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新型コロナウイルス接触確認アプリ

日本の厚生労働省が作成したCOVID-19アプリ ウィキペディアから

新型コロナウイルス接触確認アプリ
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新型コロナウイルス接触確認アプリ[8](しんがたコロナウイルスせっしょくかくにんアプリ、: COVID-19 Contact-Confirming Application[9])は、日本厚生労働省デジタル庁が提供するスマートフォン向けCOVID-19アプリである[10][11]。略称はCOCOA[注釈 1][10]濃厚接触の疑いのある本アプリ利用者間の接触をBluetoothによって検知・記録し、接触者から新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性者が発生したときに、その旨を通知する[12]。アプリの通知を受けた利用者は、自主的な隔離生活や、医療機関への受診を各自で検討できるようになる。

概要 作者, 開発元 ...

2022年11月に新型コロナ感染処理番号の発行の停止、接触確認の表示の停止がされた[13]

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名称、読み

正式名称は、「新型コロナウイルス接触確認アプリ」であり、略称ないし愛称は「COCOA」である[14][15]。COCOAをどう発音するかは公式には定められていないが、新聞などでは「ココア」としていることが多い[16][注釈 2]

経緯

新型コロナウイルスの世界的流行に伴い、更なるパンデミック拡大の予防に貢献するために2020年5月AppleGoogleが新型コロナウイルス感染症の接触通知: Exposure Notification)のAPIを各国公衆衛生当局に提供開始した[17]2020年5月26日に「新型コロナウイルス感染症対策テックチーム」によって、このAPIを利用した接触確認アプリおよび関連システムの仕様書が公開された[18][19]

発注

開発工程管理業務や維持は、パーソルプロセス&テクノロジー随意契約の3億9000万円で受注[20]し、同社から8416万円で日本マイクロソフト(PMO支援、技術支援)、9333万円でFIXER(クラウド監視)、1億9093万円でエムティーアイ(運用、保守開発、カスタマーサポート)の3社に再委託、さらにエムティーアイから3788万円でイー・ガーディアン、405万円でディザイアードに再々委託[21]された。パーソルからの再委託は契約金額の94 %の費用に達しており、厚労省の再委託比率を「原則2分の1未満」とする規定に反していた。濃厚接触通知APIのオープンソース実装には他にCode for Japanの「まもりあいJAPAN」もあった[22]が、オープンソースであるCOVID-19RadarをCOCOAのベースとした[23]。プログラム自体は、日本マイクロソフトの社員をメインとした民間のIT技術者の有志が結成したオープンソースコミュニティー「COVID-19 Radar Japan」が開発し[1][24]、パーソルプロセス&テクノロジーが引き継いで維持・調整を行っている[24]。6月15日、Microsoftが開発すると報道され、マイクロソフトはこの報道を否定した[25]が、実際には複数社員がCOVID-19 Radar JapanとしてCOCOAベースアプリの開発を行い、マイクロソフト自身もCOVID-19 Radar Japanを支援し、また厚労省のアプリ発注先であるパーソルの下請けとして技術支援をしていたことが判明している[20]

なお、パーソルプロセス&テクノロジーは同社社員が「Microsoft MVP アワード」にて「Microsoft MVP アワード Microsoft Azure 部門」を2年連続受賞、FIXERも「マイクロソフトジャパンパートナーオブザイヤー2019」にて「Financial Servicesアワード」最優秀賞を2年連続受賞[26]するなどマイクロソフトと関係が深いパートナー企業である。

開発

要約
視点
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COCOAのインストールを呼びかけるポスター

アプリバージョン1.0.0(初期試行版)は、2020年6月19日の15時頃にGoogle PlayApp Store で配信された[3]。このバージョンでは新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)への連携がされていなかった[27]。また、複数の不具合が報告された。

これらの不具合を修正し、上記システムと連携したバージョン1.1.1(試行版)が2020年6月30日にApp Storeで、2020年7月1日にGoogle Playで公開された。

厚生労働省は、配信開始日(2020年6月19日)から1か月程度は試行版とし、デザイン機能が修正されるとしていた[28]。なおApp Storeではプレビュー版の頒布が禁止されているが、COCOAでは試行版状態でリリースされた[29]

厚生労働省は2020年9月1日、アプリの仕組みについて透明性を確保し安心して利用してもらうため、また、意見を受け付けて接触確認アプリの機能等の改善を図っていくため、ソースコードGitHubに公開した[30]が、実際にはGitHubのレポジトリに寄せられたバグ指摘やその改修提案は全て無視されていたことが判明している[要出典]。開発・運用費用は総額で12.7億円であった[31]

技術スタック

同アプリはマイクロソフト社員が開発し、マイクロソフトが受注・技術支援し、マイクロソフト社員、マイクロソフトパートナー企業社員がコミュニティ支援に多く関わっているため、スマホアプリはマイクロソフトのプロプライエタリクラスプラットフォーム開発環境であるXamarinで開発されており、サーバーサイドのクラウドインフラとしてもMicrosoft AzureのAzure Functions(サーバレスサービス)やAzure CosmosDB(NoSQLデータベース)といったマイクロソフト独自技術を多用している[32]。なお、調達仕様書ではベンダーロックインは禁止されていた[33]。ソースコードは、マイクロソフトが開発し主にマイクロソフト製品で利用されているC#言語で書かれている。開発作業もマイクロソフト子会社のGitHubにて行われている。

