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死美人
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『死美人』(しびじん)は
- フォルチュネ・デュ・ボアゴベイの小説『ルコック氏の晩年』(La Vieillesse de Monsieur Lecoq)の黒岩涙香による翻案小説。
- 江戸川乱歩が現代語に翻訳した長編小説。
概要
フォルチュネ・デュ・ボアゴベイの小説である『ルコック氏の晩年』(La Vieillesse de Monsieur Lecoq)を黒岩涙香が翻案した長編探偵小説。1891年(明治24年)11月から1892年(明治25年)4月まで都新聞に連載された。のちに 江戸川乱歩が現代語に翻訳した(小山書店『黒岩涙香集 日本探偵小説代表作集1』1956年)。
涙香の連載が単行本化された際に、連載の1回分が欠落している。そのため、単行本を底本にした乱歩の現代語訳も該当回が訳されていない。なお、欠落回については伊藤秀雄により指摘され、該当回が判明している[1]。
主人公のルコックはエミール・ガボリオが創出した探偵であるが、ボアゴベイが借用し、晩年期の人物として主人公にしている[2]。原作は巴里が舞台であるため、涙香による翻案および乱歩の現代語翻訳も踏襲して巴里を舞台としているが、人名についてはルコック以外日本人名に置き換えている。ルコックのみ零骨としてルコックとルビが降られている。
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あらすじ
トランク詰めの死美人が発見され、警察本署長、稗田探偵、足立探偵が捜査を開始した。署長は善池零骨に協力を依頼したが、引退していた零骨はもう仕事にのりだす気はなく、代わりに英国出身の探偵鳥羽育介を推薦する。稗田たちは死美人の家をつきとめて乗りこんでみると、そこにはもう一つ男の死体があった。死美人は橋田鞠子、男は柳田伝蔵だと判明する。死美人の死体置き場で擦られた財布から生前の写真が発見され、持ち主で零骨の息子である類二郎が容疑者として警察に逮捕される。零骨は真犯人は外にあると訴えるが、証拠の前には如何ともしがたく類二郎は死刑を宣告され、死刑執行の日を待つばかりとなった。類二郎は何故か口をつぐんでいた。
零骨と稗田の調査から愛蘭出身の伴大佐には莫大な遺産があり、その子孫が照子、珠子、鞠子であることが判明した。零骨の必死の捜査により、真犯人は鳥羽であるという事実が判明した。鳥羽は遺産相続問題を引きうけ、その遺産が自分が確保した伴大佐の子孫以外に三人も相続人がいることを知ったとき、照子、珠子、鞠子の三人の相続人の殺害をはかったのだ。類二郎は死美人鞠子と英国留学中に関係があった。今は照子を心から愛している苦しさに鞠子と手を切ろうと鞠子を訪れたが、鳥羽の罠にかかって殺人の罪を着せられた。鞠子も柳田伝蔵も鳥羽が殺害したのだった。誘拐された照子と珠子は、溺死させられる寸前に稗田の活躍により救出された。類二郎の死刑執行の前日、鳥羽一味を確保に向かうが、隠れ家の水車小屋から出火し鳥羽たちは焼死、唯一生き残った鳥羽の妹の阿部夫人が自白した。事件解決ののち無罪となった類二郎は照子と結婚した。伴大佐の遺産は照子が相続し、半分を助け出された珠子と分け合うことになった。
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主要登場人物
- 善池零骨(よしいけ るこっく)
- 巴里で探偵として活躍していたが、現在は引退。息子の類二郎が殺人罪で有罪になったため、無罪を証明するため奮闘する。
- 稗田守(ひえだ まもる)
- 巴里で探偵をしている。類二郎を逮捕するが、無実を信じる零骨に協力して事件を調査する。
- 署長
- 巴里警察の本署長。零骨とは昔からのなじみで先生と敬う。
- 足立飛蔵(あだち とびぞう)
- 巴里で探偵をしている。陸軍の歩兵上がり。
- 鳥羽育介(とりは いくすけ)
- 英国から来た探偵。事件の調査とは別に、伴大佐の遺産相続の調査を行っている。
- 善池類二郎(よしいけ るいじろう)
- 零骨の息子。死美人の殺人事件で有罪判決を受ける。
- 誉田照子(ほんだ てるこ)
- 類二郎の婚約者。実は母親が伴大佐の子孫のため、犯人一味に誘拐される。
- 倉場倉太郎(くらば くらたろう)
- 鉄道員で、線路の転轍手。犯人の罠にかかり娘の命と引き換えに何百人もの乗客を救う決断をする。
- 倉場珠子(くらば たまこ)
- 倉太郎の幼い娘。病死した母親が伴大佐の子孫のため、犯人一味に何度も狙われる。
- 橋田鞠子(はしだ まりこ)
- 殺害され、トランクに詰められて運ばれていた死美人。
- 柳田伝蔵(やなぎだ でんぞう)
- 橋田鞠子の家で殺害されていた中年紳士。
- 阿部夫人(あべ)
- 英国出身の貴婦人。
収録作品
- 河出書房新社『死美人』(2018年)ISBN 978-4-309-02758-6
映画
『死美人事件』というタイトルで大映制作、配給で1948年に公開された。原作は黒岩涙香としている[3]。また、舞台を日本とし、配役名は涙香版とは異なる。
キャスト
関連項目
- 黒岩涙香の海外の作品からの翻案作品を、江戸川乱歩がさらに翻案。
- 『白髪鬼』(1931年)はマリー・コレリ作『ヴェンデッタ』
- 『幽霊塔』(1937年)はアリス・マリエル・ウィリアムソン作『灰色の女』
- 『鉄仮面』(1938年)はフォルチュネ・デュ・ボアゴベイ作『鉄仮面』
- 黒岩涙香以外の『ルコック氏の晩年』を基にした翻案小説。
脚注
外部リンク
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