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竹の水仙

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竹の水仙』(たけのすいせん)は、落語の演目。別題は『甚五郎』(じんごろう)[1]。名人と呼ばれた大工・左甚五郎を主人公とした演目である。東大落語会編『落語事典 増補』は「サゲはない」とする[1]

明治時代の落語速記雑誌『百花園』に掲載された3代目春風亭柳枝口演の『大黒』は、前半に甚五郎の東下りの一環として本演目と同じ内容を入れ、後半が『三井の大黒』に該当する内容となっている[2]。これを収録した『明治大正落語集成 口演速記』第2巻の「演目解説」で暉峻康隆は、この演目の前半が『竹の水仙』になり、後半が『三井の大黒』になったという見解を示している[3][注釈 1]。東大落語会編『落語事典 増補』では、本演目から『三井の大黒』につなげることもあるとする[1]。また、6代目三遊亭圓生は『三井の大黒』を『甚五郎』の演題で演じていた[5]

噺の前半のあらすじや設定は『抜け雀』に類似する。

あらすじ

※以下、東大落語会編『落語事典 増補』掲載の内容に準拠する[1]

左甚五郎が江戸に向かう途中で三島宿の旅籠に宿を取ったが、旅費がなくなっていたため出発できずに10日も長逗留する。主人からの宿賃の催促も聞き流していたが、毛利家の大膳が三島宿に泊まると知ると、自分で切ってきた竹に水仙を彫り上げて主人に渡す。主人がこの竹の水仙を外に置いていたところ、つぼみが花を咲かせる。やがてやってきた毛利の殿様が目を留めて宿の主人に買いたいと持ちかける。主人が甚五郎にそれを告げると、100両なら売ると返事をした。その値段に呆れながら主人が殿様に伝えたところ、「それは左甚五郎であろう」と100両を支払った。金を甚五郎に渡すと半額を主人に支払う。喜んだ主人に甚五郎は「明日出発する」と告げたため、主人は「もう少し逗留なさってもよろしゅうございましょう」。

バリエーション

5代目柳家小さんの口演では、甚五郎が飛騨国から伏見に出てきて宮中からの親方への依頼に竹の水仙を彫って評判になり、それを知った三井家の使いが運慶恵比寿と並べるために大黒天を彫るよう頼む下りが前半にある[6]。 甚五郎は手付金を受け取って借金を返してから江戸を見たくなり、その道中の藤沢宿を舞台としている[6]落ち(サゲ)は、宿屋の主人が藤沢中の竹を買い占めるので水仙を量産してほしいというのに甚五郎が「冗談言っちゃいけない」と100両全部を渡して、旅費を少しもらって旅立つという形になっている[6]。江戸に発つ前の下りは『三井の大黒』につながる内容である。

入船亭扇辰の口演では、亭主が紐をくくりつけたまま宿屋の2階に上がり、それを妻が引っ張って、2階から亭主が転げ落ちるものとなっている(オチと落ちをかけた)。数々の無礼をしたことで、甚五郎に殺されるんじゃないかと考えた亭主と妻が一計を案じ、亭主が殺されそうになったら、手を叩くという手筈になっていたが、実際に殺されることはなく、200両を甚五郎からもらえることがわかる。それに喜んだ亭主が誤って手を叩いてしまい、笑いながら転げ落ちるというものだった[7]

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脚注

参考文献

関連項目

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