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MiG-17 (航空機)
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MiG-17(ミグ17;ロシア語:МиГ-17ミーク・スィムナーッツァチ)は、ソビエト連邦のミグ設計局で開発されたジェット戦闘機。DoDが割り当てたコードネームはType 38(Type 20とする説もある)。北大西洋条約機構(NATO)の使用するNATOコードネームはフレスコ (Fresco)。
概要
MiG-17は、朝鮮戦争で実戦には投入されたものの飛行機として未成熟だったMiG-15を改良した完成型である。当初MiG-15bis-45°として開発されたことからわかるように、MiG-15において35度であった主翼(内翼)の後退角を45度に改め(前縁途中で主翼(外翼)の後退角が42度に変わっている)、主翼上の境界層板の数も片側2枚から3枚へと変更した。
基本型のMiG-17及びMiG-17Fの武装は機関砲のみで、MiG-15bisと同じく37 mm機関砲N-37 1門と23mm機関砲NR-23 2門であった。その後、爆弾やロケット弾を搭載できるよう改修された機体もあった。朝鮮戦争には間に合わなかったものの、東側諸国をはじめ多くの国に配備され、1990年代まで数多くの実戦に参加した。特にベトナム戦争での活動は有名で、何度かアメリカ軍の航空機を撃墜した。
ソビエト連邦では1958年にMiG-17の製造を終了した。退役したMiG-17は標的機とされた。またポーランドや中華人民共和国(殲撃五型、またはJ-5、F-5とも)でも製造された。2019年現在も朝鮮民主主義人民共和国[1]など一部の発展途上国では現役であると考えられている。ジェット機としては比較的安価であるため、アメリカやヨーロッパでは個人所有の機も存在する。
なお、MiG-17はMiG-15の改良型であり、共通の特徴的な機首形状をしているためか専門家でもしばしば両者を混同する。しかし、機首以外の形状は著しく異なっており、特に主翼の平面形からの区別は容易である。
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バリエーション
- MiG-15SI
- 原型機。開発コード I-330。後にMiG-17と改称。
- MiG-17 フレスコA
- 初期生産型。細長い形状のエアブレーキが特徴。アフターバーナー無しのVK-1エンジンを搭載するが、推力不足によりMiG-15bisより若干性能が低下したとも言われる。なお、MiG-17AやMiG-17ASは、基本的にはMiG-17と同型である。 БВВС МиГ-17 #62 ВВС СССР МиГ-17 #25, 2005
- MiG-17A
- 耐用年数が改善された、アフターバーナー無しのVK-1Aエンジンを搭載。
- MiG-17AS
- MiG-17Aの派生型。R-3S赤外線誘導空対空ミサイルと無誘導ロケットを搭載するマルチロール型。1964年にキューバへ輸出され、空対空ミサイルパイロンの追加改修が施された。
- MiG-17P フレスコB
- 機首上部の突起に射撃用測距レーダーを、エア・インテーク内の半球状の小型レドームにイズムルード 捜索・追尾レーダー(探知距離12 km、自動追尾能力を持ち、自動追尾距離2 km)を、搭載した全天候戦闘機型。MiG-17は、射撃用測距レーダーにより、ようやくF-86相当の照準能力を、イズムルード・レーダーにより、制限全天候能力を、得た。射撃用レーダーと照準器は、朝鮮戦争で鹵獲したF-86のそれをコピーした物であった。レーダーの搭載に伴い、37 mm機関砲は23 mm機関砲に換装されている。37 mm機関砲のままの機体も存在した。
- MiG-17F フレスコC
- アフターバーナー搭載のVK-1Fエンジンの完成により完成した本格的な生産型。MiG-17で低下したとも言われた諸性能も、VK-1Fによって改善している。エンジン出力向上により翼下パイロンに500 kgまでの兵装の搭載が可能となった。しかしながら、燃料消費の大きなアフターバーナーを使用することは小型の本機にとってしばしば命取りとなり、実戦においても燃料切れによる墜落が幾度となく発生している。なお、中華人民共和国でのライセンス生産機は殲撃五型(殲-5/J-5/F-5)であるAlbaniaAF F-5 #4-25。ベトナム戦争ではプロペラ機のA-1に2回撃墜されている。
