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酸性線維芽細胞増殖因子

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酸性線維芽細胞増殖因子
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酸性線維芽細胞増殖因子(さんせいせんいがさいぼうぞうしょくいんし、: acidic fibroblast growth factor、略称: aFGF)またはFGF1は、ヒトではFGF1遺伝子によってコードされている成長因子でありシグナル伝達タンパク質である[5][6]。155アミノ酸からなり、成熟型はグリコシル化されていない17–18 kDaのタンパク質である。

概要 FGF1, PDBに登録されている構造 ...

線維芽細胞に対する分裂促進活性を有するものとして1975年に最初に線維芽細胞増殖因子(FGF)と命名されたポリペプチドは、塩基性のタンパク質(塩基性線維芽細胞増殖因子)であることが後に明らかにされた。その後、類似した活性を有する等電点が酸性のポリペプチドも発見され、acidic FGF(酸性線維芽細胞増殖因子)と命名された[7]

FGF1は分泌タンパク質であるが明確なシグナル配列は存在せず、そのため古典的経路で分泌されているわけではない。FGF1はストレスに応答して細胞内でジスルフィド結合で連結された二量体を形成し、細胞膜に位置するタンパク質複合体(S100A13英語版SYT1英語版を含む)との結合を介して分泌されているようである[8][9]。分泌された二量体は周辺組織の還元的条件下で単量体へ解離し、全身循環へ移行するか、または細胞外マトリックスヘパラン硫酸プロテオグリカンに結合して組織内へ隔離される。FGF1は特定の線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)タンパク質に結合してその効果を発揮する[10]

受容体を介した細胞外での活性以外に、FGF1は細胞内での機能も有する。FGF1には核局在配列が存在し核移行を行うが、核に移行するのは自身の細胞内のFGFではなく外因的なFGF1であると考えられている。核内のFGFはFGFRの活性化を介した作用とは異なる作用を媒介している[10]

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機能

FGFファミリーのメンバーは細胞分裂の促進や細胞生存に関して幅広い活性を有しており、胚発生、細胞成長、形態形成、組織修復、腫瘍成長や浸潤などさまざまな生物学的過程に関与している。FGF1は内皮細胞遊走や増殖の修飾因子、そして血管新生因子として機能する。FGF1は中胚葉神経外胚葉英語版由来のさまざまな細胞に対して分裂促進因子として作用することがin vitroで示されており、そのため器官形成に関与する因子であると考えられている[11]

FGF1は多くの作用が報告されている多機能タンパク質である。一例として、ヒトの2型糖尿病に相当する食餌性糖尿病マウスでは、FGF1タンパク質を1度注入することで2日以上にわたって血糖値が健康な範囲に回復する[12][13]

相互作用

FGF1は次に挙げる因子と相互作用することが示されている。

出典

関連文献

関連項目

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