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ギリシア語
インド・ヨーロッパ語族ヘレニック語派の言語 ウィキペディアから
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ギリシア語(ギリシアご、希: Ελληνικά[eliniˈka]、または 希: Ελληνική γλώσσα[eliniˈki ˈɣlosa] ( 音声ファイル))は、インド・ヨーロッパ語族ヘレニック語派(ギリシア語派)に属する言語。
単独でヘレニック語派(ギリシア語派)を形成する。
ギリシャ共和国やキプロス共和国、イスタンブールの
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概要
ギリシア語は、インド・ヨーロッパ語族の中で最も古くから記録されている言語であり、その歴史は3400年にわたる[3]。ギリシア文字で記されるようになったのは、ギリシアでは紀元前9世紀、キプロスでは紀元前4世紀以後のことである。それ以前では、紀元前2千年紀半ばには線文字Bが、紀元前1千年紀前半にはキプロス文字が、それぞれ使われていた。
その語彙は学術用語として英語をはじめとする欧米諸言語に多数借用されており、英語の語彙のうちの12%がギリシア語由来であると推定される[2]。ギリシア語はまた、『新約聖書』原典を記すのに用いられた言語でもある。ヘレニズム時代には東地中海世界の通商語として広まり、中世には東ローマ帝国領の大半にあたる広大な地域(中東・北アフリカ・東南ヨーロッパ・アナトリア半島)に波及した。
使用地域
公用語として使用している国
その他に使用されている地域
欧米諸言語への影響
ギリシア語の語彙はヨーロッパの諸言語に広く借用されている。特に英語においては、数学(mathematics)・天文学(astronomy)・民主主義(democracy)・哲学(philosophy)・修辞学(rhetoric)・俳優(thespian)・陸上競技(athletics)・劇場(theater)などのほか、ギリシア語の単語やその要素は新たな造語の元にもなっている。人類学(anthropology)・写真(photography)・異性体(isomer)・生体力学(biomechanics)・映画(cinema)・物理学(physics)などがそれに当たる。また、ラテン語とともに国際的な学術用語の拠り所ともなっている。たとえば -logy(談話)で終わる語はすべてギリシア語由来である。ギリシア単語の多くが英語の派生語を有する一方、ギリシア語に起源を持つと推測される英語の語彙はその内の12%である[2]。
歴史
要約
視点
前近代
ギリシア語は、おおよそ紀元前3千年紀後半にはバルカン半島で話されていた。最も古い痕跡は、クレタ島のクノッソス宮殿内の「2頭立て馬車の粘土板の部屋」にある線文字Bの粘土板(LM IIIA, 紀元前1400年頃)に見出せる。ギリシア語が現在使用されている言語の中で世界最古に記録されたもののひとつとされる所以である。インド・ヨーロッパ語族の中で、記録を確認できる年代がギリシア語に匹敵する言語は、ヴェーダ語とヒッタイト語(死語)のみである。なお母音のいくつかは長短の区別があった。
後年のギリシア文字(線文字Bとの関連はない)はフェニキア文字に由来する。フェニキア文字はアブジャド(単子音文字)であったため多少手が加えられ、これが今日でも使用されている。ギリシア語は慣例的に以下のように区分される。
- ギリシア祖語 (Proto-Greek)
- 確認されているすべてのギリシア語の、想定上の原型。実際の記録には残されていない。ギリシア祖語の話者は、おそらく紀元前2千年紀前半にギリシアへ移住してきた。以来、ギリシアでは絶え間なくギリシア語が話されてきた。
- ミケーネ語
- ミケーネ文明の言語。線文字Bで粘土板に書かれており、紀元前15世紀ないし14世紀にまで遡れる。
- 古代ギリシア語(古代ギリシア語の方言)
- 古代ギリシア語に含まれる様々な方言は、古代ギリシア文明のアルカイック期と古典期の言語に分かれる。古代ギリシア語はローマ帝国中に広く知れ渡っていた。
- コイネー
- 様々な古代ギリシア語方言と、古典期のアッティカ方言(アテナイの方言)の融合体。初の共通ギリシア語方言であり、東地中海と近東全域の通商語となった。コイネーはまず、マケドニア軍とアレクサンドロス大王の征服地にその足跡を辿ることができる。ヘレニズム時代に各地に植民都市が建設されたのちは、エジプトからインド周辺にまで到る地域で話されるようになった。共和政ローマによるギリシア征服後は、ローマ市内ではラテン語とギリシア語のダイグロシア(二言語併存)が定着し、ローマの領域全体でも第一言語または第二言語の地位を獲得した。しかしながら、中世になると西ヨーロッパでは廃れていった。
