Loading AI tools
ウィキペディアから
最大積載量(さいだい せきさいりょう、英: maximum payload [5], etc.)とは、物体をのせる(載せる、乗せる)ことを目的としたもの(機器、動物。人間が動かす物。)が、本来の機能を保ったままで負うことができる限界の重量、すなわち、積載量(搭載量)の上限である。
重量という語には物理量としては、2つの意味(質量の意味と力(荷重)の意味の2つ)があるが、ここでいう重量は「質量(mass)」の意味である(車両総重量#定義)。したがって、その計量単位は、キログラム(kg)またはトン(t)である。
「物体をのせることを目的としたもの」とは、「乗り物」あるいは「ビークル/ヴィークル」と呼ばれるもののこと。「乗り物」は「人が乗って移動するもの」および「人が乗って、あるいは、人を乗せて、その場で動かすもの」であり、「ビークル(英: vehicle)」は「運輸物」、すなわち「(有人と無人の区別なく、)人や物をのせて移動させるもの」を指す。
英語(事実上の国際共通語)では決まった表現というものが無く、様々な呼ばれ方をしている。通例となっている表現がある分野も存在するが、それすら確認できない分野もある。一方で、個々の分野で取り決められている規定に基づき、厳密に使い分けられている例もある。加えて、その機器の種類に応じて呼び方が違っている場合もある。日本語においても同様で、個々の分野ごと、場合によっては機器の種類に応じて、表現は異なる。また、当然ながら、その分野で国際的に通用している共通語に合わせた翻訳語を用いる例も多い。
英語における用例: ( )丸括弧内は用いられている分野や種類、および、日本語における対訳語。
日本語における用例: ( )丸括弧内は用いられている分野や種類。
ここでは、道路を走行する車両における、積載量や最大積載量[10]などについて解説する。
登録車は自動車検査証(車検証)に記載されている。車検証のない小型特殊車や新小型特殊車、原付自転車などは法令で定められている。また、構内専用自動車や台車、荷車は製造メーカーが安全を考慮して定めている。
トラックやバンなどの「貨物自動車」は、「貨物を積載するための面積・空間を有する自動車」であるが、その形状、大きさ、軸配置、車両の構造によって積める荷物の重量に限りがある。おおよそ小型のトラックであれば軽量のものを、当然、大型のトラックであれば重量のあるものを、積むことができる。しかし、「大きな荷物であるから重い」とは限らないので、運転免許制度や貨物車の自動車の区分では「積載量による区分」としている。
道路運送車両法施行(1951年〈昭和26年〉施行)以降現在の日本の場合、自動車の総重量限度は、軸距離によって定められている。車両の型式ごとに許容される車両総重量[注 2]が決まっており、以下のとおりの計算式になる。
55キログラムというのは乗員1名の体重であり[12]、そのように見做して計算するよう、一律に決められている[12]。
現代日本の場合、貨物自動車、または、特種用途自動車で物品を積載する空間を有する車両は、車体後部に最大積載量をキログラム(kg)又はトン(t)単位で表示しなければならない[13]。車検における検査の対象である[13]。そのための表示枠が車体にはある(もしくは、想定されている)。原則として、表示内容は、いつ如何なる時でも正しく読み取れるのであれば、素材や表示方法は何であろうと問題は無く[13]、極端な話、油性マーカーで車体に直接記入してもかまわない[13]。ただ、当然ながら、読めない字や紛らわしい字ではいけない[13]し、雨風で簡単に消えてしまうようなものではいけない。
ステッカーやマグネットシートを使って表示する例もあるが、こういったものは当局から認められているわけではない[13]。しかし実際には、少なくとも2010年代・2020年代においては、そもそも話にならないはずの"取り外し自由な"マグネットシートが[13]、選りに選って「取り外し自由」を売りにした商品として市販されている[注 3]。剥がすことを想定していないステッカーのほうは、より安定した需要があり、なかには書体や色などに凝る人もいて、小さいながらも"最大積載量ステッカーの市場"が形成されている[注 4]。ステッカーやマグネットシートは、日本語圏でありながら、MAXIMUM LOADING CAPACITY 〇〇〇kg などといったファッション性重視の英語バージョンまでも、普通に市販されている[注 1]。日本語表示のステッカーの上に英語表記のマグネットシートを重ねて、普段の表示だけをマグネットシート式にしている例もある[注 1]。
軽自動車(※現在のところ、日本にのみ存在する)の最大積載量は、構造や用途に関わらず 350キログラムが上限とされている。
乗用自動車(乗用車。ワゴン車を含む。)の場合、最大積載量という概念が無い[14][15]。したがって、車検における重量の規定も無い[16][17][11]。日本の車検証の場合、最大積載量の記入欄には「 ‾kg 」とオーバーラインが引かれており、これは空欄が適当であることを表している[16]。
