兵庫県
日本の都道府県 ウィキペディアから
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兵庫県(ひょうごけん)は、日本の近畿地方に位置する県。県庁所在地は神戸市。
ひょうごけん 兵庫県 | |||||
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国 | 日本 | ||||
地方 | 近畿地方 | ||||
団体コード | 28000-3 | ||||
ISO 3166-2:JP | JP-28 | ||||
面積 |
8,400.82km2 | ||||
総人口 |
5,333,911人[編集] (推計人口、2024年12月1日) | ||||
人口密度 | 635人/km2 | ||||
隣接都道府県 |
京都府 大阪府 鳥取県 岡山県 和歌山県[注釈 1] 香川県[注釈 1] 徳島県[注釈 1] | ||||
県の木 | クスノキ | ||||
県の花 | ノジギク | ||||
県の鳥 | コウノトリ | ||||
県の歌 マスコットキャラクター |
兵庫県民歌(1947年制定)[注釈 2] はばタン | ||||
兵庫県庁 | |||||
知事 | 斎藤元彦 | ||||
法人番号 | 8000020280003 | ||||
所在地 |
〒650-8567 兵庫県神戸市中央区下山手通五丁目10番1号 北緯34度41分29秒 東経135度10分59秒 | ||||
外部リンク | 公式ウェブサイト | ||||
ウィキポータル | 日本の都道府県/兵庫県 | ||||
ウィキプロジェクト |
人口は約540万人で全国7位(近畿地方では大阪府に次いで2位)。南北に長い県域を持ち、近畿地方の府県で最大の面積を持つ。北は日本海、南は瀬戸内海の2つの海に接している県である。本州で2つの海に接している県は、両端である青森県と山口県と兵庫県のみである。本州を青森県から山口県まで陸路で縦断しようとすると、必ず本県を通ることになる。
ほぼ中央を日本標準時子午線(東経135度)が南北に通過し、明石市にはこれに因む明石市立天文科学館がある。県中央部には中国山地が東西に横たわり、交通の難所ともなっている。
南部の瀬戸内海沿岸は阪神工業地帯や播磨臨海工業地帯といった日本有数の重化学工業の集積地となっており、近畿圏最多の工場立地数となっている。一方で、中部から日本海の面する北部にかけては農林水産業が主な産業であり、山間部の過疎地や豪雪地帯も抱える。これら過密と過疎を平均した県単位の産業活動指数は全国平均であることから、日本の縮図といわれることがある[2]。また、南東部の阪神間は、大阪市のベッドタウンとしての性格があり、大阪に通勤通学する住民の割合が比較的高い(「兵庫府民」も参照)。神戸市(国内の大都市人口7位)と阪神地方で県人口の約6割を占め、大阪に近い県南東部に人口が偏重している。そのため、阪神間には複数の幹線道路や鉄道路線が並行している。阪神間は大阪都市圏の一部であるとともに、神戸市自体も神戸都市圏を形成しており、両都市圏やその周辺の地域などを包括して阪神都市圏と呼ばれている。また、これらの地域はより広域な京阪神大都市圏(近畿大都市圏)に含まれている。なお、兵庫県の人口は国内7位、人口密度は国内9位である。
令制国(旧国)の摂津国西部、丹波国南西部および但馬国、播磨国、淡路国のそれぞれ全域で県域の大半が構成されるが、岡山県からの越境編入が2回あったため、僅かながら美作国東部、備前国南東部も含んでいる[注釈 3]。北海道(11国)に次ぐ7国にまたがり、その7国が五畿八道の畿内(摂津国)、山陰道(丹波国・但馬国)、山陽道(播磨国・美作国・備前国)、南海道(淡路国)に分かれるため、全国最多の4地方にまたがる当県は、古来の行政区分・地方区分をほとんど無視する形で成立している。現在の地方区分でも、鳥取県境より西に位置する西播磨地域の西部は、地図帳などにおいて近畿地方のページには収まりきれず、中国地方のページに掲載されている場合がある。
外貨獲得を急務とした明治政府は、但馬の生糸の輸出に日米友好通商条約により開港した神戸港(旧摂津国、神戸市中央区)を活用するため、大久保利通の指示の下、櫻井努が策定した案を基に1876年(明治9年)、第三次兵庫県の区域を確定した。神戸を発展させるための財源として、豊かな農業国であった播磨・但馬などからの税収を充てたのである。
