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1966年のロードレース世界選手権

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1966年のロードレース世界選手権は、FIMロードレース世界選手権の第18回大会である。5月にモンジュイック・サーキットで開催されたスペインGPで開幕し、富士スピードウェイで開催された最終戦日本GPまで、全12戦で争われた。

1966年の
FIMロードレース世界選手権
前年: 1965 翌年: 1967

シーズン概要

要約
視点

1964年1965年と2年間開催されたデイトナでのアメリカGPは、春先のまだ寒い時期ということに加えてヨーロッパスタイルのレースがアメリカの観客に受け入れられずに数千人の観客しか集まらずカレンダーから外されたため、この年のグランプリは再び全12戦となった[1]。ただし250ccクラスが全てのグランプリでレースが行われたのに対し、50ccクラスのレースは半分の6戦しか行われていない。また、例年6月に開催されるマン島TTレースは、船員のストライキの影響によりシーズン終盤の9月開催となった[2]。最終戦日本GPの舞台は、鈴鹿サーキットからこの年に完成したばかりの富士スピードウェイに移っている。

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ホンダの500ccマシン、RC181

この年は、1959年から始まったホンダのロードレース選手権での活動がひとつのピークを迎えたシーズンである。以前から噂されていたホンダの500ccクラス参戦がこの年ついに現実となり、初めて全てのクラスにワークスマシンを送り込んだ。大排気量クラスではMVアグスタの3気筒が、中小排気量クラスではヤマハスズキ2ストローク勢がライバルとなったホンダは、チームの中心的存在だったジム・レッドマンが怪我でシーズンを棒に振るというアクシデントがあったものの、MVアグスタから移籍したマイク・ヘイルウッドがレッドマンの後を引き継いで軽量級のエースライダーであるルイジ・タベリとともに活躍し、3つのライダース・タイトルに加えて5クラス全てでマニュファクチャラーズ・タイトルを獲得するという快挙を成し遂げた[3]。そしてこのシーズン終了後、ホンダは当初の目的を達成したとして50ccクラスと125ccクラスからの撤退を発表したのである[4]

そのホンダ・ワークスは、富士スピードウェイで行われることになった最終戦日本GPを欠場した。富士の30度バンクが危険だからというのがホンダの主張だったが[1]ホンダのグループ企業でもある鈴鹿サーキットから開催権を奪われたことに対する抗議だとする見方もあった[3]

500ccクラス

ホンダが満を持して最高峰クラスに送り込んだマシンRC181は、これまでのホンダの6気筒250ccや5気筒125ccからすればオーソドックスとも言える空冷4気筒のマシンだった。しかしこのマシンは80馬力以上というクラス最高のパワーを発揮し、このマシンを駆るジム・レッドマンは開幕戦の西ドイツで、MVアグスタの旧い4気筒に乗るジャコモ・アゴスチーニに30秒近い差をつけてホンダに500cc初勝利をもたらした。対するMVアグスタは、第2戦のオランダで350ccの3気筒を420ccまで拡大したマシンを投入した。MVアグスタの3気筒はホンダの4気筒と比べてパワーでは劣るものの軽量化によって加速性能に優れ、レースでは開幕戦と同じくアゴスチーニはレッドマンに続く2位となったが、その差は2秒差にまで縮まっていた[5]。そして第3戦のベルギーでレッドマンはクラッシュして手首骨折の重傷を負い、アゴスチーニが今季初優勝を飾った。レッドマンの戦線離脱によってホンダの期待は移籍したばかりのマイク・ヘイルウッドが担うことになったが、ヘイルウッドはシーズン当初からマシントラブルに泣かされ続け、第5戦チェコスロバキアでのシーズン初優勝が今シーズン最初のポイント獲得だった。その後フィンランドでアゴスチーニが2勝目を挙げた後、ヘイルウッドがアルスターマン島と連勝してアゴスチーニとのポイント争いで2点差にまで迫ったが、最終戦のイタリアでヘイルウッドがまたしてもマシントラブルでリタイヤし、優勝したアゴスチーニが初タイトルを決めた[3][6]。マニュファクチャラーズ・ランキングでは、アゴスチーニ1人のMVアグスタが3勝に終わったのに対し、レッドマンとヘイルウッドの2人で5勝を挙げたホンダが参戦初年度にしてタイトルを獲得した[7]

大怪我を負ったレッドマンはシーズン中に復帰を試みたがかなわず、この年の終わりにはモーターサイクルレースからの引退を決意した[8]

