無水フタル酸(むすいフタルさん、phthalic anhydride)は、芳香族カルボン酸無水物。フタル酸を硫酸を用いて分子内脱水することで得られる。元々安定な化合物を分子内で脱水することで得られる物質なので、他のカルボン酸無水物と同じように水と反応してもとのフタル酸に変化する。
概要 無水フタル酸, 識別情報 ...
無水フタル酸 |
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2-Benzofuran-1,3-dione [1] |
別称 Isobenzofuran-1,3-dione [1]Phthalic anhydride [1] |
識別情報 |
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バイルシュタイン |
118515 |
ChEBI |
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ChEMBL |
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ChemSpider |
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ECHA InfoCard |
100.001.461 |
EC番号 |
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Gmelin参照 |
27200 |
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RTECS number |
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UNII |
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国連/北米番号 |
2214 |
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InChI=1S/C8H4O3/c9-7-5-3-1-2-4-6(5)8(10)11-7/h1-4H Key: LGRFSURHDFAFJT-UHFFFAOYSA-N
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特性 |
化学式 |
C8H4O3 |
モル質量 |
148.1 g/mol |
外観 |
白色のフレーク状 |
匂い |
特徴的な刺激臭[2] |
密度 |
1.53 g/cm3, solid; 1.20 g/mL, molten[2] |
融点 |
131.6 °C, 405 K, 269 °F |
沸点 |
295 °C, 568 K, 563 °F (昇華) |
水への溶解度 |
0.62 g/100g (20—25 °C); 19.0 g/100g (100 °C); 緩やかに反応 |
蒸気圧 |
0.0015 mmHg (20 °C)[2] |
磁化率 |
−67.31×10−6 cm3/mol |
危険性 |
GHS表示: |
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Danger |
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H302, H315, H317, H318, H334, H335 |
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P261, P264, P270, P271, P272, P280, P285, P301+P312, P302+P352, P304+P340, P304+P341, P305+P351+P338, P310, P312, P321, P330, P332+P313, P333+P313, P342+P311, P362, P363, P403+P233, P405, P501 |
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド) |
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引火点 |
152 °C (306 °F; 425 K) |
爆発限界 |
1.7%–10.5% |
致死量または濃度 (LD, LC) |
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4020 mg/kg (oral, rat) 1520 mg/kg (oral, mouse) 800 mg/kg (oral, cat) 800–1600 mg/kg (oral, rat) 2210 mg/kg (oral, mouse)[3] |
NIOSH(米国の健康曝露限度): |
PEL |
TWA 12 mg/m3 (2 ppm)[2] |
REL |
TWA 6 mg/m3 (1 ppm)[2] |
IDLH |
60 mg/m3[2] |
関連する物質 |
関連物質 |
フタル酸 フタルイミド フタリド |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
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無水フタル酸の2016年度日本国内生産量は158,500t、消費量は11,349tである[4]。
無水フタル酸とフェノールを分子間脱水により結合することでフェノールフタレインが得られる。これは酸塩基指示薬として広く用いられる。また、無水フタル酸と一級アミンを加熱することによりフタルイミドが得られる。これはアミノ基の保護基として用いられ、水酸化ナトリウム水溶液と加熱、あるいはヒドラジンと処理することによって元のアミンを再生する。