江戸時代に置かれた藩は摂津国に尼崎藩・三田藩、丹波国に篠山藩・柏原藩、但馬国に出石藩・豊岡藩があり、播磨国に姫路藩・林田藩・明石藩・龍野藩・赤穂藩・三日月藩・小野藩・三草藩・安志藩・山崎藩が、淡路国に阿波藩(阿波徳島藩)の洲本城代の稲田家、旗本(交代寄合)の山名家の村岡陣屋、交代寄合の池田家の福本陣屋が存在した。
上記のように多様性を内包した当県は、かつて東ヨーロッパに存在したユーゴスラビア社会主義連邦共和国になぞらえて「ヒョーゴスラビア」と呼ばれることがあり[注釈 4]、県もこれに乗る形で2018年から「U5H=United 5koku of HYOGO(兵庫五国連邦)」というプロモーションを行っている[3] [4][5]。
摂津国八部郡の兵庫津(現在の神戸市兵庫区)に初代県庁舎が置かれたことによる。
兵庫津(旧称は大輪田泊)は当時人口2万人を超える港町として栄えていたが、事実上の開港場は兵庫津の北東に近接する同郡神戸村となった。慶応4年9月(1868年10月16日~11月13日)に県庁舎は同郡坂本村へ新築移転しており[6]、兵庫津に置かれた期間は約3~4ヶ月、県設置以前から数えても約8~9ヶ月と1年に満たない。 2代目県庁舎が置かれた坂本村の南部(仲町部)は兵庫の一部とも見なされたが、約4年6~7ヶ月後の1873年(明治6年)5月に県庁舎は神戸町へ移転し[7]、以降この3代目県庁舎とほぼ同じ場所で4代目県庁舎と5代目県庁舎に建て替えられている。
市街としての兵庫津(兵庫)は1879年(明治12年)1月8日に神戸区(神戸市の前身)の一部となり[8]、港湾としての兵庫津(兵庫港)も1892年(明治25年)10月1日に神戸港の一部となって[8]、明治以降急速に発展した「神戸」に飲み込まれる形で一体化したが、県名は「兵庫」のまま続いている。
「兵庫」の由来は、天智天皇の治世に兵の武器庫という意味である「つわものぐら(兵庫)」があったことに由来し、兵庫県旗と県章も兵の字を図案化したものである。
国土地理院地理情報 によると兵庫県の東西南北それぞれの端は以下の位置で、東西の長さは111.13km、南北の長さは168.50kmである。
重心 北緯35度2分25秒 東経134度49分33秒 | 北端 北緯35度40分29秒 東経134度45分53秒 ↑ | |
西端 北緯34度51分7秒 東経134度15分9秒← | 中心点 北緯34度54分55秒 東経134度51分38秒 | 東端 →北緯34度55分32秒 東経135度28分7秒 |
↓ 南端 北緯34度9分21秒 東経134度48分59秒 |
大阪湾に面した南部は平野部だが、中部・北部の大半は山地・丘陵地帯となっている。人口は南部に集中している。
ため池の数が日本一多い[9]。 県内では、淡路市の13,301か所が最も多く、洲本市の7,014か所、神戸市の6,305ヶ所と続く。淡路島全体で県の約半分を占める[10]。一方近年、県の調査により全体の3割近い約1万ヶ所が実際には存在していないことが判明している[11]。ただそれを勘案しても、ため池の数は相変わらず全国1位である。
北部は日本海側気候、南部は瀬戸内海式気候で、北部の自治体は豪雪地帯に指定されている。
夏季は全般に高温である。北部や内陸部を中心にフェーン現象による猛暑日が発生することがしばしばあり、また、南部では神戸から阪神間の沿岸部を中心に熱帯夜になることが多くなる。
冬季は瀬戸内海沿岸部では温暖であるが、その他の内陸部や北部の1月平均気温は3℃台以下で冬日も多く比較的寒い。三田市など、同標高で比較しても北関東などの東日本より低温となるところもある。 北部の日本海側気候の地域では北西の季節風の影響で降水日数ならびに降雪量が多くなる。日本海寒帯気団収束帯の影響を受けると半日から数日の短時間で積雪が急増し、豊岡市街地や香住などの平野部でも50cmから1m前後のドカ雪となることもある。播磨北部の内陸部でも、南部の沿岸部・平野部と比較すると降水日数がやや多くなり、日本海から活発な雪雲が南下してきた場合は20cm前後の大雪となることもある。瀬戸内海沿岸部でも播磨南部を中心に小雨や小雪、みぞれが降る日もあるが、積雪は多くとも一冬に1〜2回・5~10cm程度である。特に神戸から阪神間での積雪は極めて少なくなっている。
平年値 (月単位) |
但馬 | 北播・丹波 | |||||||
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北部 | 南部 | ||||||||