350ccクラス

ホンダは前年のチャンピオンマシンの設計を大幅に見直し、更に出力を高めた上に信頼性を向上させた新型マシンを350ccクラスに投入した[9]。このマシンを得たマイク・ヘイルウッドは開幕から3連勝を飾り、前年のチームメイトであるMVアグスタジャコモ・アゴスチーニを圧倒した。第4戦の東ドイツGPではヘイルウッドがマシントラブルによってリタイヤし、アゴスチーニが一矢を報いたが、チェコスロバキアGP以降は再びヘイルウッドが3連勝して第7戦のアルスターGPで早々にタイトルを決めた[8][10]

ホンダが出場しなかった最終戦にはヤマハが250ccV型4気筒のRD05の排気量を拡大したマシンで出場し、フィル・リードが350ccクラスでの初勝利をヤマハにもたらした[11]

250ccクラス

この年、ホンダがもっとも他を圧倒したのが250ccクラスだった。前年の最終戦で初めてホンダの6気筒に乗ったマイク・ヘイルウッドはハンドリングや車体構成に関する様々な注文をホンダに出し、マシンは冬の間に大きく改良された[12]。そしてヘイルウッドはこのマシンを駆って出場した10戦全てに優勝してタイトルを獲得したのである[13]。前年のチャンピオンであるヤマハフィル・リードは、前年終盤にデビューさせた水冷V型4気筒RD05の改良型であるRD05Aで戦ったがマシンの熟成に手間取ってヘイルウッドの後塵を拝し続け、ヘイルウッドに大きく引き離されてのポイントランキング2位に終わった[1]

125ccクラス

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L.タベリのホンダRC149

前年チャンピオンのスズキ、前年最終戦にデビューさせた5気筒マシンを更に強化したホンダに加え、ヤマハが125ccクラスへのフル参戦を開始した。ヤマハは前シーズンに数戦を走った水冷2気筒のRA97をフィル・リードビル・アイビーに託し、開幕戦ではアイビーがホンダのルイジ・タベリを押さえてグランプリ初優勝を挙げた。第2戦の西ドイツではホンダのタベリとラルフ・ブライアンズが1・2フィニッシュを飾りヤマハのリードは3位、第3戦ダッチTTではアイビーが2勝目を挙げた。ヤマハはシーズン途中に250ccのRD05をスケールダウンした水冷V型4気筒のRA31を投入したが、このマシンの一部に欠陥が見つかったために再びRA97に戻されるというアクシデントがあり、その間にタベリは第4戦東ドイツからの4戦で3勝を挙げてアイビーを引き離した。第8戦マン島ではアイビーがタベリのマシントラブルにも助けられて優勝し逆転タイトルに望みを繋いだが、タベリは第9戦イタリアで5勝目を挙げてこのクラス3度目のタイトルを決めた[1][14]

前年10勝という圧倒的な強さでタイトルを獲得したスズキは、一転してこの年は1勝も挙げることができず片山義美が2度2位になるのが精一杯だった。

50ccクラス

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R.ブライアンズのホンダRC116

50ccクラスでは前年と同様に、スズキ2ストローク水冷2気筒とホンダ4ストローク空冷2気筒の熾烈な争いがシーズンを通して繰り広げられた。開幕戦のスペインではホンダのルイジ・タベリがまず1勝を挙げ、スズキのハンス=ゲオルグ・アンシャイトがホンダのラルフ・ブライアンズとの接戦を制して2位に入った[1]。続く西ドイツではアンシャイトがスズキでの初勝利を挙げ、第3戦ダッチTTではタベリがブライアンズとの1・2フィニッシュで2勝目を挙げた。アンシャイトは第4戦マン島TTでノーポイントに終わったものの第5戦イタリアで2勝目を挙げた。この時点でタベリとブライアンズの2人で3勝を挙げていたホンダが1戦を残してマニュファクチャラーズ・タイトルを決めたが、ライダーズ・タイトルの決定は既にホンダがボイコットを表明していた最終戦日本GPに持ち越されることになった。タイトルの可能性を残していたタベリは個人資格での日本GPへの出場をホンダに願い出たが聞き入れられず[15]、日本GPでは片山義美がグランプリ初優勝を飾り、2位となったアンシャイトが初めてのタイトルを獲得した[16]。タイトル獲得のチャンスを逃し、すでに30代半ばを超えていたタベリはホンダの軽量クラスからの撤退に歩調を合わせるようにシーズン終了後に引退を発表した[4]

この年、日本のブリヂストンが水冷2気筒で14段変速機を持つマシンをグランプリに送り込み、ダッチTTと日本GPではポイントを獲得している[17]

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  • 500ccクラスは上位入賞した5戦分、350・125ccクラスは上位入賞した6戦分、250ccクラスは上位入賞した7戦分、50ccクラスは上位入賞した4戦分のポイントが有効とされた。

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脚注

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