キリスト教の起源を明かにできるのもコイネーである。使徒の伝道が、ギリシアやギリシア語圏で行われていたからであり、このときに用いられたコイネーは、『新約聖書』原典にも使用されたことから新約聖書ギリシア語と呼ばれるほか、アレクサンドリア方言や後古典ギリシア語としても知られる。 - 中世ギリシア語
- 東ローマ帝国で用いられた、コイネーの後継。とはいえ、すでに多くの点で現代ギリシア語に近づいていた日常の話し言葉から、古典期のアッティカ方言に倣った高度に学問的な文語までが含まれており、その意味するところは多岐にわたっている。「中世ギリシア語」とは、15世紀に帝国が終焉を迎えるまでのギリシア語全体を包括する用語と言える。帝国の公用語となった文語の多くは、文語コイネーの伝統に基づいて生まれた折衷的・中立的なものであった。コンスタンティノープルの陥落に伴ってギリシア人がイタリアに移住すると、ギリシア語は再び他のヨーロッパに紹介された。
- 現代ギリシア語
- 中世ギリシア語から派生しているため、語法の起源は東ローマ帝国時代(早ければ11世紀)に求めることができる。現代ギリシア語は、その名のとおり現代のギリシア人によって話されている言語である。標準語とは別にいくつかの方言が存在し、東ローマ帝国の時代から伝わる民間人の口語(デモティキ)と、公文書や文学・神学書等で用いられてきた古典ギリシア語に近い文語(擬古典語)を元にした「カサレヴサ」の間を揺れ動きながら成立してきた。
現代ギリシア語の成立
まず口語では、ソフィアノスのギリシアの文法書が初出である。しかし18世紀のヴルガリスは、擬古典語を堅持した。ミシオダクスは新しい共通語を基礎にと主張。カタルジスは学者として初めて口語民衆語を支持した。一方、アダマンティス・コライスは、コイネーを規範とし、口語を純化(カサレヴサ化)した古典的ギリシア語に基づく新しい規範的ギリシア語を作ることを最初に訴えた。
1833年にギリシャ王国が成立すると、新国王オソン1世とともに故国に帰った官僚は、コイネーを規範とする古典的カサレヴサを標準とすべきと主張した。一方では、口語に基づいた民衆語をギリシア語にするべきだという文学者ディオニシオス・ソロモスの主張[注釈 2]も存在した。
その後、長くフランスのパリで活躍したプシハリスが、民衆口語が通時言語学的に公用語として適切であり、現代ギリシア語は口語によるべきであることを国際的な学者・作家として初めて言語学的根拠をもって主張した。当時行政言語に主流であったカサレヴサは、通時言語学に反した復古的・人工的なもので、公用語でも文学語においても失当である旨を『わが旅』等で文学作品の中で実践してもいる。
しかしその「口語」は、数ある方言のうち「アテネ方言」のみを指称するもので、当時の方言をまとめるには、かつてのコイネーを基盤とするカサレヴサの方が、ギリシア全体の共通語として(方言をまとめるために)より一般化しやすい言語であった[注釈 3]。方言学者はどちらの陣営にも属さず、地域方言をその地域の「口語」として、教育言語に使用することを折衷案として唱えた。エーゲ海のサモス島やスミルナで女子校の運営にあたったレオンディアス・サッフォーは、学校教育においても方言を推奨し、言語論争に「方言」の重要性を提起した。「カサレヴサ」の長所と、アテネ方言の「デモティキ」との折衷言語よりも「民衆語である方言」の重要性を強調した。
20世紀後半に入ると、首相のエレフテリオス・ヴェニゼロスは新憲法にカサレヴサを公用語にすることを記載した。ただし初等教育については、トリアンダフィリデスの主宰する教育学会が文法書をデモティキで出版し、民衆口語(アテネ方言)化が公的に行われた。やがて、イオアニス・メタクサスの独裁政権の下ではカサレヴサではなくデモティキが正式な国語と制定され、またその後の政変で再度カサレヴサに戻された。1964年、ゲオルギオス・パパンドレウ政府がカサレヴサとデモティキとをともに公用語(併用)とするも、軍政下ではカサレヴサが公用語に再度戻された。1974年7月24日の民主政回復を経て、最終的にコンスタンディノス・カラマンリス政府の下、1976年にデモティキが正式な公用語と定められ今に至る。
しかし、司法用語(たとえば民法)は依然カサレヴサのままで存続している。判例などもカサレヴサで起草・公示されており、大学学位論文、公的公報等でも用いられ続けている。このほか、正教会の奉神礼用語もカサレヴサが正式な権威ある言語として依然と使用され続け、デモティキと並存しているのが現状である。
現代語話者と古典
「教養ある」現代語話者は古典を解することができる。その背景には古典と現代語の類似性だけでなく、教育が機能していることが挙げられる。『新約聖書』原典や七十人訳聖書に書かれたギリシア語であるコイネーは、現代の話者でも比較的理解しやすい。イギリスの歴史家ロバート・ブラウニングが言ったように「現代ギリシア語の話者にとって、紀元前7世紀に書かれたホメーロスの叙事詩は決して外国文学ではない。ギリシア語は、その最古の時代より現在に至るまで、連綿と受け継がれ、親しまれているのである」[4]。