香美町 香住 |
豊岡 | 朝来市 | 養父市 大屋 |
丹波市 柏原 |
西脇 | 丹波篠山市 後川 | |||
和田山 | 生野 | ||||||||
平均 気温 (°C) |
最暖月 | 25.9(8月) | 26.3(8月) | 25.7(8月) | 25.1(8月) | 26.2(8月) | 26.5(8月) | ||
最寒月 | 4.2(2月) | 2.9(2月) | 2.2(2月) | 1.8(1月) | 2.8(1月) | 3.2(1月) | |||
降水量 (mm) |
最多月 | 255.6(1月) | 241.3(9月) | 206.6(9月) | 270.5(9月) | 228.6(9月) | 217.2(9月) | 201.0(6月) | 227.7(6月) |
最少月 | 104.1(4月) | 105.4(4月) | 81.5(12月) | 67.1(12月) | 89.0(12月) | 43.9(12月) | 37.5(12月) | 52.2(12月) | |
降水 日数 (日) |
最多月 | 22.4(1月) | 20.8(1月) | 16.7(1月) | 14.1(3月) | 17.0(1月) | 12.7(6月) | 12.0(6月) | 13.3(6月) |
最少月 | 9.1(8月) | 9.3(8月) | 9.5(8月) | 9.4(11月) | 9.5(8月) | 7.8(11月) | 6.0(1月) | 8.4(11月) |
平年値 (月単位) |
播磨 | |||||||
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北西部 | 南西部 | 南東部 | ||||||
宍粟市 一宮 |
福崎 | 上郡 | 姫路市 | 三木 | 明石 | |||
東今宿 | 家島 | |||||||
平均 気温 (°C) |
最暖月 | 25.4(8月) | 26.7(8月) | 26.4(8月) | 27.1(8月) | 26.5(8月) | 26.4(8月) | 27.6(8月) |
最寒月 | 2.3(1月) | 3.3(1月) | 2.9(1月) | 4.0(1月) | 4.8(2月) | 3.5(1月) | 5.1(2月) | |
降水量 (mm) |
最多月 | 272.8(7月) | 207.0(6月) | 179.1(7月) | 179.1(9月) | 157.4(6月) | 179.7(6月) | 148.2(6月) |
最少月 | 54.9(12月) | 35.8(12月) | 30.0(12月) | 34.5(12月) | 26.5(12月) | 32.4(12月) | 36.1(1月) | |
降水 日数 (日) |
最多月 | 13.4(6月) | 12.1(6月) | 12.0(6月) | 11.3(6月) | 11.2(6月) | 11.8(6月) | 11.2(6月) |
最少月 | 7.5(11月) | 5.6(12月) | 4.7(12月) | 4.5(1,12月) | 4.4(12月) | 4.9(12月) | 5.3(1,12月) |
(出典:気象庁・気象統計情報)
県内には29市と12町がある。なお、町の読み方は全て「ちょう」である。また、村は1962年に消滅している[13]。
以下は、県が地域ごとに設置している総合出先機関である7の「県民局」と3の「県民センター[14]」ごとに記述している。「県民局」と「県民センター」の違いは、管内に政令市・中核市を擁し県から多くの業務が移譲されている地域は「県民センター」として「県民局」よりも組織がスリム化されている。なお、推計人口は2024年12月1日現在[15] の統計である。
神戸県民センター管内には、以下の1市(9区)が属しており、管内の推計人口は1,492,017人で、兵庫県の大動脈である。
阪神南県民センター管内には、以下の3市が属しており、管内の推計人口は1,029,167人である。
阪神北県民局管内には、以下の4市と1町が属しており、管内の推計人口は697,023人である。
東播磨県民局管内には、以下の3市と2町が属しており、推計人口は709,274人である。
北播磨県民局管内には、以下の5市と1町が属しており、推計人口は252,470人である。
中播磨県民センター管内には、以下の1市と3町が属しており、推計人口は558,006人である。