ただ、法の如何に関わらず、負える重さには自ずと上限がある[16]。乗車定員の数が目安であり、最もシンプルな計算式は以下のとおりである。
この場合、1人あたり55キログラムという計算で、定員2名なら3名分の重量、すなわち165キログラムが安全を担保できる上限ということになる[16]。他方、車検証にも記載してある車両総重量と車体重量が目安になるという意見もあり[17]、その場合の計算式は以下のとおりである。
しかし、当然ながらメーカーは設計に十分な余裕を持たせているため、実際にはそれ以上を積んでも機械的な支障がただちに発生するわけではない[16]。そのため、多くのメーカーでは、1人あたり10キログラム、定員5名の車種であれば合計50キログラム程度までの手荷物の上乗せ分を想定している[16][17]。日産自動車もそういったメーカーの一つで、一般的な乗用車の上限として以下の計算式を紹介している[14]。
例えばこの場合、5人乗りの乗用車の最大値は[ (55 x 5) + (10 x 5) = 325 (kg) ]で、その車に2名だけ乗るのであれば[ 325 - (55 x 2) = 215 (kg) ]と計算し、最大215キログラムまでなら手荷物を積み込んでかまわないということになる[14]。
なお、法規制されておらず、上述のような計算式もあるとは言え、物理的制限については十分に考慮すべきである。乗用車はサスペンションのスプリングが柔らかいものが多く、そのため、過積載の悪影響を受けやすいという特徴がある[14]。車体後部が目に見えて沈み込むほどに過積載した状態で走行すると、リヤ・サスペンションを始めとする足回りの破損に繋がるダメージの蓄積を避けることができない[16]。また、走行中にタイヤのバーストなど不測の事態が起こりかねない[16]。加えて、マフラーや排気管など足回り部品が路面に接触して破損する怖れもある[14][11]。さらには、車体後部が沈み込むと前照灯がロービーム(すれ違い用前照灯)の状態のままで事実上のハイビーム(走行用前照灯)の位置になってしまうため、適切な範囲を照らせない、対向車の運転者に照明を当ててしまうなど、特に夜間には危険な走行条件になってしまう。
一方、寸法は厳格に定められている[16]。横幅は車幅いっぱいまでであるが、前後の長さは車両全長の10分の1までなら飛び出ることを許容されている[16]。高さについては、積んだ状態で接地点から最高点までの直線距離3.8メートル(軽自動車は2.5メートル[17])を上限としており[16]、これを超える場合は、出発地の警察署長の許可が必要となる[17]。
ここでは、遊具やアミューズメント施設における、積載量や最大積載量などについて解説する。
ウマは、人類にとって最も古くから用いられてきた乗り物であり、彼らにもおのずと最大積載量がある。特別に頑丈な品種でない通常の品種では、400キログラム前後が上限と考えられている。
古来、日本では駅馬・伝馬の制度が整備され、人が乗ったり荷駄を運ばせたりするための「駄馬(だば、だうま)」が利用されていた。五街道などが整備された江戸時代には、駄馬を利用するに当たって馬の役目ごとに荷駄の重さが"おおよそながら"定められていた。江戸幕府の公用者や大名が使用できる宿駅の駄馬は「本馬(ほんま)」といい、荷駄は40貫目(150キログラム)まで載せることができた[21]。また、「乗掛(のりかけ)」というのは、荷駄を馬の両脇に振り分けてその上に布団を敷いて人1人を乗せる利用法である[21]。この場合、許される荷駄は約20貫目(75キログラム前後)であった[21]。3つ目は「軽尻(からじり、かるじり)」で、宿駅に置かれた旅人専用の駄馬である[21]。軽尻に人を乗せる場合は、手荷物を約5貫目(18.75キログラム)まで載せることができた[21]。人を乗せない場合は20貫目くらいまで荷駄を負わせることが許された[21]。しかし、別の史料では、荷駄のみであれば36貫目(135キログラム)くらいまで載せることができるとある。なお、上限は余裕を持って決められているため、追加料金を支払うことで少しくらいであれば無理を聞いてもらえた[21]とのことである。
なお、競走馬に関わる重さに「負担重量」があるが、これは積載能力の限界うんぬんとは全く関係の無いものである。生き物として個体ごとの差異があるところを、競走の平等を旨に均一化する目的で、筋力に優れて速く走れる個体に課す重りの重さが「負担重量」であり、各個体の力を見極めて予想できる分量の重りを背負わせ、足の遅い別個体との競走で賭けが成立するレベルまで速さを抑え込むという発想に基づいている。
ラクダの場合、自然な状態ではその背中は大量の荷物を載せられるほど丈夫ではない[22]。しかし、身体構造に合わせた専用の鞍が早くから発達した[22]。これにより、1頭当たりの積載量はおよそ200キログラム以上、最大で500キログラムもの荷物を背負わせることができ、1日に30~100キロメートルもの距離を運ばせることができるようになった[22]。
ここでは、特にセクションを設けていないものにおける、積載量や最大積載量[10]などについて解説する。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.