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横紋筋肉腫
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横紋筋肉腫(おうもんきんにくしゅ、英語: Rhabdomyosarcoma)とは骨、そして筋肉や脂肪といった軟部組織にできる腫瘍である。小児や青少年がかかることが多いが、まれに成人でも発症する[1]。腫瘍は体の様々な部分にできるが、自覚症状がなく発症頻度が低いため、腫瘍が大きくなってから初めて気が付くこともある。
疫学
性比は男(1.4):女(1.0)[2]、小児がん全体に占める割合は3%程度[3]から 8%程度[4]とされ、1歳から4歳くらいまでは特に多く[5]、全体の2⁄3 が 6 歳以下[2]。乳児期、5-7 歳頃、10 歳代に発生のピークがある[2]。日本での発症者数は年間90人程度とされる[4]。
当該疾患の発症率を高める疾患として、リー・フラウメニ症候群、神経線維腫1型(NF1)、ベックウィズ-ヴィーデマン症候群、コステロ症候群、ヌーナン症候群、MEN2A症候群などが知られているが、充分に解明されていない[4]。
横紋筋肉腫の特徴
全ての部位に発生する可能性はあるが、好発部位が存在する[3]。
- 頭頸部(約35%)、通常は眼窩または上咽頭道:学齢期の小児で最も多くみられる
- 泌尿生殖器系(約25%)、膀胱、前立腺、腟
- 四肢(約20%):青年で最も多くみられる
- 体幹/その他の部位(20%)
転移は患者の15-25%に発生し最も多い部位は肺である。骨、骨髄、リンパ節にも転移する[3]。
胎児型と胞巣型の2種類に大別される。
- 胎児型
- 特徴は、染色体11p15.5のヘテロ接合性の消失[3]。
- 胞巣型
- PAX3遺伝子をFOXO1(FKHR)遺伝子と融合させる転座t(2;13)、およびPAX7遺伝子をFOXO1(FKHR)遺伝子と融合させる転座t(1;13)と関連するもの[3][6]。
症状と症候
小児の典型例では、全身症状は現れない。腫瘍発生部位に触って判別出来る硬い腫瘤が認められる。深部に発生した腫瘍では近隣臓器が圧迫され、圧迫された臓器の機能障害や血尿、声質の変化、疼痛などが現れる。
- 眼窩および上咽頭
- 流涙、眼痛、眼球突出。
- 上咽頭腔
- 鼻閉、声質の変化、粘液膿性の分泌物。
- 泌尿生殖器
- 腹痛、触知可能な腹部腫瘤、排尿困難、血尿。
- 四肢
- 密着した硬い腫瘤が上肢または下肢のあらゆる部位。無症状のままリンパ節への転移。肺、骨髄
胎児型(ERMS)と胞巣型(ARMS)

小児の横紋筋肉腫は、病理組織学診断を目的とした、顕微鏡下での観察による腫瘍細胞の増殖パターン、及び形状に応じて[4]、胎児型(ERMS)と胞巣型(ARMS)との2大組織型亜型に分けられる[6]。胎児型は小児に多く、眼窩や頭頚部、泌尿生殖器系などに腫瘍ができることが多い。長期予後は比較的良好といえる[6]。また鼻腔、膣、膀胱など粘膜で覆われた管腔臓器にもできることがある。この場合は胎児型の特殊型である、ブドウの房状の組織所見が出現する[4]。一方、胞巣型は年長の子供や青年に多く、体幹や四肢に主に発生する。しかも転移や再発が起こりやすく、治療抵抗性[注釈 1]となりやすいため、胎児型よりも悪性である[6]。
胎児型と胞巣型はさらに以下のタイプに分けられる。
胎児型
- ブドウ状亜型 (botryoid variant)
- 紡錘細胞亜型 (spindle cell variant)
- 退形成亜型(anaplastic variant)
胞巣型
- 固形亜型(solid variant)
- 胎児胞巣混合亜型(mixed embryonal / alveolar) 胎児型と混在するため、混合型と診断される場合もある。
- 退形成亜型(anaplastic variant)
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検査
血液検査、尿検査、画像検査、骨髄検査(生検)を組合せて行う。
治療
ステージ分類
- TNM分類
→詳細は「TNM分類」を参照
- T 腫瘍
- T1:原発部位に限局、T2:原発巣の周囲組織に浸潤 腫瘍径/ a < 5cm 、b > 5cm
- N リンパ節
- N0:臨床的に浸潤なし、N1:臨床的に浸潤あり、Nx:臨床的に浸潤不明
- M 遠隔転移
- M0:遠隔転移なし、M1:遠隔転移あり
※『横紋筋肉腫 診療ガイドライン』[2]より引用し改変。
I | 局所限局性腫瘍、完全切除 |
II | 顕微鏡的腫瘍残存、肉眼的には全摘、所属リンパ節転移なし/あり、微小残存+/− |
III | a.生検のみ、 b.亜全摘/50 %以上の部分切除 |
IV | a.遠隔転移、 b.髄液/胸水/腹水中に腫瘍細胞あり、 c.胸膜播種/腹膜(大網)播種 |
※『横紋筋肉腫 診療ガイドライン』[2]より引用し改変。
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予後因子
究報告からの予後因子[2]
※ CPK:クレアチンホスフォキナーゼ,LDH:乳酸脱水素酵素
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注釈
脚注
関連項目
外部リンク
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