 青年の母:田中絹代
  • 青年の父:森雅之

スタッフ

順(監督を除く)および職掌は本作冒頭のタイトルバックに基づく。クレジットのない主要スタッフは別資料で補う。

評価

市川自身は上記の撮影トラブルなどを受け、本作を「失敗作」と評している。「脚本や原作のテーマを充分に生かせなかった」「自然に負けっぱなしに負けてしまった」と述懐している[5]

1964年第17回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され[10]、前年度の第21回ゴールデングローブ賞では外国映画賞にノミネートされた[11]

受賞

石原裕次郎主演作品では初のキネマ旬報ベストテン入賞作となり、単独主演ではその後も含めて唯一となった。

外部リンク(映画)

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脚注

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