COVID-19 Radar Japan

週刊ダイヤモンドの取材で、発起人の廣瀬が自身と5人のコアメンバーで無償ボランティアによるアプリ開発を開始していたことを明らかにし、廣瀬含め4人のコアメンバーが名前を明かして取材に応じた[24]。メンバーは全てマイクロソフト社員かまたはパートナー企業社員であり、日本医師会ORCA管理機構およびマイクロソフトが支援団体となっている[34]。なお、2020年6月、不具合に対するSNSでの激しい批判を受け、コミュニティが破綻し開発から離れたい意向を示した[29]

廣瀬は「(あくまでもCOVID-19 Radar JapanはCOCOA開発とは直接関係がないため)私たち1円も貰ってない[35]」としていたが、一方で「納期[36]」「(COCOAアプリのApp)ストア提出[37]」「(COCOAアプリの)テストフライト[37]」やCOCOAのプッシュ通知画面のテスト画面をツイート[38]などといったCOCOAアプリ開発にそのものに携わっていたかのような発言をしていた。

厚生労働省の管轄になり運営会社に引き継がれてからは、オリジナルのメンバーは開発に関与しなくなったという[39]

  • 廣瀬一海(COVID-19 Radar Japan発起人、自称デプロイ王子[40]として著名、マイクロソフト シニアプロダクトマーケティングマネージャー)
  • 安田クリスチーナ(渉外担当、マイクロソフト アイデンティティ規格アーキテクト[41]
  • 松本典子(デザイン設計担当、Azure MVP[42]
  • 児玉哲彦(デザイン設計担当)
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機能

接触情報の記録

COCOAがインストールされたスマートフォンを携帯している人同士が、Bluetoothを起動したままで1メートル以内に15分間以上近づいた状態が続いた場合、相手のデータ(識別子)が「接触情報」として互いの端末に記録される[3][10]。そのためBluetoothをオンにしていればオフラインでも利用可能である。接触情報は記録時に個人が特定できない状態になるように暗号化され、一旦記録された情報は14日間保存された後に自動消去される[3][10]。なお、電話番号位置情報 (GPS) などの個人情報は、プライバシーへの配慮を理由に使用していない[3][10]

感染者との接触の通知

PCR検査によって新型コロナウイルスへの感染が確認された場合、感染確認後に保健所から発行される「処理番号」を、感染者本人がCOCOAに入力することで、当該感染者との接触があった人に対して通知が届く仕様になっている[3][10]。これについて日本国政府は、感染者に対する処理番号は電子メールなどを通して、感染者本人のみに伝えるようにしているため、感染を偽装するといった悪用はできない仕組みになっていると説明している[3]

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ダウンロード件数の推移

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不具合・トラブル

  • 発行されていない陽性情報でも登録完了表示
    • アプリバージョン1.0.0にて、陽性情報を登録する画面で「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム」から発行されていない処理番号を入れても、「完了しました」と表示される不具合が報告されたため[246]、厚生労働省は処理番号の発行を見合わせていた[247]。なお、処理番号の照合は行われており、発行されていない処理番号を入力しても感染者として登録されず、他の利用者に対して接触の通知が届くこともなかったとされている[246][247]。この不具合はアプリバージョン1.1.1にて修正された[248]
  • 利用開始日が今日の日付になる
    • アプリバージョン1.0.0において、利用開始日が今日の日付で表示されてしまう不具合[249]。アプリバージョン1.1.1にて修正された
  • 陽性者がアプリへの情報登録を行えない
    • 厚生労働省は、「新型コロナウイルス感染症の陽性者がアプリで登録することができない場合があることが確認された」[50]として、2020年7月11日から、情報登録に必要な処理番号の発行を停止していていた[50]。2020年7月13日にiOS版、2020年7月14日にAndroid版の修正版 (1.1.2) が公開され、問題が解消された
  • 通知が自動受信できない
    • Android版にて定期的に再起動しなければ通知を自動的に受信できない不具合。バージョン1.2.3にて修正された。[250]

Android版での通知失敗問題

2020年9月28日(GitHubへのコミットは2020年9月18日)にリリースした1.1.4より、Android版では陽性者との1メートル15分以内の接触があっても通知されていない問題が約4か月間存在していたということを、2021年2月3日に発表した[251][252]。技術的な指摘は2020年11月25日に既にされているほか[253]、インターネットではこの不具合は元々話題になっていた[252]。影響が無いとされたiOS版でも通知が届かないという指摘もある[250]

この件では当時の厚生労働大臣田村憲久が謝罪するという事態になった。また田村もAndorid版を利用していた。背景として実機でのテスト不足、人材不足があったとされる[254]

2月18日に配信されたAndroid版の修正版 (1.2.2) にて修正された[250]

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リリース履歴

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脚注

関連項目

外部リンク

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