5-アジド-1-(ジアジドメチレンアミノ)-1H-テトラゾール

5-アジド-1-(ジアジドメチレンアミノ)-1H-テトラゾール^[6]（5-Azido-1-(diazidomethyleneamino)-1H-tetrazole^[7]）は分子式C₂N₁₄で表される複素環式化合物である。アジドアジドアジドという呼ばれ方もする^[5]。極めて爆発性の高い物質である。

5-アジド-1-(ジアジドメチレンアミノ)-1H-テトラゾール
優先IUPAC名 2-(5-azidotetrazol-1-yl)-1,3-didiazoguanidine
別称 N-(5-アジド-1H-テトラゾール-1-イル)ジアジドメチレンアミン 1-(ジアジドメチレンアミノ)-1H-テトラゾール-5-イルアザイド 1,1-ジアジド-N-(5-アジド-1H-1,2,3,4-テトラゾール-1-イル)メタンイミン
識別情報
CAS登録番号	1306278-47-6[1]
3D model (JSmol)	Interactive image
ChemSpider	30649737
PubChem CID	101796054
CompTox Dashboard (EPA)	DTXSID901336271
InChI InChI=1S/C2N14/c3-11-6-1(7-12-4)10-16-2(8-13-5)9-14-15-16 Key: ROKXTJDNIZBVDB-UHFFFAOYSA-N
SMILES N(=[N+]=[N-])C1=NN=NN1N=C(N=[N+]=[N-])N=[N+]=[N-]
特性
化学式	C2N14
モル質量	220.12 g mol−1
密度	1.723 g·cm−3[2]
融点	78 °C, 351 K, 172 °F
沸点	110 °Cで激しく爆発
溶解度	ジエチルエーテル、アセトン、炭化水素、塩化炭化水素に可溶[3]
構造[4]
結晶構造	直方晶系
空間群	Pbcn
格子定数	a = 18.1289, b = 8.2128, c = 11.4021
格子体積 (V)	1697.6
式単位（英語版） (Z)	8
熱化学
標準生成熱 ΔfHo	357 kcal·mol−1[5] (1495 kJ·mol−1)[2]
爆発性
衝撃感度	<0.25 J
摩擦感度	<1 N
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性	will unpredictably and violently detonate-Part of the nitrogen highly energetic compounds family.
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

合成法

5-アジド-1-(ジアジドメチレンアミノ)-1H-テトラゾールは、超純水でトリアミノグアニジニウムクロリドを亜硝酸ナトリウムでジアゾ化する事により製造された^[8]。もう一つの合成法は、アセトン中のイソシアノゲンテトラブロミドとアジ化ナトリウム水溶液のメタセシス反応を利用するものである^[3]。この反応では、まずC₂N₁₄の非環状な異性体であるビス(ジアジドメチレン)-ヒドラジン（通称：イソシアノゲンテトラアジド）が生成され、標準的な条件下ですぐに環化してテトラゾール環が形成される^[9]。

ビス(ジアジドメチレン)-ヒドラジンの構造式

性質

C₂N₁₄分子は3つのアジド基を持つ単環テトラゾールで、分子量は220.16g・mol^-1である。1961年から知られているイソシアノゲンテトラアジドとの間で分子平衡をとっており、室温では環状テトラゾールの形（C₂N₁₄）に環化する^[10]。

この化合物は、窒素原子が強い三重結合を持たない、高エネルギー窒素化合物の1つである。この構造は安定性が低い為、容易に爆発的に分解して窒素ガスを発生させる。

このテトラゾール爆薬の分解温度は124℃である。衝撃感度は0.25ジュール以下と非常に敏感である。接触またはレーザービーム照射により分解する^[11]。誇張された主張もあるが^[12]、C₂N₁₄は世界で最も感度の高い化合物ではなく、三ヨウ化窒素のようにもっと感度の高い接触爆発物（英語版）もある。