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文法概要
要約
視点
文字と発音
→詳細は「ギリシア文字」を参照
大文字、小文字、現代の音価、慣用(古典期)の呼び名、現代の呼び名(慣用と同じ場合省略)、現代の綴りの順で記載。
カナ転写と発音の問題
- カタカナに現代ギリシア語を転写するとき、θ は主にサ行で表記・発音(θα を「サ」、θι を「シ」など)されている。
- 同様に、δ は主にザ行で表記されている。
- 現代ギリシア語では、同じ子音字が2度重ねて綴られても1文字のように発音される(長子音とならない、ただしキプロスとポントスの方言では長子音は残存している)ので、そこに日本語の「ッ」や「ン」を使う必要はない。たとえば、τέσσερα は「テセラ」であり、「テッセラ」とは読まれない。κόμμαは「コマ」であり、「コンマ」とは読まれない[5]。
- 多くの場合、現代ギリシア語のアクセントは長音記号「ー」で表されているが、ギリシア語のアクセントは強勢を示すものであり、長母音を示さない。たとえば、Μαρία は「マリーア」のように伸ばすより「マリア」のように強く読むほうがいい。「マリーア」では、 Μαρίια に近くなってしまう。
ただし、テッサロニキのような古来の地名などは古代ギリシア語の発音に則って転写する。
記号
デモティキ(民衆口語)では、いわゆる「トノス(τόνος)」の記号類は ΄ のみにモノトニコス(単強勢)化されている。気息記号の ῾(音韻上で無標である有気音 [h] を表す)や ᾿ などは廃され、` や ῀ などは、΄ に統合され、有強勢(文法的に有標)の際にのみ記される。またこの強勢記号は語末から3番目の音節のうちに置かれる。カサレヴサでは古典語のテキスト表記に倣った古典式の記号・符号を維持している。
疑問符にはいわゆるセミコロン ; を用いる。Unicode ではこの記号に、U+003B の SEMICOLON とは別に U+037E に GREEK QUESTION MARK が割り当てられてはいるがU+003Bの方が好ましいとされる[6]。Windows のギリシア語 IME でもU+003B が出てくる。
現代ギリシア語の発音
母音 Φωνήεντα
- 単母音
- 便宜上、音価別に並べる。
- [a] - α
- [e] ([e], [ɛ]) - ε, αι
- [i] - η, ι, υ, ει, οι, υι
- [u] - ου 日本語のウより口をとがらして発音
- [o] - ο, ω
- 現代ギリシア語では母音の長短の区別がない。
- 母音+子音
- 以下の3つは υ の発音が無声子音の前で無声音 [f] に、有声子音・母音の前で有声音 [v] になる。
- αυ - [af], [av]
- ευ - [ef], [ev]
- ηυ, ιυ - [if], [iv] (現代語ではほとんど使われていない)
子音 Σύμφωνα
- 二重子音字
- γγ - [ŋ], [i], [e], [ɛ] の前なら口蓋化する(ンギ、ンギェとなる)。
- γκ - 語頭で [g]、それ以外で [ŋg]。[i], [e], [ɛ] の前なら口蓋化する(ンギ、ンギェとなる)。また、外来語では [g], [ŋk] の音も表される。
- μπ - 語頭で [b]、それ以外で [mb](外来語では [b], [mp] の音も表される)。たとえば Ολυμπία の場合、国際的には「オリンピア」の発音で知られているが、外来語ではなくギリシアの固有語であるため、「オリンビア」と発音される。
- ντ - 語頭で [d]、それ以外で [nd](外来語では [d], [nt] の音も表される)。
- 比較的古い外来語では b は β、d は δ、g は γ と転写された。外国の地名のギリシア語表記も原音の [b], [d], [g] をそれぞれ β, δ, γ と表記する例がかなり多い。
古典式発音との違い
同じ単語でも、古代ギリシア語と現代ギリシア語の発音は異なる。以下にその例を挙げる。なお、ここでいう「古典式発音」とは古代ギリシア語の諸方言中の古典期アッティカ方言(再建音)を指す。ギリシア語綴りに用いる記号は現代語のものである。ただし、カタカナ表記は当然、日本語に存在する音のみを示すから、目安にすぎない。
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現代ギリシア語文法
要約
視点
名詞は男性・女性・中性の3つの性と、単数・複数の2つの数と、主格・呼格・属格・対格の4つの格によって語尾が変化する。
