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支出関数

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支出関数
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支出関数(ししゅつかんすう、: Expenditure function)とは、ミクロ経済学において、与えられた効用関数と財の価格に基づいて所定の効用水準を達成するために必要な最小支出額を返す関数のこと。

形式的には、n 財に対する選好を記述する効用関数 が存在するとき、支出関数 は次のように定義される。

ここで、 は価格ベクトル、 は望ましい効用水準、 は少なくとも効用 を達成する消費束の集合である。

言い換えると、個人は効用制約 のもとで支出 を最小化し、最適消費量 を得る。このとき支出関数は次のように表される。

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性質

効用関数 局所非飽和性をもつ連続関数である場合、 は以下の性質を満たす。

  1. 価格 に関して1次の斉次関数である。すなわち、任意の に対して
  2. および に関して連続関数である。
  3. に関して非減少、かつ のとき に関して厳密に増加する。
  4. に関して凹関数である。
  5. 効用関数が厳密に準凹であれば、シェパードの補題が成り立つ。
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支出関数と間接効用関数

支出関数は、価格を一定にした場合、間接効用関数の逆関数である。すなわち、任意の価格ベクトル と所得水準 に対して:[1]:106

支出関数と効用関数の間には双対関係がある。特定の正則な準凹効用関数が与えられると、対応する支出関数は価格に関して斉次で、効用に関して単調増加となる。逆に、これらの性質を満たす支出関数からは正則な準凹効用関数を導出できる。

支出関数は消費者行動を研究する上で重要な理論的手法であり、生産理論における費用関数に類似している。効用最大化問題に対する双対は費用最小化問題である[2][3]

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効用関数がコブ=ダグラス型関数 であると仮定する。この場合、需要関数は次のように与えられる[4]

ここで は消費者の所得である。支出関数の1つの求め方は、まず間接効用関数を導出し、それを逆にする方法である。間接効用関数 は次の通り。

ただし である。このとき消費者が最適化すると が成立するので、間接効用関数を逆にして支出関数を得る。

別の方法として、制約条件 のもとで を最小化する問題を直接解く方法がある。この場合、条件付き需要関数 および を導出し、支出関数は次のようになる。

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出典

参考文献

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