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Pentium III

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Pentium III
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Pentium III(ペンティアム・スリー)は、インテルが1999年2月26日に発表した[1]x86アーキテクチャマイクロプロセッサである。

概要 生産時期, 生産者 ...

概要

Pentium II と同様に、Pentium III をベースとして下位の低価格パソコン向けのCeleron、上位にあたるサーバワークステーション向けのPentium III Xeonが発売された。

インテルはPentium IIIで競合するAMDAthlonと激しい製品競争を繰り広げ、駆動クロック周波数はついに1GHzを突破した[2]

デスクトップ向けラインナップ

要約
視点
Katmai
Thumb
Pentium III(Katmai)
Thumb
保護カバーを取り外したカトマイ。中央半導体がCPUコア、右二つの半導体が2次キャッシュメモリ。

1999年2月に発表された、第一世代のPentium III。製造プロセスは0.25µm。機能的には前世代製品にあたるPentium IISSE処理ユニットを追加している[3]。設計当時の製造技術の制約と製造コストを低減する目的から、Pentium IIと同様にCPUモジュール基板の上にCPUコアと容量512KBのL2キャッシュとを個別に実装している。パッケージは、Pentium IIから継承したS.E.C.C.2 (Slot 1) のみ。

同一のクロック周波数のPentium IIと比較すると、Pentium IIIはL2キャッシュのアクセスレイテンシが減少されている分、若干高速である。また、パソコンの同一性検出を目的として、個々のCPUにはソフトウェアから読み出し可能なプロセッサ・シリアル・ナンバ (PSN) と呼ばれる96ビット長の固有IDデータ[注 1]が追加されている。

Pentium IIのときはCPUクロックとFSBの関係について(ユーザーが設定を変更しない限りは)333MHz以下で66MHz、350MHz以上で100MHzという仕様が決められたために問題が無かったのだが、Pentium IIIでは当初から133MHz版が存在し、しばらくFSB 100MHz版と混在するようになった。従来の製品名はCPU名とCPUクロック表記だけだったので、特にPentium III 600MHz版は逓倍率が×6倍固定版(FSB 100MHz向け)と×4.5倍速固定版(FSB 133MHz向け)の2種類の製品を区別する必要が生じた。このため、同じCPUクロックでFSB 133MHz向け製品はCPUクロックにBを付けて「600BMHz」とCPUクロックを表記することで区別されるようになった。さらに、後述のCoppermineコア版が登場すると、CPUクロックもFSBも同じでコアだけが異なる製品も登場したため、そちらは「E」を付けて区別するようになった。たとえばFSB133MHzかつCoppermineの場合は「600EBMHz」となる。ただし区別する必要のない製品については「E」や「B」は付けなかった[4]

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Coppermine
Thumb
保護カバーを取り外したカッパーマインS.E.C.C.2パッケージ。カトマイに比してCPUコア実装面に2次キャッシュメモリパッケージは見られない。
Thumb
Pentium III 733 MHz (S.E.C.C.2)
Thumb
Pentium III(FC-PGA)

1999年10月に発表された、第二世代のPentium III。0.18µmプロセスで製造された。製造技術の発達により、256KBのL2キャッシュをCPUダイ上に実装する[5][3]。 512KBのL2キャッシュを搭載するKatmaiと比較して容量は半減したが、CPUダイ上に実装されてCPUコアと等速で動作するようになり、さらにキャッシュアクセスの際のレイテンシが大幅に減少可能となったためより高速なメモリアクセスを実現、性能が向上している。L2キャッシュの性能向上に伴い、L2キャッシュフィルバッファ、ライトバックバッファ、バスキューエントリーを増加している。また、L1データキャッシュとL2キャッシュ間の帯域を256bitに拡張している。

