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見るなのタブー
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見るなのタブー(みるなのタブー)は、世界各地の神話や民話に見られるモチーフのひとつ。何かをしているところを「見てはいけない」(または「触れてはいけない」)などの禁止が課せられていたにも拘らず、それを破ってしまったために悲劇的な結果が訪れる、あるいは、決して見てはいけないと言われた物を見てしまった(または触れてしまった)ために恐ろしい目に遭うパターンを持ち、見るなの禁止ともいう。民話の類型としては禁室型(きんしつがた)ともいう。
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概要
→「タブー」も参照
見るなのタブーは、ヘブライ神話、ギリシア神話、日本神話をはじめ、多くの神話体系にみられる。フロイトは、『トーテムとタブー』において王権がタブー(禁忌)とされることを論じ、このタブーが法や戒律の基礎をなすとしている。日本の精神科医の北山修は、フロイトの『トーテムとタブー』における考察をふまえて、このモチーフについて精神医学または精神分析的な観点から考察し、ある社会体系に住む人々(特に日本人)の精神構造を根本的に規定していると見なした[1][2]。
民話における禁室型
異類の者と結婚をした人間が「見るなのタブー」を犯して異類の者の本当の姿を見てしまい、それが原因で離別するという話は、この類型のフランスの伝説に登場するメリュジーヌからメルシナ型(メリュジーヌ・モチーフ)とも呼ばれる[3]。
事例
旧約聖書

破壊される街から脱出するロトと妻子だが、言いつけを破って後ろを振り向いた妻が塩の柱になり始めている。
ギリシア神話
- 人間に火を使うことをもたらしたプロメーテウスを懲らしめるために、ゼウスはあえて彼の弟であるエピメーテウスの元へパンドーラーという女性に壺を持たせ贈った。その時、「この壺だけは決して開けるな」と警告していた。エピメーテウスはパンドーラーに惚れ、結婚した。パンドーラーもエピメーテウスと満足した生活を送っていたが、ふとしたときに壺のことが気になり、開けてしまった。そこからは、恨み、妬み、病気、猜疑心、不安、憎しみ、悪徳など「負の感情」が溢れ出て、世界中に広まってしまった。パンドーラーは慌ててその壺を閉めるが、既に一つを除いて全て飛び去った後であった。最後に残ったものは「希望」とも「絶望」とも、未来を全て分かってしまう災い(予兆)ともいわれる。それによって人類は希望だけは失わずにすんだと言われる。こうして、以後人類は様々な災厄に見舞われながらも希望だけは失わず(あるいは絶望することなく)生きていくことになった(パンドラの箱)。
- 竪琴の名手オルペウスは、毒蛇に咬まれて死んだ妻エウリュディケーを生き返らせようと決意して冥界へ行き、冥王ハーデースと交渉を試みた末に「地上に戻るまでは決して後ろを振り向いてはいけない。成し遂げたら妻を返そう」と約束させることに成功した。しかし、エウリュディケーが本当に付いて来ているか不安だったオルペウスは、もう少しで地上にたどり着くという所で後ろを振り向いてしまい、エウリュディケーは冥界に引き戻されてしまった。オルペウスは絶望しながら地上を彷徨い歩いた末に、悲惨な死を遂げ、再び冥界でエウリュディケーと一緒になることができた。
- とある小国の王女プシューケーは絶世の美女だったが、これを快く思わない美の女神アプロディーテーは、彼女が決して子孫を残さぬよう鉛の矢で撃つことを息子エロースに命じたが、彼はプシューケーの美しさに恋をしてしまった。エロースは魔神に化けてプシューケーの両親の前に現れ、彼女を生贄として捧げるよう命じた。晴れてプシューケーと同居したエロースだが、神であることを知られては禁忌に触れるため、暗闇でしかプシューケーに会おうとしなかった。姉たちに唆されたプシューケーが灯りをエロースに当てると、彼は逃げ去ってしまった。その後、エロースの端正な顔と美しい姿を見てプシューケーも恋に陥り、人間でありながら姑アプロディーテーの出す難題を解くため冥界へ行き、冥府の女王ペルセポネーに首尾よく美の箱を分けてもらうことができた。しかし、プシューケーは箱の中味が気になり、開けてしまった。その箱の中には冥府の眠りが入っていた。永遠の眠りにつくプシューケーを見付けたエロースは、彼女に取り憑いていた冥府の眠りを箱に戻し、再び彼女を目覚めさせた。その後、二人は神々の王ゼウスの仲立で正式に結婚を認められ、プシューケーはエロースと同じく神の身分として生きることになった。
日本神話
- 神産みの段で、亡くなったイザナミを追って黄泉の国を訪れたイザナギは、「中を見るな」と彼女に言われたにもかかわらず、櫛に火をつけ扉を開けて中を見てしまう。自身の朽ち果てた姿を見られたイザナミは怒り、逃げるイザナギを追いかけるが、黄泉の国の入り口で二神は離婚する。
ヨーロッパの民話
日本の民話
中国の古典
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脚注
参考文献
関連項目
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