動詞は単数・複数の2つの数、一人称・二人称・三人称の3つの人称、完結相・非完結相・完了相の3つの相、過去・現在・未来の3つの時制、能動態・受動態の2つの態、および直説法・接続法・命令法の3つの法から成る。また、他のバルカン言語連合と同様に不定詞が廃れている。辞書の見出し語は古代ギリシア語同様に直説法能動態一人称単数現在である。
古代ギリシア語からの変化として与格が消滅し、完結相と非完結相の分化が進み、迂言形が発達した。また語順に規制的な拘束性が増した。
定冠詞
不定冠詞
- 複数形は無標
※冠詞類について古代ギリシャ語と対比するにはギリシャ語の冠詞を参照。
名詞
男性名詞
女性名詞
中性名詞
形容詞の活用語尾
- 1:幹母音式曲用
- 2:無幹母音式曲用
動詞組織
アオリスト語幹による、非完結相のアオリスト未来、アオリスト命令形が発達し、アオリストと同様頻繁に使用されコイネーの語幹がそのままの形で現在も存続している。
また、希求法は接続法に合流した。
未来時制はθα(tha)を動詞に前置させて表現し、掛かる動詞の幹によって完結相と非完結相を区別する。未来時制の語尾はどちらの相も本時制語尾が使用される。 過去時制には現在語幹に副時制語尾を接尾した未完了過去と、アオリスト語幹に副時制語尾を接尾したアオリストが存在する。この用法の体系はロマンス諸語の「半過去と点過去の対立」と類似する。
完了相である未来完了、現在完了、過去完了は、έχω(echo)+アオリスト語幹に-ει(-i)を接尾させた迂言形で表現される。 接続法は、να(na)を前置した迂言形で表現され、語幹は現在語幹+本時制語尾の非完結相とアオリスト語幹+本時制語尾の完結相が存在する。
条件法はθα(tha)を附した迂言形で語幹は現在語幹+第2次人称語尾形(継時相):アオリスト語幹+第2次人称語尾形(瞬時相)である。
本時制語尾
副時制称形
動詞活用の基本形
命令法
中受動態
- 注:中・受動態の命令形の使用は極めて稀である。
その他の文法形態素
人称名詞
関係代名詞
カサレヴサの(冠詞)+οποίος(opoios);ο οποίος(o opoios) : η οποία(i opoia) : το οποίο(to opoio) (数・格・性は先行詞と一致)を用いるのが商業文・行政文・公的文書では普通である。πουも口語では用いられる。
前置詞
与格の代わりに、σε(se)+対格が用いられる。口語の前置詞は、全て対格支配となる。
疑問詞
- 「何が」は口語ではτι(ti)、が用いられ、また、方言では ίντα(inda) が広く用いられる。
- 「誰が」はποιος(poios)、ποια(poia)、ποιο(poio)が用いられる。
- 「いつ」は(πότε(pote)
- 「どこ」はπού(pou)
否定
- δεν(den)
語順
固定された語順
- 小辞(前置詞)+(被制辞となる)名詞句。
- 限定詞(冠詞)+名詞。
- (直接目的語の)人称代名詞(人称名詞)+動詞(但し、命令法と分詞の場合は転置)。
- 数詞+名詞群。
- 否定詞+動詞。
- (関係詞・接続詞)+(名詞句または動詞句)。(注:3は方言では転置される)
SVOが基本語順であるも、VSO、OVS(受動的な表現で)、VOS、OSV、SOV(格言の言いまわしにみられる)の全てが可能であり、許容される。
語彙形態素
ほとんどが、コイネーからの承継である。ギリシアの各地における方言に、その残渣がみられる。トルコ語の語彙素もかなりの頻度で用いられることが現代ギリシア語の特徴である。
文法形態素
カサレヴサの文法形態素は、古典ギリシア語と同一または類似(擬古形)である。口語については、上記・下掲を参照されたい。
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方言
要約
視点
ツアコニア方言は、迂言法による動詞活用をおこなう。
キプロス方言の文法要覧
活用例
- 同中受動態形:IMPERFECTUM
- e'kuumun(1p/sg/praesIMPERFECTUM), e'kuesun(2p/sg/praesIMPERFECTUM), e'kuetun(3p/sg/praesIMPERFECTUM), eku'umastin(1p/pl/praesIMPERFECTUM), e'kuestun(2p/pl/praesIMPERFECTUM), e'kuuntan(3p/pl/praesIMPERFECTUM)(聞いていた)
- 能動態アオリスト:Aoristus
- a'kuso(1p/sg/aor), a'kusis(2p/sg/aor), a'kusi(3p/sg/aor), a'kusumen(1p/pl/pl), a'kusete(2p/pl/aor), a'kusin/a'kusun(3p/pl/aor)
- 能動態第2次人称語尾接尾の未完了過去:IMPERFECTUM