当初は、Katmai同様S.E.C.C.2パッケージを採用していたが、L2キャッシュを外に置く必要がなくなったため、Celeronで採用されたSocket 370に対応した、FC-PGAパッケージでも生産されるようになった[6]。ただしこれは従来のPPGA版Celeronで採用されたSocket 370とは一部のピンの仕様が異なっており、必ずしも既存のシステムを流用できるものではなかった[7]。その場合はサードパーティ製の変換下駄(とBIOSの対応)が必要になり、同様の問題は後述のようにTualatinの登場時にも生じている。

Intelのx86プロセッサとしては、初めて動作クロック1GHzを達成したアーキテクチャである[2]

この世代でインテルはAMDの「Athlon」に対抗し、動作クロックの向上を巡って熾烈な競争を演じた。当時出たばかりのCoppermineは当初品薄が続いたが、少数出荷で発表の前倒しを繰り返し、パソコン用マイクロプロセッサの動作クロックは遂に1GHzの大台に達することとなった。

一時は1.13GHzで動作する製品も極少数が出荷されたが、動作不安定が指摘され製品回収が行われた[8]。1.13GHzを超える製品は第三世代を待つことになる。

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Coppermine-T

次世代Pentium IIIであるTualatinとCoppermineとの間にはシステムバスの電気的な互換性が無いため、ストップギャップを目的として双方に互換性のあるCoppermine-Tが開発されていた[9]。しかしPentium IIIからPentium 4へ販売の主体を急激にシフトすることを決断したIntelは、Coppermine-Tの互換性がPentium 4への移行の妨げとなると考えた。そのためこのCoppermine-TはTualatinとのシステムバスの互換性を削除して発売された。その結果、Coppermine-TはCoppermineとの互換性の低さだけが特徴に残ってしまった。

Coppermine-TはCoppermineのcD0ステップ、あるいは略してDステップと称する場合が多い。

Dステップ末期のCoppermineではTualatinと同様にヒートスプレッダ(IHS; Integrated Heat Spreader)を備えたFC-PGA2パッケージも出まわり[10]、FC-PGA版とFC-PGA2版が混在している。後のCoppermineコアのCeleronも同様であり[11]、ヒートスプレッダが付いているからといってTualatinとは限らない。

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Tualatin
Thumb
Pentium III-S 1.266 GHz (FC-PGA2)

2001年6月に発表された、第三世代のPentium III。Coppermineの製造プロセスを0.13µmへ更新した製品である。今後の製品の性能向上を念頭に置いてシステムバスの仕様を変更している。また、CPUコアの動作電圧も低下した[12]。そのためソケットの物理的なピンレイアウトこそ変更されなかったものの、Coppermineとの電気的な互換性は事実上無くなっている。パッケージはSocket 370対応製品のみとなり、従来のFC-PGAパッケージに新しくヒートスプレッダを被せたFC-PGA2パッケージで製品が発売された。

L2キャッシュ512KB搭載でSMPに対応したサーバー向けのPentium III-Sが先に登場し、続いて256KBでSMP非対応のデスクトップ向けPentium IIIが登場した[13]FSBは133MHzの製品のみになった[注 2]

しかし、世界的不況からCPUの販売量が限られてくると予想したインテルは、歩留まりがPentium IIIに劣り製造量が下回るPentium 4でも十分に需要を賄えると判断し、競合していたAMD-Athlonプロセッサとの販売競争で優位に立つ次世代CPUのPentium 4の普及に力を入れるようになった[14]。そのためTualatinは本来の性能や魅力を発揮しないまま終わりを迎えた。ただし、Pentium 4が苦手とする低消費電力・低発熱用途として、ノートパソコン向けのMobile Pentium III-Mやブレードサーバ向けのPentium III-Sは同条件で使用可能な後継機種の開発が遅れたことから、Pentium 4世代のプロセッサが一般化した後も暫く現行製品として販売が継続された。

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サーバー向けラインナップ

Tualatin-512K

デスクトップ向けTualatinからL2キャッシュを512KBへと倍増し、SMPに対応したモデル。デスクトップ向けに先行し、「Pentium III-S」として販売された[13]

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モバイル向けラインナップ

Coppermine
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Tualatin
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脚注

関連項目

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