- MiG-17PF フレスコD
- MiG-17Fに射撃用測距レーダーとイズムルード・レーダーを搭載した全天候戦闘機型。レーダーの搭載に伴い、37 mm機関砲は23 mm機関砲に換装されている。中華人民共和国でのライセンス生産機は殲撃五甲型(殲-5A/J-5A/F-5A)などと呼称される。なお、ソ連では生産されなかった複座練習機型として本型を元に開発された殲教五型 (JJ-5/FT-5) が大量生産されているFAR MiG-17PF #0904, 1999 AlbaniaAF FT-5 #8-09。
- MiG-17PM/MiG-17PFU フレスコE
- MiG-17PFを改修したRS-1U及びRS-2Uビームライディング誘導空対空ミサイル搭載型で、固定武装は廃止されている。少数の機体は1挺の23 mm機関砲を装備していた。MiG-19PMやSu-9迎撃戦闘機配備までのつなぎとして40機程度がソ連防空軍に配備された。なお、PMとPFUは同じ機体である。
- MiG-17R
- MiG-17Fをベースに限定生産された偵察機型。
- S-104
- MiG-17のチェコスロバキア生産型。
- Lim-5
- MiG-17Fのポーランド生産型がLim-5、MiG-17PFに準じたレーダー搭載型がLim-5Pであるが、Lim-5Pの方がMiG-17PFよりエア・インテークの開口部が大きく、内部のレドームも大型である。 PolandAF Lim-5P #521
- Lim-6
- Lim-5の大幅な改設計型で数種開発されたが、実用性の問題から結局はどれもLim-5同様の機体に改修された。なお、Lim-5に準じた型がLim-6bis、Lim-5Pに準じた型がLim-6M、Lim-6bisに準じた偵察型がLim-6R、またLim-6Mの偵察型がLim-6MRとされた。ポーランドでは1990年代前半まで使用された。
- MiG-17SN
- SV-25-MiG-17兵器システムの実験のために、MiG-17をベースにエア・インテークを胴体両側面に移設し機体の前半部を新造した試作実験機。機首には上下に俯仰する3挺の23 mm機関砲が搭載された。結果、そのような兵器システムは役に立たないと判明し、研究は放棄された。
- MiG-17AS
- MiG-17F
- J-5
- MiG-17PF
- Lim-5
- Lim-6bis
- レッドブルが所有する機体
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スペック (MiG-17F)

- 全幅:9.63 m
- 全長:11.36 m
- 全高:3.80 m
- 翼面積:22.60 m2
- 翼面荷重量:237 kg/m2
- 空虚重量:3,930 kg
- 通常重量:5,354 kg
- 最大離陸重量:6,286 kg
- 発動機:TRD VK-1F 1基
- 推力重量比:0.63
- 最大速度(地表高度):1,144 km/h (3,000 m)
- 航続距離:1,080 km
- 上昇率:65 m/秒
- 実用上昇限度:16,600 m
- 武装
- N-37 37mm機関砲(弾薬40発)、NR-23KM 23mm機関砲 2挺(弾薬各80発)
- 主翼下パイロンに最大500kgまでの兵装を搭載可能
- 増加タンク ×2、または100kg/250kg爆弾 ×2、またはUB-16-57ロケット弾ポッド(S-5ロケット弾を搭載)
スペック (MiG-17SN)
運用国
- 軍および政府機関のみ記し、鹵獲機や亡命機の運用は考慮しない。
- アルジェリア空軍
- アンゴラ空軍
- ブルキナファソ空軍
- コンゴ空軍
- チェコスロバキア空軍
- 東ドイツ空軍
- エチオピア空軍
- ギニア空軍
- ギニアビサウ空軍
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現存する機体
- MiG-17は多数が生産され、かつ様々な国で運用された機体である。そのため、ここでは主に情報の多い博物館などにあるものを中心に紹介する。
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脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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