- 'ekua(1p/sg/imperfectum), 'ekues(2p/sg/imperfectum), 'ekuen(3p/sg/imperfectum), e'kuamen(1p/pl/imperfectum), e'kuete(2p/pl/imperfectum), e'kuasin(3p/pl/imperfectum)
- 「アオリスト」能動態
- (「聞いた」)'ekusa(1p/sg/aoristus), 'ekuses(2p/sg/aoristus), 'ekusen(3p/sg/aoristus), e'kusamen(1p/pl/aoristus), e'kusete(2p/pl/aoristus), e'kusasin(3p/pl/aoristus)
- 中・受動態 現在形 基本形(第1次人称語尾形)
- a'kuume(1p/sg/praesens), a'kuese(2p/sg/praesens), a'kuete(3p/sg/praesens), aku'umastin(1p/pl/praesens), a'kueste(2p/pl/praesens), a'kuunte(3p/pl/praesens)
命令形:(現在)'aku(2p/sg/praesens), a'kute(2p/pl/praesens):(アオリスト) 'akuse(2p/sg/aoristus), a'kuste(2p/pl/aoristus)
語彙形態素(文法形態素)代用語(「誰、何」(pi'os))
- Nominativus;(m.)'pcos (f.)'pca (n.)'inta
- Accusativus;(m.)'pcon (f.)'pcan (n.)'inta
人称代名詞
- Sg:Accsativus;(m.)ton (f.)tin (n.)to
- Sg:Genetivus; (m.)tu (f.)tis (n.)tu
- Pl:Accusativus;(m.)tus (f.)tes (n.)ta
- Pl;Genetivus; (m)tus (f.)tus (n.)tus
人称名詞
- 有強勢形;1人称;Nom/sg; e'jo(ni) Acc & Gen/sg; e'menan Nom/pl; e'mis Acc & Gen/pl;e'mas
- 2人称;Nom/sg; e'su(ni) Acc & Gen/sg;e'senan Nom/pl; e'sis Acc & Gen/pl;e'sas
- 無強勢形;1人称;Acc/sg;me Gen/sg;mu Acc & Gen/pl;mas
- 2人称;Acc/sg;se Gen/sg;s Acc & Gen/pl;sas
南イタリアのギリシア方言
- 破擦音/t∫/、イタリア語と同様の重子音、子音連続の硬口蓋化、連続する子音の同化、喉音の発達、動詞中・受動態の未完了過去3人称単数人称語尾-ενο、アオリスト命令形-σο、アオリスト分詞の存続:-γραφοντας, φονασοντας、不定形の名詞的用法の保持;το κλαφει σου=το κλαμα σου, το απεσαει =το αποθανειν
その他の方言でも、音韻変化において閉鎖音から摩擦音への遷移過程(通時言語学的現象)、前舌化、上昇・閉音化、中音化(centralisation)の現象・シュー(/∫/)音化・/t∬/音化・躁音化・無声軟口蓋閉鎖音の硬口蓋閉鎖音化等さまざまの音韻変化が諸方言に分散し、古代ギリシア語からコイネーの時代を経て現代の各地域の方言・またコイネーからアテネ方言への推移をも通時言語学・共時言語学において論証することができる。
特に上述のキプロス方言、またクレタ方言等は現在も遡及の可能な多量の文献が存在するので、現代語の通時的推移・共時的視野を論証させてくれる。また、母音交替・子音交替・語中音(γ)添加.語尾音(ν)の添加、ふるえ音化等のさまざまな音韻変化または交替現象・古典語からの伝統である音便νの保持など、現代の諸方言は、古典からコイネーを経て分散した各方言の通時・共時言語学上の貴重な音韻変化を現在も維持している。現代の現用言語(langue vivante)である「ギリシア語」は、古代からの継続言語であり、「現用言語のギリシア語」の完全な理解には古典ギリシア語の素養も不可欠である。
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表現
要約
視点
カナ表記では太字を強く発音する。
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脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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