トップQs
タイムライン
チャット
視点
ヘビ毒
ウィキペディアから
Remove ads
概要
複数のタンパク質で構成され、多くの種では唾液(消化酵素)が毒性のある成分に変化したものが毒腺で分泌され、蛇咬傷で噛んだ対象に流し込まれる[2]。一部の種(ヤマカガシ)では、餌として捕食した動物(ヒキガエル)の毒ブフォトキシンを再利用している。
毒を持つヘビの多くはコブラ科 (Elapidae) 、クサリヘビ科 (Viperidae) 、ナミヘビ科 (Colubridae) に属するヘビで、650種程度が毒蛇でヘビ全体の種類のうちの25%とされている[2]。2003年の調査で、毒を持たないとされていたほとんどのヘビに弱い毒が確認されたことから、毒を持つようになったのは新生代頃と考えられるようになった[3]。
これら毒を持ったヘビの進化の歴史は、2014年頃までは有毒有鱗類仮説のみであった。これは約1億7000万年前に突然変異で生まれた有毒有鱗類から種分化したというものであった[4]。2014年以降は、別々の分化した種が独自に発展された独立起源説が提唱されるようになった[5]。 同じ種の毒でも生息地域により毒成分が異なっていることが報告され、餌が差異の原因となっていると考えられている[6]。
2019年に世界保健機関が発表した推計によれば、世界中で1年間で蛇に噛まれる者は540万人、うちヘビ毒による被害を受ける者は270万人。最終的に死亡する者は81000人-138000人となっている[7]。
Remove ads
種類
神経毒
主にコブラ科のヘビが持つ毒。毒の作用部位から、4種に分けられる。
→詳細は「神経毒」を参照
動物の神経・筋接合部の神経伝達を攪乱する。アミノ酸数60〜74程度のポリペプチド。
作用:神経伝達を攪乱し、骨格筋を弛緩或いは収縮させ、活動を停止させる。横隔膜が麻痺することで呼吸困難に陥り絶命する。主な成分と作用は[8]、
- α-ブンガロトキシン(α-bungarotoxin)、(α-neurotoxins)
- 東南アジア、台湾に分布するアマガサヘビが保有するほか、多くのヘビから類似体が見つかっている。
- 神経筋接合部のシナプス後膜(筋肉側)のニコチン性アセチルコリン受容体と結合し、アセチルコリンの結合を妨げる[9]。結果、筋肉は弛緩。
- β-ブンガロトキシン(β-neurotoxins)
- デンドロトキシン
- デンドロトキシンは、アフリカのマンバが保有。
- 神経のカリウムイオンチャネルを阻害。カリウムイオンの神経からの放出を阻害する事で、神経の興奮が元に戻らずアセチルコリンの放出が続く。結果、筋肉の収縮が続く。
- ファシキュリン
- アフリカのマンバやガラガラヘビが保有。
- シナプス後膜のアセチルコリンエステラーゼの働きを阻害。受容体に結合したアセチルコリンの分解を妨げ、神経の興奮が継続される。結果、筋肉の収縮が続く。
出血毒
血液毒とも呼ばれる。主にクサリヘビ科のヘビが持つ毒。
→詳細は「出血毒」を参照
血液のプロトロンビンを活性化させ、血液を凝固させる。その際に凝固因子を消費する為、逆に血液が止まらなくなる。さらに、血管系の細胞を破壊することで出血させる。血圧降下、体内出血、腎機能障害、多臓器不全等により絶命する。特に腎臓では血栓により急性腎皮質壊死を起す。
ニホンマムシでは、
筋肉毒
主にクサリヘビ科とコブラ科ウミヘビ亜科が持つ毒。 主要な物質はミオトキシンのみで、またこれ単体のみを持つ毒ヘビは確認されていない(このため広義に出血毒に含めることがある)。
筋肉細胞のDNAにインターカレーションを起こし、核酸の合成を阻害、アポトーシスを引き起こす。全身の筋肉痛やミオグロビン尿を誘発し、多臓器不全や失血性ショック等で絶命する。
Remove ads
効果
対策
- 事前の対策
- ミトリダート法 - 人間に毒を少量ずつ投与し、毒への耐性を得る方法。毒を摂取して毒の効かない体質になったというポントス王国国王ミトリダテス6世が由来。アメリカのヘビ園開設者ビル・ハーストは子供のころからヘビ毒を人為的に投与し、数回致命的なヘビ毒から生き延びて、ヘビに噛まれた人のための抗毒血清を提供し、100歳まで生きた。また、彼に影響を受けた音楽家スティーブ・ラドウィンなども毒を自ら投与し、研究機関と共同で抗毒素の研究を行っている[10]。
- 噛まれた後の対策及び治療
Remove ads
脚注
関連項目
外部リンク
Wikiwand - on
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Remove ads