西播磨県民局管内には、以下の4市と3町が属しており、推計人口は232,517人である。
丹波県民局管内には、以下の2市が属しており、推計人口は96,072人である。
但馬県民局管内には、以下の3市と2町が属しており、推計人口は146,514人である。
淡路県民局管内には、以下の3市が属しており、推計人口は120,851人である。
兵庫県と全国の年齢別人口分布(2005年) | 兵庫県の年齢・男女別人口分布(2005年) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
■紫色 ― 兵庫県
■緑色 ― 日本全国 | ■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
兵庫県(に相当する地域)の人口の推移
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総務省統計局 国勢調査より |
現在、技術上の問題で一時的にグラフが表示されなくなっています。 |
2024年現在約534万人となっており1987年(昭和62年)の人口とほぼ同じ水準である。兵庫県の人口変遷を見ると、1953年に350万人、1961年に400万人,1968年に450万人、1975年に500万人突破と戦後から高度経済成長期までは7年毎に50万人ずつ人口が増えていった。1974年のオイルショックが工業中心の阪神地域に与えた影響は大きく産業の転換を余儀なくされ経済の冷え込みにより人口は伸び悩んだ。550万人到達したのは1999年と500万人超えからは24年間を要した。県人口は2009年の560万人をピークに減少している。近年は首都圏への流失に留まらず、人口移動の大きい対大阪府に対しても転出超過が続いており人口減少は加速している。
実施年 | 人口(人) | 増減人口(人) | 人口増減率(%) | 国内増減率(%) | 増加率全国順位 |
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1960年 | 3,906,487 | - | - | - | - |
1965年 | 4,309,944 | 403,457 | 10.33 | 5.20 | 7位 |
1970年 | 4,667,928 | 357,984 | 8.31 | 5.54 | 7位 |
1975年 | 4,992,140 | 324,212 | 6.95 | 7.92 | 15位 |
1980年 | 5,144,892 | 152,752 | 3.06 | 4.57 | 31位 |
1985年 | 5,278,050 | 133,158 | 2.59 | 3.40 | 21位 |
1990年 | 5,405,040 | 126,990 | 2.41 | 2.12 | 14位 |
1995年 | 5,401,877 | 3,163 | 0.06 | 1.58 | 35位 |
2000年 | 5,550,574 | 148,697 | 2.75 | 1.08 | 3位 |
2005年 | 5,590,601 | 40,027 | 0.72 | 0.66 | 8位 |
2010年 | 5,588,133 | 2,468 | 0.04 | 0.23 | 10位 |
2015年 | 5,534,800 | 53,333 | 0.95 | 0.75 | 12位 |
2020年 | 5,465,002 | 69,798 | 1.26 | 0.75 | 11位 |
兵庫県が発表した2020年国勢調査結果の速報値によると、2020年10月1日時点の兵庫県の人口は、546万9184人であった。
第2次府県統合により、摂津国の西部(八部郡・菟原郡・武庫郡・川辺郡・有馬郡)、丹波国の南西部(多紀郡・氷上郡)、但馬国の全域、播磨国の全域、淡路国の全域で構成されるようになった。同時に、畿内(摂津国)、山陰道(丹波国・但馬国)、山陽道(播磨国)、南海道(淡路国)と4つの地方にまたがることにもなった。
その後、岡山県からの越境編入が2回あった。1896年(明治29年)に岡山県吉野郡石井村が兵庫県佐用郡へ転属、吉野郡讃甘村大字中山が佐用郡江川村へ編入となり、美作国の一部を含むようになった。1963年(昭和38年)には岡山県和気郡日生町大字福浦(北部の寺山を除く)が兵庫県赤穂市へ編入となり、備前国の一部を含むようになった。