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アイバンク

角膜移植のため、あらかじめ角膜提供者を募集・登録し、その死亡とともに眼球をとってこれを保存供給する施設 ウィキペディアから

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アイバンク (Eye bank) とは、角膜移植によってしか視力を回復できない患者のために、死後、眼球を提供することに本人または遺族の同意を得て、移植を待つ患者に斡旋する公的機関のこと。日本でのアイバンクは、厚生労働大臣の許可を受けて運営される「眼球あっせん業」のこと。眼球銀行ともいう。

移植するのは角膜であるが、ドナーが提供するのはあくまで眼球である。

献眼するには

アイバンクに眼球を提供することを献眼と言う。

献眼に事前の登録は必要ないが、アイバンクに献眼登録を行なうと献眼登録証と献眼登録者カードが発行され、これを携帯することで自らが献眼の意思があることを示すことができる。また臓器提供意思表示カードでも同様に意志を示すことができる。しかし献眼は本人の意思表示があったとしても、家族の同意がない場合はできないので、事前に家族と十分話し合う必要がある。また本人の意思表示が無くても家族がその意思を推し量り提供することも可能ではある。

角膜のみを使用するため、“生前は近眼その他だった人でも問題なく、ありがたく受け入れる”とのこと。

提供の流れ

献眼するには死後、最寄りのアイバンクに連絡する。自宅であっても病院であっても担当者が派遣され、献眼の処置を行う。献眼の処置に約1時間かかる。摘出後、義眼をはめてくれるので外見上の変化はない。

提供された眼球の角膜は、疾患の有無や角膜の細胞の異常などが調べられた後、利用施設に連絡され、角膜移植等に利用される。

次のような場合は提供できない。

など

新しい動向

献眼登録と待機者の数の推移

下野新聞の報道によれば、とある県のアイバンクでは、2025年5月末時点で登録者数が26,846人、献眼者は累計951人となっており、新型コロナ禍で低迷していた登録・献眼ともに回復傾向にあるものの、依然として角膜移植を待つ人が全国に約2,000人を超えているという。登録者や献眼者は復調してきているが、供給量が需要に追いついていないという課題が明確になっている[1]

国際調査から見える傾向

「National Survey on Corneal Transplantation in Japan」(2017〜2019年のデータ)によると、日本では角膜移植の適応疾患として角膜浮腫が最も多く、次に繰り返し移植を受けるケースが多いことが示された。手術法では、Descemet Stripping Automated Endothelial Keratoplasty(DSAEK) が最も多く用いられており、角膜穿孔(penetrating keratoplasty, PKP)を用いるケースは減少傾向にある。術後1年での移植片の透明度維持率は約80.5%と報告されている[2]

献眼率の問題・海外角膜の使用

[東京歯科大学市川総合病院]]の角膜センター・アイバンクのウェブサイトには、国内の54のアイバンクが年間で必要とされる角膜数に対して供給が大幅に不足しており、足りない分を補うために 海外のドナー角膜の輸入を行っているとの記載がある[3]

意思表示と登録者の啓発

多くの県で献眼登録の呼びかけや遺族への連絡調整体制の強化が進められているが、一般市民の認知や参加率は地域によって差がある。

将来的な展望

  • 技術的には、細胞生物学的・移植免疫学的進歩により、角膜の保存期間の延長や移植片耐久性の向上が期待されている。
  • また、角膜再生医療の研究も進んでおり、将来的には人工角膜や培養角膜の商用化が見込まれる可能性がある。
  • 社会政策的には、献眼登録制度の更なる簡素化と啓発強化、提供‐待機分配の公平性確保、および国内供給体制の拡充が焦点となる。

参考文献

関連項目

外部リンク

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